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遠隔治療のしくみ・作用機序と国試ポイントえんかくちりょう

遠隔治療とは、患部に触れずに離れた部位(主に四肢の経穴)を刺激し、脳と脊髄=中枢神経系を介して治療効果を発現させる治療法です。炎症が強く患部に触れられない場面でも使えるのが大きな利点で、四肢は感覚野で占める面積が大きく刺激の入力が強いため選ばれます。国試では鎮痛・内臓機能調節・精神機能調節・内分泌/生体防御の4本柱と、関与する神経線維の種類が繰り返し問われます。

遠隔治療|遠隔治療 1
読み方えんかくちりょう
定義患部を触らず、離れた部位(遠隔部位)への刺激で治療効果を出す方法。=脳と脊髄を利用した治療法
刺激の流れ遠隔部位への刺激 → 四肢の経穴 → 中枢神経系(脳・脊髄)→ 治療効果発現
特徴患部に触れなくてもよい/炎症が強い時にも使える/四肢の経穴をよく使う/中枢神経を介して作用
四肢を使う理由四肢は感覚野で占める面積が大きく、刺激の入力が強いため
主な作用鎮痛作用・内臓機能の調節・精神機能の調節・内分泌/生体防御系の調節(4本柱)
関与する神経線維C線維・Aδ線維(DNIC)、Aβ線維(脊髄分節性鎮痛=ゲートコントロール)
関与する物質セロトニン、ノルアドレナリン、βエンドルフィン(内因性オピオイド)、ドーパミン、アドレナリン、CRH・ACTH・コルチゾール
国試での狙われ方DNIC=C・Aδ線維/分節性鎮痛=Aβ線維の線維の取り違え、胃腸T6〜11・膀胱S2〜4の分節、SAM系=急性/HPA系=慢性の対応

遠隔治療とは? ― 脳と脊髄を利用した治療法

遠隔治療は、痛い場所を触らなくても効果が出る治療法です。刺激は次の順序で伝わります。

なぜ四肢を使うのか。四肢は大脳の感覚野(体性感覚野)で占める面積が大きく、そのぶん刺激の入力が強いからです。これは国試の理由づけ問題で頻出です。

遠隔治療の特徴内容
患部に触れなくてもよい患部を直接刺激せずに治療できる
炎症が強い時にも使える急性炎症で患部に触れられない場合の選択肢になる
四肢の経穴をよく使う感覚野で占める面積が大きく入力が強い
中枢神経を介して作用脳・脊髄を経由して効果が全身に及ぶ
遠隔治療=脳と脊髄を利用した治療法。刺激は四肢の経穴から中枢神経系へ
遠隔治療=脳と脊髄を利用した治療法。刺激は四肢の経穴から中枢神経系へ

遠隔治療の鎮痛作用 ― 即時的鎮痛と持続的鎮痛の4機序

鎮痛は即時的鎮痛(①DNIC・②脊髄分節性鎮痛)持続的鎮痛(③下行性疼痛抑制系・④ストレス誘発鎮痛)のダブル効果で説明されます。

機序分類関与する線維・物質結果
① DNIC(広汎性侵害抑制調節)即時的鎮痛C線維・Aδ線維(強い侵害刺激)鎮痛
② 脊髄分節性鎮痛(ゲートコントロール)即時的鎮痛Aβ線維(軽い触覚刺激など)ゲートを閉じて痛みをブロック
③ 下行性疼痛抑制系持続的鎮痛脳幹(中脳・延髄)→セロトニン・ノルアドレナリン→脊髄後角を抑制長時間の鎮痛効果
④ ストレス誘発鎮痛持続的鎮痛視床下部・下垂体→βエンドルフィン(内因性オピオイド)長時間の鎮痛効果
即時的鎮痛(DNIC・脊髄分節性鎮痛)と持続的鎮痛(下行性疼痛抑制系・ストレス誘発鎮痛)
即時的鎮痛(DNIC・脊髄分節性鎮痛)と持続的鎮痛(下行性疼痛抑制系・ストレス誘発鎮痛)

内臓機能の調節 ― 体性-内臓反射

皮膚・筋刺激 → 脊髄 → 自律神経 → 内臓機能の変化という流れが体性-内臓反射です。体性(皮膚・筋)からの刺激が脊髄を介して自律神経を調整し、内臓の働きをコントロールします。

臓器支配神経(分節)刺激部位自律神経への作用結果
胃腸交感神経 T6〜11第7〜11胸髄デルマトーム(胃の六つ灸、中脘、天枢など)交感神経を興奮胃腸運動を抑制 → 下痢の改善
膀胱骨盤神経 S2〜4中髎穴(仙髄S2〜4の経穴:中髎・次髎・関元など)副交感神経を抑制膀胱収縮を抑制 → 頻尿の改善
体性-内臓反射:皮膚・筋刺激→脊髄→自律神経→内臓機能の変化
体性-内臓反射:皮膚・筋刺激→脊髄→自律神経→内臓機能の変化

精神機能の調節 ― α波・副交感神経・脳内神経伝達物質

鍼刺激は脳と自律神経に働きかけ、心と体を整えます。流れは① 鍼刺激 → ② α波増加 → ③ 副交感神経優位 → ④ リラックス状態にの順です。さらに脳内神経伝達物質が増加します。

結果として気分改善・意欲向上・鎮痛効果が得られ、心と体のバランスが整います。

鍼刺激→α波増加→副交感神経優位→リラックス。脳内神経伝達物質も増加
鍼刺激→α波増加→副交感神経優位→リラックス。脳内神経伝達物質も増加

内分泌・生体防御系の調節 ― SAM系とHPA系

鍼刺激によりストレス応答系が活性化します。急性か慢性かで働く系が異なるのが最大の国試ポイントです。

生体防御作用としては、サイトカイン調節(炎症性サイトカインのバランス調整)、免疫調節(免疫細胞の働きを適正にコントロール)、ホメオスタシス維持(体のバランスを保ち健康を維持)が挙げられます。

正式名対応するストレス経路分泌される物質効果
SAM系交感神経-副腎髄質系急性ストレス(短時間)交感神経の興奮→副腎髄質刺激アドレナリン・ノルアドレナリン心拍数↑・血圧↑・エネルギー供給↑
HPA系視床下部-下垂体-副腎皮質系慢性ストレス(長時間)視床下部(CRH)→下垂体前葉(ACTH)→副腎皮質ACTH→コルチゾール抗炎症作用・血糖調整・ストレス耐性
SAM系=急性ストレス、HPA系=慢性ストレス。生体防御作用は3つ
SAM系=急性ストレス、HPA系=慢性ストレス。生体防御作用は3つ

臨床で重要な刺激条件 ― 部位・深度・質・強度・時間

治療効果は刺激の条件で大きく変わります。5つの軸を押さえます。

条件分類内容・特徴
① 刺激部位局所/脊髄分節/全身局所=症状のある部位、脊髄分節=同じ脊髄レベル、全身=遠隔部や全身の経穴
② 刺激深度皮膚/皮下組織/筋/筋膜/骨膜深さによって作用が異なる
③ 刺激の質機械刺激/熱刺激/電気刺激針の刺激・圧迫/温灸・熱鍼/低周波・高周波
④ 刺激強度非侵害刺激(弱い)/侵害刺激(強い)非侵害=リラックス・調整作用、侵害=鎮痛・賦活作用
⑤ 刺激時間短時間/中時間/長時間即時的効果/調整・安定効果/持続的効果
刺激部位・深度・質・強度・時間の5条件で治療効果は大きく変わる
刺激部位・深度・質・強度・時間の5条件で治療効果は大きく変わる

国家試験一発暗記まとめ

最終スライドの暗記項目です。遠隔治療は脳と脊髄を利用する! 鎮痛・内臓調節・精神安定・免疫調節の4本柱で全身を整えるのがゴールイメージです。

国家試験一発暗記:遠隔治療の重要ポイント総まとめ
国家試験一発暗記:遠隔治療の重要ポイント総まとめ
国試ポイント
① DNIC(広汎性侵害抑制調節)はC線維・Aδ線維、脊髄分節性鎮痛(ゲートコントロール)はAβ線維。線維の取り違えが最頻出の引っかけ。
② 即時的鎮痛=DNIC+脊髄分節性鎮痛、持続的鎮痛=下行性疼痛抑制系+ストレス誘発鎮痛。分類のセットで覚える。
③ 下行性疼痛抑制系は脳幹(中脳・延髄)→セロトニン・ノルアドレナリン→脊髄後角を抑制の順序。ストレス誘発鎮痛はβエンドルフィン(内因性オピオイド)。
④ 胃腸は交感神経T6〜11支配で、T6〜11刺激→交感神経興奮→胃腸運動抑制→下痢の改善。膀胱は骨盤神経S2〜4支配で、中髎穴刺激→副交感神経抑制→膀胱収縮抑制→頻尿の改善。
⑤ SAM系(交感神経-副腎髄質系)=急性ストレスでアドレナリン・ノルアドレナリン。HPA系(視床下部-下垂体-副腎皮質系)=慢性ストレスでCRH→ACTH→コルチゾール。
⑥ 四肢の経穴を使う理由は「感覚野で占める面積が大きく刺激の入力が強いから」。理由づけで問われる。
・ 刺激強度は非侵害刺激=リラックス・調整作用、侵害刺激=鎮痛・賦活作用。刺激深度は皮膚・皮下組織・筋・筋膜・骨膜の5層。
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