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化膿性腸腰筋炎
化膿性腸腰筋炎の病態・症状・診断・治療かのうせいちょうようきんえん
化膿性腸腰筋炎は、腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)に細菌が感染して膿瘍をつくる 化膿性の軟部組織感染症です。発熱・腰背部痛・股関節の屈曲拘縮 を三徴とし、原因菌は黄色ブドウ球菌が最多。造影CTが診断の決め手で、抗菌薬と膿瘍ドレナージで治療します。
読み方 かのうせいちょうようきんえん
分類 化膿性軟部組織感染症(腸腰筋膿瘍)
原因菌 黄色ブドウ球菌が最多(大腸菌・結核菌なども)
病型 原発性(血行性)/続発性(隣接臓器からの波及)
好発 原発性=小児・若年・糖尿病や免疫低下者/続発性=高齢者・基礎疾患あり
主な症状 発熱・腰背部/側腹部/鼠径部痛・股関節屈曲拘縮
特徴的所見 腸腰筋徴候(psoasサイン)陽性・股関節伸展時痛
検査・診断 血液(WBC↑・CRP↑)・血液培養・造影CT(第一選択)・MRI
治療 抗菌薬+膿瘍ドレナージ(CTガイド下穿刺または外科的排膿)
化膿性腸腰筋炎とは(病態)
化膿性腸腰筋炎は、股関節を屈曲させる腸腰筋(大腰筋+腸骨筋) に細菌が感染し、筋内に膿がたまって膿瘍を形成する疾患です。腸腰筋膿瘍とも呼ばれます。
原発性(血行性) :離れた感染巣から血流にのって菌が腸腰筋へ運ばれる。小児・若年者や、糖尿病・免疫抑制状態・静注薬物使用者に多い。続発性(波及性) :腸腰筋の近くにある臓器の感染が直接広がる。化膿性脊椎炎・腰椎椎体炎 、虫垂炎、クローン病などの腸炎、尿路感染、化膿性股関節炎などが原因となる。高齢者や基礎疾患のある人に多い。原因菌は黄色ブドウ球菌 が最も多く、続発性では原因臓器に応じて大腸菌などのグラム陰性桿菌も見られます。
主な症状
発症はやや緩徐なことが多く、以下の症状がそろうほど疑いが強まります。
発熱 :全身の炎症を反映して高熱が出ることが多い。腰背部痛・側腹部痛・鼠径部痛 :膿瘍のある側に痛みが出る。大腿前面へ放散することもある。股関節の屈曲拘縮 :痛む腸腰筋を緩める姿勢として、患側の股関節を屈曲・外旋位 に保つ。無理に伸展させると痛む。歩行時の跛行、腸腰筋の緊張による可動域制限。 古典的三徴として「発熱・腰痛・股関節屈曲位」 が挙げられますが、三つすべてがそろう例は多くなく、非特異的症状から診断が遅れやすい点に注意します。
診察所見と検査・診断
身体診察では腸腰筋の刺激徴候を確認します。
腸腰筋徴候(psoasサイン) :股関節を伸展させる、または抵抗下に屈曲させると腸腰筋が刺激されて疼痛が誘発される。患側股関節の伸展制限・伸展時痛。 検査では次の所見が診断の柱になります。
血液検査 :白血球(WBC)増加、CRP上昇、赤沈亢進など炎症反応。起炎菌同定のため血液培養 を行う。造影CT :診断の第一選択。腸腰筋の腫大と内部の低吸収域、膿瘍壁のリング状増強(ring enhancement)を確認できる。ドレナージ計画にも有用。MRI・超音波 :膿瘍の広がりや軟部組織の評価に用いる。化膿性股関節炎・化膿性脊椎炎・虫垂炎・後腹膜腫瘍などとの鑑別が必要です。
治療と予後
治療の基本は抗菌薬投与と膿瘍のドレナージ(排膿) の組み合わせです。
抗菌薬 :まず黄色ブドウ球菌を想定した経験的治療を開始し、培養結果に応じて調整する。ドレナージ :CTガイド下の経皮的穿刺排膿が第一選択。膿瘍が大きい・改善しない場合は外科的ドレナージを行う。原疾患の治療 :続発性では化膿性脊椎炎や腸管感染など原因病巣の治療も並行する。早期に診断し適切に排膿・抗菌薬治療を行えば予後は良好です。診断が遅れると膿瘍の拡大や敗血症に至ることがあり、早期発見・早期治療が重要です。
国試ポイント
① 腸腰筋(大腰筋+腸骨筋)に膿瘍を形成する化膿性感染症で、原因菌は黄色ブドウ球菌が最多
② 三徴は発熱・腰背部痛・股関節屈曲拘縮。患側股関節を屈曲位に保つのが特徴
③ 腸腰筋徴候(psoasサイン)陽性、股関節伸展で疼痛が誘発される
④ 造影CTが診断の第一選択(腸腰筋腫大・膿瘍のリング状増強)
⑤ 続発性は化膿性脊椎炎など隣接感染からの波及が多い
⑥ 治療は抗菌薬+膿瘍ドレナージ。早期治療で予後良好
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