鍼治療は悪心・嘔吐、胃食道逆流症(GERD)、機能性胃腸症(FD)、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、下痢などさまざまな消化器症状の改善に有効とされ、その作用は消化管運動と胃酸分泌に及びます。国試最大のポイントは、四肢(後肢)刺激=迷走神経反射で胃運動促進、腹部刺激=交感神経反射で胃運動抑制という刺激部位による違いです。「手足は胃を動かす、腹は胃を休ませる」と覚えると確実に得点できます。
| 読み方 | しょうかきけいとはり |
|---|---|
| 定義 | 鍼刺激が体性‐内臓反射を介して消化管運動・胃酸分泌を調節する作用 |
| 関与する神経 | 迷走神経(副交感神経)/内臓神経(交感神経) |
| 求心路 | 体性感覚神経 → 脊髄 |
| 四肢(後肢)刺激 | 遠心路=迷走神経 → 胃運動促進・胃内圧上昇(副交感神経反射) |
| 腹部刺激 | 遠心路=内臓神経(交感神経)→ 胃運動抑制・胃内圧低下(交感神経反射) |
| 胃酸分泌の調節 | 促進=迷走神経・ガストリン/抑制=交感神経 |
| 適応症状 | 悪心・嘔吐、GERD、機能性胃腸症(FD)、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、下痢 |
| 臨床応用 | 十二指腸潰瘍患者への腹部・下肢の鍼通電 → 胃酸分泌量低下 → 腹部症状改善 |
| 国試での狙われ方 | 刺激部位と遠心路(迷走神経か内臓神経か)の対応、神経切断実験の結果 |
ヒトの消化管機能障害に対して鍼治療が有効であることが報告されています。スライドで挙げられている代表的な適応は次の6つです。
これらに対して鍼は、消化管運動や胃酸分泌に作用すると考えられています。国試ではこの6症状がそのまま選択肢として並ぶことがあるので、まとめて押さえておきましょう。
まず土台となるのが自律神経による消化管運動の支配です。
迷走神経(副交感神経)は胃腸運動を促進し、内臓神経(交感神経)は胃腸運動を抑制します。鍼刺激はこの自律神経反射を介して働くため、刺激する部位によって胃の動きが逆方向に変化します。
| 自律神経 | 消化管運動 | 胃酸分泌 |
|---|---|---|
| 迷走神経(副交感神経) | 促進 ↑ | 促進 ↑ |
| 内臓神経(交感神経) | 抑制 ↓ | 抑制 ↓ |
ここが国試最頻出です。求心路はどちらも体性感覚神経 → 脊髄で共通ですが、遠心路が異なる点が決定的な違いになります。
動物実験の胃内圧測定でも、後肢刺激では胃内圧が上昇し、腹部刺激では胃内圧が低下することが確認されています。
| 刺激部位 | 求心路 | 中枢 | 遠心路 | 胃運動 | 反射の名称 | 胃内圧 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 四肢(後肢) | 体性感覚神経 | 脊髄 | 迷走神経(副交感神経) | 促進 ↑ | 副交感神経反射(迷走神経反射) | 上昇 |
| 腹部 | 体性感覚神経 | 脊髄 | 交感神経(内臓神経) | 抑制 ↓ | 交感神経反射 | 低下 |
「その反応がどの神経を介しているか」は、その神経を切断すると反応が消えるかで証明されます。この実験結果の組み合わせが国試の引っかけポイントです。
「消失する=その神経が遠心路」と機械的に判断できるようにしておきましょう。
| 現象 | 迷走神経切断 | 内臓神経切断 | 結論 |
|---|---|---|---|
| 後肢刺激による胃運動亢進 | 消失する | 消失しない | 迷走神経反射 |
| 腹部刺激による胃運動抑制 | 消失しない | 消失する | 交感神経反射 |
胃酸分泌についても、促進因子と抑制因子を整理して覚えます。
鍼刺激そのものについては胃酸分泌促進の報告と抑制の報告の両方があり、刺激部位や病態によって反応が異なるとされています。すなわち鍼は状況に応じて胃酸分泌を「調節」する働きをもちます。
臨床応用としては、十二指腸潰瘍患者に対する腹部・下肢への鍼通電 → 胃酸分泌量の低下 → 腹部症状の改善という流れが報告されています。
| 因子 | 胃酸分泌への作用 |
|---|---|
| 迷走神経(副交感神経) | 促進 ↑ |
| ガストリン | 促進 ↑ |
| 交感神経 | 抑制 ↓ |
| 鍼刺激 | 促進の報告・抑制の報告の両方あり(部位・病態で異なる) |
最後にスライドの「国家試験一発暗記」を整理します。
覚え方は「手足は胃を動かす、腹は胃を休ませる」。これだけで消化器系と鍼の作用は攻略できます。