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悪心・嘔吐の原因とセルフケア・生活指導の国試ポイントおしん・おうとのげんいんとせるふけあ

このページは悪心・嘔吐の原因(西洋医学的な代表疾患)セルフケア・生活指導・養生に絞って解説します。悪心=吐き気の不快感嘔吐=嘔吐中枢を介して胃内容物を排出する反射という区別が出発点で、まず重篤な病気を除外してから、鍼灸と生活習慣の是正で症状改善と再発予防を目指します。

悪心・嘔吐の原因とセルフケア|悪心・嘔吐の原因とセルフケア 1
読み方おしん・おうと(悪心・嘔吐)
定義悪心=吐き気の不快感/嘔吐=胃内容物を排出する反射。嘔吐は嘔吐中枢が関与する
代表的な原因疾患機能性ディスペプシア(胃もたれ・心窩部痛・早期満腹感)、胃食道逆流症(胸やけ・呑酸)
東洋医学的な機序胃気上逆。正常では胃気は下降するが、受納・降濁の障害により胃気が上逆して悪心・嘔吐となる
主な証(弁証)外感・食滞・脾胃虚弱・痰飲・肝胃不和・胃陰虚(スライド5)。ほかに気虚・血虚・肝気鬱結・脾胃虚弱(スライド10)
治法・代表的な配穴胃気を降ろして止嘔する。中脘・足三里・内関・公孫を用い、病態に応じて補瀉を使い分ける
特殊な応用内関への刺激と低周波通電で胃の運動を整える。術後の悪心、化学療法による悪心、つわりに応用(合谷・足三里も併用)
セルフケア・生活指導少量ずつ食べる/生姜を適量に/内関を指圧。控える=ストレス・睡眠不足・暴飲暴食・脂っこい食事・香辛料・就寝前の食事。整える=十分な睡眠・適量の食事・規則正しい生活・体重管理
禁忌・注意(危険な兆候)脳・消化管の重篤疾患、発熱、胸痛、出血、感染などを示唆する危険な症状は速やかに医療機関へ
国試での狙われ方悪心と嘔吐の定義の区別、胃気上逆と受納・降濁、証と配穴の対応、内関の止嘔作用、生活指導の内容

悪心と嘔吐はどう違うのか

まず用語の区別からです。スライドでは次のように整理されています。

つまり悪心は「感じるもの」、嘔吐は「起こる反射」で、悪心があっても嘔吐しないことも、悪心なく嘔吐することもあります。国試ではこの定義の入れ替えが定番の引っかけです。

悪心=吐き気の不快感、嘔吐=胃内容物を排出する反射(嘔吐中枢)
悪心=吐き気の不快感、嘔吐=胃内容物を排出する反射(嘔吐中枢)

まず重篤な病気を除外する(レッドフラッグ)

鍼灸の適応を判断する前に、重篤な病気の除外が最優先です。スライドでは脳(頭蓋内疾患)、消化管、感染症、腫瘍などが背景として挙げられ、危険な症状は速やかに医療機関へと明示されています。

これらがあれば施術で経過を見ずに医療機関へつなぐ。リスク管理の設問はここが答えになります。

重篤な病気を除外。危険な症状は速やかに医療機関へ
重篤な病気を除外。危険な症状は速やかに医療機関へ

悪心・嘔吐の代表的な原因疾患

重篤疾患を除外したうえで、日常臨床で出会いやすい代表的な原因がこの2つです。症状の組み合わせで見分けます。

原因疾患特徴的な症状
機能性ディスペプシア胃もたれ・心窩部痛・早期満腹感
胃食道逆流症(GERD)胸やけ・呑酸
代表的な原因=機能性ディスペプシアと胃食道逆流症
代表的な原因=機能性ディスペプシアと胃食道逆流症

東洋医学の機序:胃気上逆と受納・降濁の障害

東洋医学では、正常では胃気は下降しています。飲食物を受け入れ(受納)、濁ったものを下へ降ろす(降濁)のが胃の働きです。

したがって治療の基本方針は「胃気を降ろして止嘔する」ことになります。

正常は胃気下降、異常は胃気上逆。受納・降濁の障害
正常は胃気下降、異常は胃気上逆。受納・降濁の障害

証に応じて治療を選ぶ

原因を見極めて配穴を選ぶのが鍼灸の考え方です。スライドに挙げられている証は次のとおりです(記載どおり)。

スライド上の分類イメージ
外感外邪(風寒など)の侵襲によるもの
食滞飲食の停滞によるもの
脾胃虚弱脾胃の働きの低下によるもの
痰飲水湿・痰飲の停滞によるもの
肝胃不和肝が胃を犯すもの(情志の影響)
胃陰虚胃の陰液不足によるもの

さらに別のスライドでは、証に応じた鍼灸の例として気虚・血虚・肝気鬱結・脾胃虚弱も示されています。証名は選択肢でそのまま問われるので、漢字まで正確に覚えてください。

外感・食滞・脾胃虚弱・痰飲・肝胃不和・胃陰虚。原因を見極め配穴を選ぶ
外感・食滞・脾胃虚弱・痰飲・肝胃不和・胃陰虚。原因を見極め配穴を選ぶ

胃気を降ろして止嘔する配穴と内関への通電

スライドに示された配穴は次の4穴です。ここに書かれていない経穴を勝手に足さないことが学習上も大切です。

経穴部位のイメージ(スライドの図示)ねらい
中脘上腹部正中(心窩部と臍の間)胃の募穴として胃気を調える
足三里下腿前面、膝下脾胃を調え胃気を降ろす
内関前腕前面、手関節から近位の正中止嘔の代表穴
公孫足内側内関と組み合わせて胃を調える

刺激方法は一律ではなく、病態に応じて補瀉を使い分けるとされています。

応用として、内関刺激と低周波通電があります。胃の運動を整えて悪心・嘔吐を改善するもので、施術前の「不規則な胃の動き」が施術後には「スムーズで規則的な動き」になると図示されています。適応として挙げられているのは次の3つです。

このスライドでは併用穴として合谷足三里も示されています。

内関刺激と低周波通電。術後の悪心・化学療法による悪心・つわりに
内関刺激と低周波通電。術後の悪心・化学療法による悪心・つわりに

悪心・嘔吐を防ぐ生活習慣とセルフケア

このページの本題である養生です。スライドは「控えるもの」と「整えるもの」に分けて整理しています。

控える整える
ストレス十分な睡眠
睡眠不足適量の食事
暴飲暴食規則正しい生活
脂っこい食事体重管理
香辛料 
就寝前の食事 

そのうえで、患者自身が行えるセルフケアとして次の3つが挙げられています。

脂っこい食事・香辛料・就寝前の食事を控えるのは胃食道逆流症の悪化因子対策としても理にかない、ストレスと睡眠不足の是正は肝気鬱結・肝胃不和の背景に対応します。生活指導が弁証と地続きである点が、このテーマの面白いところです。

少量ずつ食べる・生姜を適量に・内関を指圧
少量ずつ食べる・生姜を適量に・内関を指圧

西洋医学と東洋医学を組み合わせる

まとめのスライドでは、3本柱を組み合わせて症状改善と再発予防へつなげる流れが示されています。

鍼灸単独ではなく、除外診断と生活指導を含めた総合的な関わりが答えになる設問が増えています。

原因疾患の評価と医療連携・証に応じた鍼灸・生活指導で症状改善と再発予防へ
原因疾患の評価と医療連携・証に応じた鍼灸・生活指導で症状改善と再発予防へ
国試ポイント
① 悪心は吐き気の不快感(主観的症状)、嘔吐は胃内容物を排出する反射で嘔吐中枢が関与する。定義の入れ替えに注意。
② 悪心・嘔吐の東洋医学的本質は胃気上逆であり、受納・降濁の障害。治法は胃気を降ろして止嘔する。
③ スライドに示された証は外感・食滞・脾胃虚弱・痰飲・肝胃不和・胃陰虚。別スライドでは気虚・血虚・肝気鬱結・脾胃虚弱も挙げられる。
④ 配穴は中脘・足三里・内関・公孫の4穴で、病態に応じて補瀉を使い分ける。
⑤ 内関刺激と低周波通電は胃の運動を整え、術後の悪心・化学療法による悪心・つわりに応用される(合谷・足三里も併用)。
⑥ 代表的原因疾患は機能性ディスペプシア(胃もたれ・心窩部痛・早期満腹感)と胃食道逆流症(胸やけ・呑酸)。症状の組み合わせで判別する。
・ 生活指導は控える=ストレス・睡眠不足・暴飲暴食・脂っこい食事・香辛料・就寝前の食事、整える=十分な睡眠・適量の食事・規則正しい生活・体重管理。
・ 発熱・胸痛・出血など危険な症状があれば施術を続けず速やかに医療機関へ。重篤疾患の除外が最優先。
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