頭部の診察は視診(見る)と触診(触れて調べる)が基本で、頭の大きさ・形・頭皮や毛髪の状態から全身疾患のサインを読み取ります。国家試験では大頭症・水頭症・小頭症・脱毛症の4テーマが定番で、とくに水頭症の落陽現象(sunsetting sign)と小頭症の脳発育障害、円形脱毛症の境界明瞭な脱毛斑が繰り返し問われます。
| 読み方 | とうぶのしんさつ |
|---|---|
| 分類 | 臨床医学総論/診察法(局所の診察・視診と触診) |
| 基本手技 | 視診(見る)+触診(触れて調べる) |
| 観察項目 | 頭の大きさ・形、頭蓋骨縫合、頭囲、前額の突出、眼球の位置、頭皮・毛髪の状態 |
| 主な異常所見 | 大頭症(頭が異常に大きい)、小頭症(頭が異常に小さい)、脱毛症 |
| 大頭症の原因 | 水頭症・先端巨大症・変形性骨炎 |
| 水頭症の特徴 | 脳脊髄液の脳室内貯留→脳室拡大・頭蓋骨縫合離開・頭囲増大・前額突出・落陽現象・知能発達遅延 |
| 小頭症の特徴 | 脳の発育障害により頭が小さい/高度知能障害を伴う |
| 判定の基準 | 頭囲を測定し、年齢・性別の標準値と比較する |
頭部の診察は特別な器具を使わずに行える視診と触診が基本です。頭の大きさ・形の左右差、頭蓋骨の縫合の状態、頭皮や毛髪の異常を観察し、必要に応じて頭囲を計測して年齢・性別の標準値と比較します。
頭部の異常は脳や内分泌、骨の疾患を反映するため、「頭の形や大きさ=全身のサイン」として捉えることが大切です。
大頭症は頭が異常に大きい状態をいい、国家試験では原因疾患の組み合わせがそのまま出題されます。原因によって「なぜ大きくなるのか」が異なるので、機序ごとに整理して覚えましょう。
| 原因疾患 | 大きくなる機序 | 特徴 |
|---|---|---|
| 水頭症 | 脳脊髄液が脳室内に貯留し脳室が拡大 | 乳児の大頭症の代表的原因。落陽現象・発達遅延を伴う |
| 先端巨大症 | 成長ホルモンの異常(過剰) | 頭蓋骨や顔面が大きくなる。手足の末端も肥大 |
| 変形性骨炎(骨Paget病) | 骨の異常な増殖 | 頭蓋骨の変形・肥大が起こる |
水頭症は脳脊髄液(CSF)が脳室内に貯留して脳室が拡大し、頭蓋内圧が上昇して頭が大きくなる状態です。頭部の診察のなかでもっとも国試に出るテーマで、所見はセットで問われます。
落陽現象とは眼球が下向きになった状態で、上を向かせようとすると強膜(白目)が虹彩の上に見えるのが特徴です。ほかに頭痛・嘔吐・易刺激性などの頭蓋内圧亢進症状もみられ、早期発見と治療が重要です。
流れとしては「脳脊髄液の貯留 → 脳室拡大 → 頭が大きくなる」と押さえ、そこに落陽現象と発達遅延を足すのが得点源です。
小頭症は頭が異常に小さい状態で、脳の発育障害によって起こります。頭囲が年齢・性別の基準値より小さいことで判定し、高度な知能障害や発達遅延を伴うことが多いのが特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 頭が異常に小さい状態(頭囲が年齢・性別の標準値より小さい) |
| 原因(機序) | 脳の発育障害 |
| 主な原因の例 | 先天性感染症(トキソプラズマ症・サイトメガロウイルス感染など)、遺伝性疾患、妊娠中の栄養障害、胎内の低酸素状態 |
| 合併しやすい症状 | 高度知能障害・発達遅延 |
| 診察のポイント | 頭囲測定と標準値との比較/発達の遅れ・神経学的異常の有無/家族歴・妊娠分娩歴の聴取 |
頭部の診察では頭皮と毛髪も観察対象です。脱毛は老化現象の一つであり、遺伝的要因や精神的ストレスも関与しますが、原因が特定できないものも少なくありません。
| 種類 | 脱毛の分布 | 特徴 |
|---|---|---|
| 男性型脱毛症(AGA) | 前頭部・頭頂部 | 前頭部や頭頂部から薄毛が進行する |
| 女性型脱毛症(FAGA) | 頭頂部中心 | 頭頂部を中心に髪が全体的に薄くなる |
| 円形脱毛症 | 限局した脱毛斑 | 境界明瞭な円形または不規則な脱毛斑。原因は不明のことが多い |
国家試験では次の対応関係がそのまま選択肢になります。丸ごと覚えてしまいましょう。
「大頭症=水頭症」「水頭症=落陽現象」「小頭症=脳発育障害」「円形脱毛症=境界明瞭」の4対応を押さえれば、頭部の診察の問題は確実に取れます。