階段がつらい膝の痛み! ~変形性膝関節症の正体とツボ~

症例ブログ

「先生、立ち上がるときと階段を下りるときに、膝の内側がズキッと痛むんです……」そう言ってゆっくり歩いてきたのは、60代のヒザ子さん。若いころから膝が気になっていたが、最近は歩き始めの一歩がつらく、正座もできなくなってきた。年のせいとあきらめかけているこの膝の痛み、鍼灸で楽になるのか?

ヒザ子さん
ヒザ子さん

先生、膝の内側が痛くて、階段を下りるのがこわいんです。
もう年だから仕方ないんでしょうか…?

アフロ先生
アフロ先生

あきらめなくて大丈夫だよー。膝の内側の痛み、立ち上がりや階段でつらいのは変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)の典型的なパターン。ケアで軽くできることは多いよ。

アフロ先生
アフロ先生

膝は曲げ伸ばしできる?腫れて水がたまってる感じはある?どのあたりが一番痛い?

ヒザ子さん
ヒザ子さん

深く曲げると痛くて正座はムリです。膝の内側のこのあたりが一番…。
ときどき腫れぼったい感じもあります。

アフロ先生
アフロ先生

内側の関節のすき間が痛むんだね。太ももの前の筋肉、とくに内側がやせて力が入りにくくなってるかも。ちょっと触って確かめようねー。

【ここに膝の内側・大腿四頭筋の触診の画像を入れる】
アフロ先生
アフロ先生

膝の内側の関節のすき間、ここ押すよー。(ぐっ)それから太ももの内側の筋肉…だいぶ張りとやせがあるねー。

ヒザ子さん
ヒザ子さん

アイタッ、そこです!内側のすき間が痛いです。
そういえば太ももの内側、ぷよぷよになってきた気が…。

アフロ先生
アフロ先生

内側の関節裂隙の圧痛と、内側広筋の筋力低下だねー。膝を支える筋肉が弱ると、痛みも進みやすいんだ。ここがカギだよ!

変形性膝関節症って何が起きてるの?

正体:変形性膝関節症は、加齢や膝への負担で関節の軟骨が少しずつすり減り、関節に炎症・変形・痛みが出る病気です。中高年の女性に多く、日本では内側の軟骨がすり減る「内側型(O脚傾向)」が多く見られます。立ち上がり・階段の下り・歩き始めに痛み、進むと安静時の痛みや、膝に水がたまる、正座ができないなどの症状が出ます。

カギを握る筋肉:太ももの前の大腿四頭筋、とくに内側の内側広筋の筋力低下が進行に関わります。膝の内側の鵞足部(縫工筋・薄筋・半腱様筋の付着部)の痛みを合併することもあります。

膝を支える大腿四頭筋(起始・停止・作用・支配神経)

大腿四頭筋:大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋の4つからなります。起始=大腿直筋は下前腸骨棘・寛骨臼上縁、広筋群は大腿骨/停止=膝蓋骨を経て膝蓋靱帯となり脛骨粗面/作用=膝関節の伸展(大腿直筋は股関節の屈曲も)/支配神経=大腿神経(L2〜L4)。

内側広筋のはたらき:膝の内側で膝蓋骨を安定させ、膝の伸び切る最後をしっかり支えます。ここが弱ると膝がぐらつき、軟骨への負担と痛みが増えます。だから変形性膝関節症では内側広筋のケアと強化がとても大切です。

診かた・注意サイン

所見:膝の内側の関節裂隙(関節のすき間)の圧痛、膝を深く曲げる・伸ばし切るときの制限や痛み、進行例では膝が内側に曲がる内反変形(O脚)。

鑑別:ひっかかりや「膝くずれ」があると半月板の損傷、急な強い腫れや熱感があると関節の炎症(関節リウマチなど)も考えます。

受診のめやす:強い腫れ・熱感、急激な変形、歩けないほどの痛みがあるときは整形外科での画像評価をすすめます。鍼灸は痛みの緩和と筋力サポートとして併用すると効果的です。

鍼とお灸はなぜ効く?

鍼のしくみ:大腿四頭筋(特に内側広筋)や鵞足部、膝周囲のトリガーポイントに鍼をすると、筋の緊張がゆるみ血流が回復して、膝の動きと痛みが改善します。鎮痛は「ゲートコントロール説」=太い神経への刺激が脊髄で痛みの信号を抑えます。血流改善は関節まわりの状態も整えます。

お灸と運動療法:お灸の温熱で膝を温め血流を促進。あわせて、いすに座って膝を伸ばす運動や太もも上げなどで内側広筋を鍛えることが進行予防に有効です。体重管理、正座を避ける、洋式生活も膝の負担を減らします。

東洋医学でみる膝の痛み

病態:東洋医学で「膝は筋の府」。加齢で肝腎が不足すると筋骨を養えず、膝が弱って痛むと考えます(肝腎不足)。そこに気血の滞りや、風・寒・湿の邪が入り込む「痺証(ひしょう)」が加わって痛みや重だるさが出ます。膝には胃経・脾経・胆経・膀胱経など多くの経絡が交わります。

治法:補肝腎・舒筋活絡・散寒除湿(肝腎を補い、筋を緩め経絡を通し、冷えと湿を取り除く)。

選穴犢鼻(外膝眼)・内膝眼(膝の目のツボ)、血海・梁丘(膝の内外)、陽陵泉(胆経・筋会)、足三里(胃経)、委中(膝の裏)。局所と経絡、そして体質の両面から整えます。

【ここに犢鼻・血海・陽陵泉への施術シーンの画像を入れる】
アフロ先生
アフロ先生

膝の犢鼻・内膝眼、血海、陽陵泉、足三里に鍼をするよー。お灸で膝をしっかり温めようねー。おうちでは、いすに座って膝を伸ばす運動を毎日ね。太ももの内側が大事だよ!

一週間後・・・

一週間後、ヒザ子さんは階段の手すりに頼らず、しっかりした足取りで入ってきた。

ヒザ子さん
ヒザ子さん

先生、階段を下りるのがこわくなくなりました!
太ももの運動、地味だけど続けてよかったです。

アフロ先生
アフロ先生

すばらしいねー!変形性膝関節症は、筋肉を守りながら上手につきあっていく病気。温めと運動を続けて、痛みが強い日は無理せずおいでー。一緒にケアしていこうねー。

変形性膝関節症のまとめ

変形性膝関節症は、加齢や負担で膝の軟骨がすり減り、痛み・変形・炎症が出る病気です。立ち上がりや階段の下り、歩き始めの膝の内側の痛みが典型。大腿四頭筋(特に内側広筋)の筋力低下が進行に関わります。強い腫れや急な変形、歩けないほどの痛みは整形外科での評価をすすめます。

施術では大腿四頭筋や鵞足部、膝周囲のトリガーポイントへの鍼で緊張をゆるめ(ゲートコントロール説)、お灸の温熱で血流を促します。東洋医学では「肝腎不足+痺証」ととらえ、犢鼻・血海・陽陵泉・足三里などで補肝腎・舒筋活絡。あわせて内側広筋を鍛える運動と体重管理が進行予防のカギです。西洋と東洋の両面から、つらい膝の痛みと上手につきあっていきましょう。

参考文献

本記事は、はり師・きゅう師国家試験の指定教科書をもとに、鍼灸師である運営者が作成しています。

  • 公益社団法人東洋療法学校協会 編『解剖学 第2版』医道の日本社
  • 公益社団法人東洋療法学校協会 編『臨床医学各論 第2版』医道の日本社
  • 公益社団法人東洋療法学校協会 編『新版 経絡経穴概論 第2版』医道の日本社
  • 公益社団法人東洋療法学校協会 編『新版 東洋医学臨床論(はりきゅう編)』医道の日本社
  • 公益社団法人東洋療法学校協会 編『はりきゅう理論 第3版』医道の日本社

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状が続く場合や強い痛み・しびれがある場合は、医療機関にご相談ください。

この記事を書いた人
アフロ先生|鍼灸師・施術歴20年以上

鍼灸師・整体師として施術歴20年以上。はり師・きゅう師の国家資格を取得し、現在も臨床現場で施術を続けています。これまでの経験を生かし、鍼灸学生の国家試験対策や、難しい医学知識をやさしく学べるコンテンツを制作しています。教材は「理解しやすさ・続けやすさ・国試対策への活用」を基準に紹介しています。

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