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食欲不振の弁証・配穴・国試ポイントしょくよくふしん

このページは食欲不振を東洋医学の弁証と鍼灸治療の切り口から扱います(西洋医学的な原因疾患の鑑別は臨床医学系ページが担当)。東洋医学では食欲不振を脾胃・肝の失調としてとらえ、脾胃虚弱・脾胃湿熱・食滞胃脘・胃陰虚・肝鬱気滞の5証に分けて考えます。証が違えば治法も選穴も変わるため、「証と治法と配穴」の3点セットで覚えるのが国試対策の近道です。

食欲不振|食欲不振 1
読み方しょくよくふしん
定義食欲が低下し食事量が減る状態。続くと栄養不足や体重減少をきたす
東洋医学的なとらえ方脾胃・肝の失調として考える(消化吸収と気の巡りの問題)
主な証(弁証)脾胃虚弱/脾胃湿熱/食滞胃脘/胃陰虚/肝鬱気滞
治法健脾益気/清熱去湿/消食導滞/滋陰養胃/疏肝理気
代表的な配穴中脘・足三里・陰陵泉・脾兪・胃兪(証により上脘・内庭・太渓・三陰交・太衝・期門)
手技の原則証に応じて補瀉を使い分ける(補=気を補う/瀉=余分を取り除き巡りを整える)
危険徴候・注意体重減少、繰り返す嘔吐、吐血・黒色便、嚥下困難、急激な悪化 → 早めに受診・専門医へ紹介
国試での狙われ方証と治法の組み合わせ、証ごとの代表穴、危険徴候の判断、器質的疾患の除外

東洋医学では脾胃・肝の失調として考える

食欲不振はさまざまな原因で起こりますが、東洋医学では脾胃(消化吸収)と肝(気の巡り)の失調という枠組みでとらえます。原因を見極めて「証に合わせた治療」を組み立てるのが基本方針です。

東洋医学は「根本原因」にアプローチして、食欲と元気をサポートするという立場です。

食欲不振の5つの病証(脾胃虚弱・脾胃湿熱・食滞胃脘・胃陰虚・肝鬱気滞)
食欲不振の5つの病証(脾胃虚弱・脾胃湿熱・食滞胃脘・胃陰虚・肝鬱気滞)

病証ごとの治法と配穴【最重要】

国試で最も問われるのは「証 → 治法 → 配穴」の対応です。下表はスライドに示された組み合わせをそのまま整理したものです。

覚え方のコツは、虚(脾胃虚弱・胃陰虚)は補い、実(脾胃湿熱・食滞胃脘・肝鬱気滞)は取り除くという大枠をつかんでから各証の代表穴を紐づけること。とくに中脘は脾胃虚弱と脾胃湿熱の両方に登場する点、食滞胃脘だけ中脘ではなく上脘が挙げられている点が引っかけになりやすいところです。

証(病証)治法代表的な配穴主な症状
脾胃虚弱健脾益気足三里・中脘疲れやすい・食後にだるい・食が細い
脾胃湿熱清熱去湿陰陵泉・中脘口が苦い・口臭がある・胃が重だるい
食滞胃脘消食導滞内庭・上脘お腹が張る・ゲップ・食べすぎ・消化不良
胃陰虚滋陰養胃太渓・三陰交胃がもたれる・口が渇く・手足がほてる
肝鬱気滞疏肝理気太衝・期門ストレスで食欲低下・胸やけ・お腹が張る
病証ごとにツボを使い分ける(治法と配穴の対応)
病証ごとにツボを使い分ける(治法と配穴の対応)

鍼灸治療の進め方と代表的なツボ・補瀉

鍼灸では西洋医学と東洋医学の両面で評価し、器質的疾患を除外したうえで脾胃の機能を高め、消化吸収力をサポートします。

スライドに挙げられた代表的なツボは次の5穴です。

経穴位置の目安この主訴での役割
中脘腹部正中、臍とみぞおちの中間あたり(胃のあたり)脾胃を整える中心穴。脾胃虚弱・脾胃湿熱で使用
足三里下腿前面、膝下の前脛骨筋部脾胃虚弱の代表穴。健脾益気
陰陵泉下腿内側、膝の内側下方脾胃湿熱の代表穴。清熱去湿
脾兪背部、脊柱の両側背部から脾の機能を高める
胃兪背部、脊柱の両側(脾兪の下方)背部から胃の機能を高める
鍼灸では脾胃を整える。代表穴と補瀉の使い分け
鍼灸では脾胃を整える。代表穴と補瀉の使い分け

見逃してはいけない危険徴候(レッドフラッグ)

鍼灸師にとって最重要のリスク管理項目です。食欲不振に次の徴候を伴う場合、重篤な疾患が隠れている可能性があり、早めの受診・専門医への紹介が必要です。

これらは胃がん・食道がん・消化管出血など重大な病気のサインである可能性があり、専門的な検査や治療が必要です。早期発見が命を守ります。

食欲不振で見逃してはいけない5つの危険徴候
食欲不振で見逃してはいけない5つの危険徴候

問診で原因を探る・全身の評価

弁証の前提として問診が鍼になります。スライドでは、しっかり聞き出すポイントとして次の4点が挙げられています。

全身の状態を総合的に評価し、器質的疾患と機能的疾患を見極めることが目的です。なお、摂食障害やうつ病でも食欲は低下し、意欲や楽しみの低下・体重減少を伴うことがあるため、心と体の両方の評価が欠かせません。東洋医学でも「心と胃腸は深くつながる」と考えます。

問診で原因を探る。器質的疾患と機能的疾患を見極める
問診で原因を探る。器質的疾患と機能的疾患を見極める

生活指導とセルフケア

鍼灸治療と並行して、生活習慣とやさしい食事の指導を行います。

区分指導内容
生活習慣規則正しい生活で生活リズムを整える
睡眠十分な睡眠で体と心をしっかり休める
ストレス過労やストレスを減らし、リラックスする時間を大切に
運動適度な運動(軽い運動で気分もスッキリ)
食事①無理に食べず、少しずつ食べる
食事②消化にやさしい小分けの食事を
食事③香味野菜やさしい香辛料を上手に活用する
生活習慣とやさしい食事のポイント
生活習慣とやさしい食事のポイント
国試ポイント
① 証と治法の対応は必修:脾胃虚弱=健脾益気、脾胃湿熱=清熱去湿、食滞胃脘=消食導滞、胃陰虚=滋陰養胃、肝鬱気滞=疏肝理気。
② 中脘は脾胃虚弱・脾胃湿熱の両方に挙がるが、食滞胃脘では上脘が示されている点が引っかけ。
③ 脾胃虚弱=足三里、脾胃湿熱=陰陵泉、食滞胃脘=内庭、胃陰虚=太渓・三陰交、肝鬱気滞=太衝・期門。
④ 代表穴は中脘・足三里・陰陵泉・脾兪・胃兪。背部兪穴(脾兪・胃兪)とのセットで問われる。
⑤ 補瀉の使い分け:補=気を補い元気をつくる、瀉=余分を取り除き巡りを整える。
⑥ 体重減少・繰り返す嘔吐・吐血・黒色便・嚥下困難・急激な悪化は危険徴候。器質的疾患を除外してから鍼灸を行う。
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