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ウイルソン病の病態・症状・診断・治療うぃるそんびょう

ウイルソン病は、銅を胆汁へ排泄する銅輸送タンパク(ATP7B)の先天的異常により、体内に銅が過剰に蓄積する常染色体劣性遺伝の疾患です。蓄積した銅は肝臓・脳(基底核)・角膜を障害し、肝硬変・神経症状・精神症状・カイザーフライシャー角膜輪などを引き起こします。

ウイルソン病|ウイルソン病 1
読み方うぃるそんびょう
分類銅代謝異常症(常染色体劣性遺伝)
原因銅輸送タンパク(ATP7B)の先天的異常
発生頻度日本で約3万人に1人(男女比 約2:1・男性に多い)
好発年齢20歳までに多く、特に11〜15歳の思春期
主な症状肝障害・肝硬変、神経症状(構音障害・振戦・ジストニー・アテトーゼ)、精神症状、黄疸
特徴的所見カイザー・フライシャー角膜輪(角膜縁の緑色の色素沈着)
治療銅排泄促進薬(D-ペニシラミン・トリエンチン)、銅を多く含む食品の制限、早期診断

ウイルソン病とは(病態と原因)

ウイルソン病は、銅の代謝異常によって全身に銅が過剰に蓄積する常染色体劣性遺伝の疾患です。両親がともに保因者(Aa)の場合に、子どもが発症(aa)することがあります。

原因は、肝細胞にある銅輸送タンパク(ATP7B など)の先天的な異常です。通常、余分な銅は肝臓から胆汁へ排泄されますが、この輸送がうまく働かないため、銅が細胞内に蓄積し、やがて肝臓・脳・角膜などの各組織に沈着していきます。

原因:銅輸送タンパク(ATP7B)の先天的異常で、銅を胆汁へ排泄できず蓄積する
原因:銅輸送タンパク(ATP7B)の先天的異常で、銅を胆汁へ排泄できず蓄積する

疫学(頻度・男女比・好発年齢)

比較的まれな疾患ですが、国試では頻度・好発年齢がよく問われます。

項目内容
発生頻度約3万人に1人(まれ)
男女比約2:1(男性に多い)
好発年齢20歳まで、特に11〜15歳

肝臓への蓄積と肝障害

銅は肝臓に最も強く蓄積します。肝細胞に銅がたまると、次のように肝障害が進行します。

腹部症状としては、下痢・腹痛・黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)、肝腫・脾腫(肝臓や脾臓が大きくなる)などがみられます。

銅が蓄積した肝臓では、肝細胞の壊死→線維化→肝硬変へと進行する
銅が蓄積した肝臓では、肝細胞の壊死→線維化→肝硬変へと進行する

神経症状・精神症状

脳の基底核(運動の調整に関わる部分)に銅が沈着することで、さまざまな神経症状が現れます。約70%は神経症状で始まるとされます。

精神症状としては、学業成績の低下(集中力・記憶力の低下)や、感情・性格の変化(イライラ・不安・無気力)がみられます。

神経症状:構音障害・振戦・ジストニー・アテトーゼなどがみられる
神経症状:構音障害・振戦・ジストニー・アテトーゼなどがみられる

特徴的所見:カイザー・フライシャー角膜輪

ウイルソン病に特徴的な所見がカイザー・フライシャー角膜輪です。角膜に銅が沈着することで、角膜縁に緑色(緑褐色)の色素沈着のリングが現れます。正常な眼と比べて角膜のふちに色素の輪がみられ、診断の重要な手がかりになります。

カイザー・フライシャー角膜輪:角膜縁の緑色の色素沈着が診断の手がかりになる
カイザー・フライシャー角膜輪:角膜縁の緑色の色素沈着が診断の手がかりになる

治療と早期診断

治療の基本は、体内にたまった銅の排泄を促すことと、銅を多く含む食品を控えることです。

早期に治療を始めることで、重い肝障害や神経障害を防ぐことができます。

治療:D-ペニシラミン・トリエンチンで銅の排泄を促し、銅の多い食品を制限する
治療:D-ペニシラミン・トリエンチンで銅の排泄を促し、銅の多い食品を制限する
国試ポイント
① ウイルソン病は銅代謝異常による常染色体劣性遺伝疾患である
② 原因は銅輸送タンパク(ATP7B)の異常で、銅を胆汁へ排泄できず肝・脳・角膜に蓄積する
③ 好発は20歳まで(特に思春期)、男性に多い(約2:1)
④ 肝障害(肝硬変)と、基底核障害による神経症状(構音障害・振戦・ジストニー・アテトーゼ)が現れる
⑤ カイザー・フライシャー角膜輪(角膜縁の緑色の色素沈着)が特徴的所見
⑥ 治療はD-ペニシラミン・トリエンチンによる銅排泄促進と、貝類・甲殻類など銅を含む食品の制限
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