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便秘の弁証・配穴・国試ポイントべんぴ

このページは便秘の東洋医学的な弁証(熱秘・気秘・虚秘・冷秘)と鍼灸治療を担当します。便秘とは便が大腸内に停滞し、直腸からスムーズに排出できない状態で、排便回数の減少・排便困難・残便感を主症状とし、高齢者や女性に多くみられます。東洋医学では体質や体内バランスの乱れを重視し、「証」に応じた治療で根本改善を目指します。

便秘|便秘 1
読み方べんぴ
定義便が大腸内に停滞し、直腸からスムーズに排出できない状態。排便回数の減少・排便困難・残便感が主症状
主な証(弁証)熱秘(ねつひ)・気秘(きひ)・虚秘(きょひ)・冷秘(れいひ)の4タイプ
病態のとらえ方熱=腸の津液消耗、気滞=気の滞り、虚=気血不足、冷=陽気不足による腸の動きの低下
治法熱秘=清熱・潤火・潤腸/気秘=理気・行気・通腸/虚秘=補気・養血・潤腸/冷秘=温陽・散寒・通腸
代表的な配穴(主な選穴)大腸兪・天枢・上巨虚・足三里
補瀉の使い分け熱秘=瀉法、虚秘=補法、冷秘=補法
禁忌・注意(危険な兆候)血便・腹部腫瘤・激しい腹痛・嘔吐・排便排ガス停止は器質性便秘(大腸癌・腸閉塞など)を疑い速やかに医療機関へ
国試での狙われ方4証と症状・治法・配穴の対応、証ごとの補瀉、器質性と機能性の鑑別、ブリストル便形状スケール

便秘の東洋医学的分類 ― 熱秘・気秘・虚秘・冷秘

東洋医学では便秘を4つのタイプ(証)に分類し、病態に応じた治療を行います。体質や体内バランスの乱れを重視し、証に応じた治療を基本として、自然治癒力を高めて根本改善を目指すのが特徴です。証・症状・治法・配穴の対応が国試の最頻出ポイントです。

主な症状原因(病態)治療のポイント(治法)よく使う経穴・治療法
熱秘(ねつひ)便が硬くて出ない/お腹が張って痛い/口が渇く、口臭/顔が赤い、イライラ体内に熱がこもり、腸の津液を消耗して便が硬くなる清熱・潤火・潤腸で熱を取り除き、腸を潤す合谷・大腸兪・天枢・曲池・上巨虚 など
気秘(きひ)便が出ない・出にくい/お腹が張る、ゲップ/イライラしやすい/ため息が多いストレスや気の滞りで腸の動きが悪くなり、便が停滞する理気・行気・通腸で気の流れを整え、腸の動きを促す太衝・中脘・天枢・膻中・足三里 など
虚秘(きょひ)便が硬くて出にくい/疲れやすい、だるい/顔色が悪い/めまい、動悸気血が不足し、腸に栄養が行き渡らず、便を押し出す力が弱くなる補気・養血・潤腸で気血を補い、腸を潤す足三里・三陰交・脾兪・大腸兪・関元 など
冷秘(れいひ)便が出ない・硬い/お腹が冷えて痛い/手足が冷える/寒がり、疲れやすい体が冷えて陽気が不足し、腸の動きが低下して便が停滞する温陽・散寒・通腸で体を温め、腸の働きを高める関元・命門・大腸兪・足三里・気海 など
東洋医学における便秘の4分類(熱秘・気秘・虚秘・冷秘)と治法・配穴
東洋医学における便秘の4分類(熱秘・気秘・虚秘・冷秘)と治法・配穴

鍼灸治療の主な選穴と証に応じた補瀉

便秘の鍼灸治療は大腸の働きを整え、自然な排便を促すことが目的です。大腸の伝化機能を整える、腸の動きを改善する、便秘の根本改善を目指す、の3点が治療目的として挙げられます。ツボの選択は証に基づいて行い、鍼とお灸を組み合わせると効果が上がります。生活指導や食事・運動も合わせて行うことが改善のカギです。

病態補瀉ねらい
熱秘(ねつひ)体に熱がこもり、便が硬くなるタイプ瀉法(しゃほう)熱を冷まし、腸の熱を取り除く
虚秘(きょひ)気血不足で便が出にくいタイプ補法(ほほう)気血を補い、腸を潤して動きを促す
冷秘(れいひ)体が冷えて便が出にくいタイプ補法(ほほう)体を温め、陽気を補い腸の働きを高める
便秘の主な選穴(大腸兪・天枢・上巨虚・足三里)と証に応じた補瀉の使い分け
便秘の主な選穴(大腸兪・天枢・上巨虚・足三里)と証に応じた補瀉の使い分け

治療前に必ず行う鑑別 ― 器質性便秘の除外

弁証に入る前に、器質性か機能性かの区別が必須です。器質性便秘は腫瘍・狭窄・炎症などの病変によるもので、重篤な疾患の可能性があり早期発見・受診が重要です。次の症状があれば鍼灸の適応外と判断し、速やかに医療機関へ紹介します。

これらは大腸癌や腸閉塞など重大な疾患の可能性を示します。機能性便生は大腸の動きが低下して便が停滞するもので、原因は生活習慣・ストレス・加齢などです。機能性便秘はさらに排便回数減少型(排便回数が少ない・便が停くなりやすい・お腹が張りやすい)と排便困難型(いきんでも出にくい・残便感がある・排便に時間がかかる)に分かれ、前者は大腸の動きを高め、後者は骨盤底筋や直腸の働きを整えるのが対応のポイントです。

機能性便秘と器質性便秘の区別、および要注意症状(レッドフラッグ)
機能性便秘と器質性便秘の区別、および要注意症状(レッドフラッグ)

便の評価 ― ブリストル便形状スケール

便の状態はブリストル便形状スケールで評価し、便を7つのタイプに分類します。治療の効果判定・生活指導の目安・便の状態を正しく把握するのに役立ちます。

名称性状
1型コロコロ便硬くてコロコロの兎糞状の便
2型硬い便ソーセージ状であるが硬い便
3型やや硬い便表面にひび割れのあるソーセージ状の便
4型理想的な便表面が滑らかで柔らかいソーセージ状の便
5型やや柔らかい便形のある柔らかい半固形状の便
6型泥状便境界がぼやけてふにゃふにゃの不定形の小片便
7型水様便水様で固形物を含まない液体状の便
ブリストル便形状スケール(便秘は1〜2型、理想は4型、下痢は6〜7型)
ブリストル便形状スケール(便秘は1〜2型、理想は4型、下痢は6〜7型)

過敏性腸症候群(IBS)との関連

便秘の背景として過敏性腸症候群(IBS)を念頭に置きます。IBSは腹痛と便通異常を繰り返す機能性疾患で、ストレスとの関連が深いのが特徴です。主な症状は腹痛・腹部膨満感・ガス症状。診察では便の状態・生活習慣・精神的ストレスを評価します。ストレスは東洋医学でいう気の滞り(気秘)とも重なる病態で、理気の治療が奏功しやすい領域です。

略称特徴
便秘型IBS-C便秘がちでお腹が張る、腹痛が続く
下痢型IBS-D下痢を繰り返す、急な腹痛
混合型IBS-M便秘と下痢を繰り返す
過敏性腸症候群(IBS)の3タイプと主な症状・評価ポイント
過敏性腸症候群(IBS)の3タイプと主な症状・評価ポイント

東洋医学的な養生・生活指導

鍼灸治療と並行して、脾胃を整え、気血の巡りを良くする養生指導を行います。東洋医学のアプローチは、証を見極めて根本原因を分析し、漢方薬・鍼灸治療・生活養生指導を組み合わせ、体のバランスを整えて再発しにくい健康な腸内環境をつくることを目標とします。

東洋医学の知恵による便秘の予防と養生指導
東洋医学の知恵による便秘の予防と養生指導
国試ポイント
① 便秘の4証は熱秘・気秘・虚秘・冷秘。治法は順に「清熱・潤火・潤腸」「理気・行気・通腸」「補気・養血・潤腸」「温陽・散寒・通腸」。
② 補瀉は熱秘=瀉法、虚秘=補法、冷秘=補法。実熱には瀉、虚・寒には補と灸を組み合わせる。
③ 主な選穴は大腸兪・天枢・上巨虚・足三里。上巨虚は大腸の下合穴として「大腸の熱を冷ます」働きが問われる。
④ 気秘には太衝・中脘・天枢・膻中・足三里。ストレス由来の気滞なので理気穴(太衝・膻中)が並ぶ点が識別ポイント。
⑤ 冷秘には関元・命門・大腸兪・足三里・気海と温める穴が並ぶ。虚秘の三陰交・脾兪との違いに注意。
⑥ 血便・腹部腫瘤・激しい腹痛・嘔吐・排便排ガス停止は器質性(大腸癌・腸閉塞)を疑い、鍼灸より受診を優先させる。
・ ブリストル便形状スケールは7分類。便秘は1〜2型、理想は4型、下痢は6〜7型。
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