髄膜炎は、脳と脊髄をおおう髄膜(硬膜・くも膜・軟膜)に炎症が起こる病気です。ウイルス性・細菌性・結核性・真菌性の4つに分類され、発熱・頭痛・嘔吐・項部硬直などの髄膜刺激症状が特徴です。診断は腰椎穿刺による髄液検査が中心で、原因によって髄液所見・治療・予後が大きく異なります。
| 読み方 | ずいまくえん |
|---|---|
| 分類 | 中枢神経系の感染症(髄膜の炎症) |
| 主な原因 | ウイルス・細菌・結核菌・真菌の感染 |
| 感染経路 | 血行性(血液から)/近くの部位(副鼻腔・中耳)から波及 |
| 主な症状 | 発熱・頭痛・嘔吐・項部硬直(髄膜刺激症状) |
| 検査・診断 | 腰椎穿刺による髄液検査(細胞数・蛋白・糖・圧) |
| 治療 | 原因別に抗菌薬・抗結核薬・抗真菌薬、ウイルス性は対症療法 |
| 予後 | ウイルス性は良好、細菌性・結核性は重症化・後遺症のリスク |
髄膜炎とは、脳や脊髄をおおう髄膜に炎症が起こる病気です。髄膜は外側から順に硬膜・くも膜・軟膜の3層で構成されます。
感染の広がり方には大きく2つの経路があります。
髄膜炎は原因となる病原体によって、大きく4種類に分けられます。原因ごとに重症度・進行の速さ・予後が異なるのが国試の重要ポイントです。
| 分類 | 原因 | 特徴・経過 |
|---|---|---|
| ウイルス性 | ウイルス(エンテロ・エコー・コクサッキーなど) | 比較的軽症で自然に回復することが多い(無菌性髄膜炎) |
| 細菌性 | 肺炎球菌・髄膜炎菌・インフルエンザ菌(Hib)など | 重症化しやすく、早期の治療がとても大切 |
| 結核性 | 結核菌(Mycobacterium tuberculosis) | 結核が原因でゆっくり進行することが多い |
| 真菌性 | カビ(真菌)=クリプトコッカスが代表 | 免疫が弱い人に起こりやすく治療に時間がかかる |
小児に多い無菌性髄膜炎で、夏に流行しやすいのが特徴です。原因ウイルスはエンテロウイルス・エコーウイルス・コクサッキーウイルスなど。
主な症状
重症例では意識障害・けいれん発作・脳炎に注意が必要です。主に乳幼児や学童に多く、多くは自然に軽快しますが、重症例では早めの対応が重要です。原因はウイルスなので抗生剤(抗菌薬)は効かず、対症療法が基本となります。
診断には腰椎穿刺を行い、髄液(脳脊髄液)を採取して調べます。ウイルス性髄膜炎の髄液は次のような特徴を示します。
全体としてリンパ球優位・軽度の変化が中心で、予後は良好です。糖が下がらない点が細菌性・結核性との大きな鑑別ポイントになります。
細菌が髄膜に感染して炎症を起こす病気で、乳幼児に多い重症感染です。原因となる主な細菌は肺炎球菌・髄膜炎菌・インフルエンザ菌(Hib)。感染経路は血行感染・中耳炎から・副鼻腔炎からがあります。
主な症状:高熱・激しい頭痛・嘔吐・項部硬直・意識障害・けいれん など。
進行が早く、命に関わることもあるため、早期診断・早期治療(早期の抗菌薬投与)が命を守るカギです。治療は抗菌薬の点滴による迅速な対応・入院治療が基本で、早期治療で後遺症を防ぐことが重要です。
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)が原因で、ゆっくり進行する脳底髄膜炎です。肺結核などの病巣から血行性・リンパ行性に広がり、脳底部の髄膜に炎症が起こります。
主な病変部位は脳底槽・脳神経根・脳室周囲で、髄液の流れが妨げられて水頭症の原因になります。
主な症状・所見:頭痛・嘔吐・発熱・項部硬直・水頭症・脳神経麻痺(外転神経麻痺など)。
診断:ツベルクリン反応(強陽性が多い)、胸部X線(肺結核の合併を確認)、髄液所見(細胞数↑・蛋白↑・糖↓・リンパ球優位)、PCR・培養でM.tuberculosis陽性なら確定診断。
治療:抗結核薬の多剤併用が基本で、イソニアジド(INH)・リファンピシン(RFP)・ピラジナミド(PZA)・エタンブトール(EB)・ストレプトマイシン(SM)を用います。重症例ではステロイド併用が脳浮腫の軽減に有効です。早期診断・早期治療が予後を左右します。
真菌(カビ)が原因の髄膜炎で、クリプトコッカス(酵母様真菌)が代表です。免疫が低下した状態で起こりやすいのが特徴です。
リスク因子(免疫低下状態)
主な症状:頭痛・嘔吐・発熱・項部硬直。
診断:髄液検査での検出が中心。インク染色(墨汁法)で莢膜が黒く見えること、抗原検査(CrAg)陽性が診断の決め手です。
治療:抗真菌薬による治療が基本で、アムホテリシンB・フルシトシン・フルコナゾールを使用します。導入療法の後は維持療法を継続します。早期診断・早期治療が予後を左右します。