筋肉の診察とは、末梢神経障害や筋疾患による運動障害が疑われるときに、筋そのものを詳しく観察する診察法です。見るポイントは筋の形・筋力・筋萎縮の有無・筋肥大の有無・筋トーヌス・圧痛・徒手筋力検査の7つで、いずれも左右差を比較することが最大のコツになります。国家試験では、筋萎縮の一次性/二次性の分類と、萎縮の分布から原因疾患を推定させる問題が頻出です。
| 読み方 | きんにくのしんさつ |
|---|---|
| 分類 | 臨床医学総論/診察法(視診・触診・徒手検査) |
| 目的・意義 | 末梢神経障害・筋疾患による運動障害の有無と原因部位の推定 |
| 観察項目 | 筋の形/筋力/筋萎縮の有無/筋肥大の有無/筋トーヌス/圧痛/徒手筋力検査(MMT) |
| 最重要のコツ | 左右を見比べて左右差を比較すること |
| 筋萎縮とは | 筋肉がやせて小さくなる状態。長期間使わないと起こる萎縮=廃用性萎縮 |
| 筋萎縮の分類 | 一次性筋萎縮(=筋原性)/二次性筋萎縮(=神経原性・廃用性) |
| 筋萎縮の問診項目 | 発症部位/進行のしかた/進行性か/感覚障害/神経症状/発病年齢/家族歴 |
| 分布による分類 | 四肢全域/四肢遠位優位/四肢近位優位/分散型・局在型/特異的局在型 |
末梢神経障害や筋疾患による運動障害がある場合、筋肉そのものをよく診察します。視診・触診・徒手検査を組み合わせ、必ず左右を見比べながら観察するのが基本です。
特に大事:左右差の比較。健側と患側を見比べることで、わずかな萎縮や筋力低下も拾えます。
筋萎縮とは、筋肉がやせて小さくなる状態をいいます。筋肉は職業やスポーツなどでよく使うと発達し、逆に長期間使わないと萎縮します。この使わないことで起こる萎縮を廃用性萎縮といいます(ギプス固定・長期臥床・安静などが典型)。
筋萎縮をみつけたら、原因疾患を推定するために発症の経過を細かく確認します。とくに「どこから始まり、どう進んだか」が最重要のヒントになります。
| 確認項目 | 何がわかるか |
|---|---|
| どの部位から始まったか | 病変部位(中枢/末梢/筋)の推定 |
| どのように進行したか | 上行性・下行性など進行パターン |
| 進行性かどうか | 進行性疾患か、廃用など非進行性か |
| 感覚障害があるか | あれば末梢神経障害を疑う(筋疾患では通常なし) |
| 神経症状があるか | 運動ニューロン障害・神経原性の手がかり |
| 発病年齢 | 筋ジストロフィーなど遺伝性疾患の鑑別 |
| 家族歴 | 遺伝性疾患の有無 |
筋萎縮は大きく一次性筋萎縮と二次性筋萎縮に分けられます。一次性=筋原性(筋肉そのものの病気)、二次性=神経原性・廃用性(神経障害や不使用が原因)と整理して覚えます。
| 分類 | 原因 | 代表例 |
|---|---|---|
| 一次性筋萎縮(筋原性) | 筋肉そのものの病気 | 筋ジストロフィー、筋炎、代謝性・内分泌性ミオパチー |
| 二次性筋萎縮(神経原性・廃用性) | 神経の障害や筋を使わないこと | 上位運動ニューロン障害、下位運動ニューロン障害、末梢神経障害、廃用性萎縮 |
「どこがやせているか」で原因疾患を絞り込めます。一般に遠位優位は神経原性、近位優位は筋疾患(筋原性)を考えやすいのがポイントです。
| 分布のタイプ | 特徴 | 代表疾患 |
|---|---|---|
| 四肢全域に及ぶもの | 四肢全体に広がる | 多発性神経炎、筋緊張性ジストロフィー |
| 四肢遠位に偏るもの | 手足の先のほうに目立つ | 脊髄性進行性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、神経性進行性筋萎縮症(シャルコー・マリー・トゥース病) |
| 四肢近位に偏るもの | 肩・股関節まわりなど体幹に近い筋に目立つ | 進行性筋ジストロフィー(デュシェンヌ型、肢帯型) |
| 分散型・局在型 | 一部の筋に限局 | 脊髄腫瘍、脊髄空洞症、末梢神経損傷、脊髄神経根症(椎間板ヘルニアなど) |
| 特異的局在型 | 特徴的な部位に出る | 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー |