末梢性鎮痛とは、末梢の侵害受容器(痛み受容器)の興奮が抑制されることで起こる局所性の鎮痛で、痛みが発生する前段階でブロックする機構です。関与する物質としてアデノシン(ATP代謝産物)とβ-エンドルフィン(マクロファージ由来)が挙げられます。一方、胆嚢収縮ホルモンであるコレシストキニン(CCK)は中枢神経では抗オピオイド作用をもち、鍼鎮痛を抑制する因子と考えられています。
| 読み方 | まっしょうせいちんつう |
|---|---|
| 定義 | 末梢の侵害受容器(痛み受容器)の興奮が抑制されることで起こる局所性の鎮痛 |
| 作用のタイミング | 痛みが発生する前段階で抑制する機構 |
| 関与する物質 | アデノシン(ATP代謝産物)/β-エンドルフィン(マクロファージ由来・末梢組織で作用) |
| 効果の時間経過 | 発現は遅いが、持続は長い |
| 抑制する因子 | コレシストキニン(CCK)=抗オピオイド作用をもち、鍼鎮痛を弱める |
| CCKが多い部位 | 視床下部・中脳水道周囲灰白質(PAG)でCCK量・CCK mRNA発現量が多いと鍼鎮痛が起こりにくい |
| 備考 | 詳細な作用機序はまだ完全には解明されていない/鍼鎮痛には個人差がある |
| 国試での狙われ方 | 末梢性鎮痛の関与物質(アデノシン・β-エンドルフィン)、CCK=抗オピオイド作用、CCK受容体拮抗薬で鎮痛効果が増強すること |
末梢性鎮痛は、末梢の侵害受容器(痛み受容器)の興奮が抑制されることで生じる局所性の鎮痛です。中枢での痛みの伝達を抑えるのではなく、痛みが発生する前段階でブロックする点が特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作用部位 | 末梢(侵害受容器のレベル) |
| 鎮痛の範囲 | 局所性 |
| 作用のタイミング | 痛みの発生前段階で抑制 |
| 発現 | 遅い |
| 持続 | 長い |
末梢性鎮痛に関与すると考えられている物質は次の2つです。国試では由来とセットで問われます。
| 物質 | 由来・特徴 | はたらき |
|---|---|---|
| アデノシン | ATPの代謝産物 | 末梢性鎮痛に関与し、侵害受容器の興奮を抑える |
| β-エンドルフィン | マクロファージ由来(内因性オピオイド) | 末梢組織で作用して痛みを抑える |
コレシストキニン(CCK)はもともと胆嚢収縮ホルモンで、消化を助けるために胆嚢を収縮させるホルモンです。しかし中枢神経では抗オピオイド作用をもちます。
鍼鎮痛には個人差があり、効きやすい人と効きにくい人がいます。神経系の構造や感受性、情動の違いなどが関与すると考えられています。効きにくい人では、視床下部や中脳水道周囲灰白質(PAG)において次の特徴がみられます。
機序の順序は 視床下部・PAGでのCCK増加 → オピオイド作用が抑制される → 鍼鎮痛が起こりにくい です。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① | 視床下部・PAGでCCK量/CCK mRNA発現量が多い |
| ② | 抗オピオイド作用によりオピオイド作用が抑制される |
| ③ | 鍼鎮痛が起こりにくい(効果が出にくい) |
CCKが鍼鎮痛を抑えているなら、その働きをブロックすれば鎮痛は強まるはずです。実際、CCK受容体拮抗薬でCCK受容体をブロックすると、オピオイド作用が発揮され鍼鎮痛が出やすくなり、鎮痛効果が増強します。この結果から、CCKは鍼鎮痛を抑制する因子と考えられています。
| 条件 | CCK受容体 | オピオイド作用 | 鍼鎮痛 |
|---|---|---|---|
| ブロックなし(CCKが働く) | CCKが結合 | 抑制される | 出にくい |
| CCK受容体拮抗薬あり | ブロックされる | 発揮される | 出やすくなる・増強 |
まとめると、末梢ではアデノシンとβ-エンドルフィンが痛みを抑え、CCKはオピオイドを邪魔するので鍼鎮痛が弱くなる、という構図です。