このページはやせ(るい痩)を東洋医学的に弁証し、鍼灸でどう治療するかに絞って解説します(西洋医学的な鑑別疾患の詳細は臨床医学系のページが担当)。やせはBMI18.5未満が目安で、まず体重減少の原因を確認するのが大前提。東洋医学では脾胃・腎・胃陰・肝のバランスの乱れとして捉え、体を養う力を整えることを治療の軸にします。
| 読み方 | やせ(るいそう) |
|---|---|
| 定義 | 体重が標準より少ない状態。BMI18.5未満が目安 |
| まず確認すること | 体重減少の原因(急激な減少は要注意) |
| 西洋医学的な3つの機序 | 摂取不足・代謝亢進・エネルギー利用障害 |
| 主な証(弁証) | 脾気虚・脾陽虚・腎陽虚・胃陰虚・陰虚火旺・腎精不足・肝鬱気滞 |
| 東洋医学で診る臓腑 | 脾胃・腎・胃陰・肝のバランス |
| 主な治法 | 健脾益気/温補脾腎/滋陰・清熱/補腎填精・疏肝理気 |
| 刺激量の原則 | 虚証には優しい刺激(少数穴・弱刺激・灸の併用) |
| 医療面での注意 | 急激な体重減少や消化器症状・口渇・多尿・抑うつ気分があれば専門医へ |
| 国試での狙われ方 | 証と随伴症状・治法の組合せ、BMI基準値、専門医紹介が必要な兆候 |
やせ(るい痩)は体重が標準を下回った状態で、スライドではBMI18.5未満が目安とされています。鍼灸臨床では「やせ」という現象そのものよりも、体重減少の原因を確認することが最初の仕事になります。
とくに急激な体重減少は危険信号です。次のような症状を伴う場合は施術を優先せず、専門医へ紹介します。
スライドでは、やせの原因を大きく3つの機序に整理しています。いずれの場合も原因疾患の治療を優先するのが原則です。
| 機序 | 内容のイメージ |
|---|---|
| 摂取不足 | 食事から入ってくるエネルギーそのものが足りない(食欲不振・消化管の問題など) |
| 代謝亢進 | 消費が過剰に燃え上がっている状態 |
| エネルギー利用障害 | 高血糖など、取り込んだエネルギーを細胞・ミトコンドリアで使えない状態 |
東洋医学では、やせを脾胃・腎・胃陰・肝のバランスの問題として捉えます。飲食物から気血を作る脾胃、生命力の土台である腎、潤いを担う胃陰、気の巡りを司る肝。この4つのどこが崩れているかを見極め、体を養う力を整えるのが治療方針です。
国試で最も狙われるのが証・随伴症状・治法の組合せです。スライドに示された4分類を表で整理します。
| 証 | 主な随伴症状 | 治法 |
|---|---|---|
| 脾気虚 | 食欲不振・下痢・疲労感 | 健脾益気(体を養う) |
| 脾陽虚・腎陽虚 | 冷え・むくみ・慢性的な下痢 | 温補脾腎(温める) |
| 胃陰虚・陰虚火旺 | 乾燥・ほてり・強い空腹感(寝汗・口渇) | 滋陰・清熱(潤いを補う) |
| 腎精不足 | 加齢による衰え(筋肉・骨・歯の衰え、物忘れ) | 補腎填精(体の土台を整える) |
| 肝鬱気滞 | 精神的ストレス、胃のつかえ・張り、嘔気、腹部膨満 | 疏肝理気(気の巡りを整える) |
寒熱で真っ二つに分かれるのが最大の鑑別ポイントです。
同じ「やせ」でも、冷えて痩せるのか、熱で焼けて痩せるのかで治法が正反対になります。
鍼灸治療は病証に応じて経穴を選ぶのが原則です。スライドでは選穴の方針が3つの系統で示されています(具体的な経穴名の明示はありません)。
刺激量の原則は「虚証には優しい刺激」。やせの多くは虚証であり、強刺激は消耗を助長します。
生活指導は休養・食事・ストレスケアの3本柱で、目的は一貫して体を消耗させないことです。