WHO経穴標準化とは、鍼灸の経穴名称と部位を国際的に統一するための取り組みです。1989年のジュネーブ会議で名称(漢字・英語・略号)の標準化が始まり、2006年のつくば会議で361穴の部位が決定されました。標準化されるのは位置の基準までで、刺入の深さ・角度・手技は術者の判断に委ねられる点が国試の頻出ポイントです。
| 読み方 | だぶりゅーえいちおー けいけつひょうじゅんか |
|---|---|
| 定義 | WHO(世界保健機関)が主導した、鍼灸用語・経穴名称・経穴部位の国際標準化 |
| 名称標準化の開始 | 1989年 ジュネーブ会議(漢字・英語(Hegu)・略号(LI4)の三表記に統一) |
| 部位の決定 | 2006年 つくば会議で361穴の部位を決定(1990〜2005年に各国専門家が検討・国際比較・検証) |
| 整理された名称 | 経絡・腧穴・古代九鍼などの名称を整理・標準化 |
| 腧穴の分類 | 経穴(経絡上の定められた穴)/経外奇穴(経絡外だが臨床的に有効)/阿是穴(痛み・圧痛などの反応点) |
| 基準経穴 | 21種の重要な基準経穴(例:LU5尺沢・ST36足三里・SP9陰陵泉・KI3太渓・GB20風池・GV20百会) |
| 標準取穴法の手順 | ①解剖学的ランドマーク確認 → ②骨度(寸・分)で測定 → ③再現性の高い位置に取穴 |
| 標準化の範囲外 | 刺入の深さ・角度・手技は術者判断(患者の体格・状態・臨床状況による) |
| 国試での狙われ方 | 1989年ジュネーブ/2006年つくばの年号と会議名の入れ替え、361穴という数、標準化されるのは「部位」であって「深さ・手技」ではない点 |
WHO経穴標準化は、鍼灸用語を世界で共通化するために行われました。表記は漢字「合谷」→英語「Hegu」→略号「LI4」の3段構えに統一され、経絡・腧穴・古代九鍼などの名称も整理されました。
ここで最重要なのが「名称の標準化=1989年ジュネーブ」「361穴の部位決定=2006年つくば」という二段構えです。国試ではこの2つの年号・会議名を入れ替えて出題されます。
| 年 | 会議・出来事 | 内容 |
|---|---|---|
| 1989年 | ジュネーブ会議(WHO) | WHOが標準化作業を開始。鍼灸用語・経穴名称の国際統一の基盤ができた |
| 1990〜2005年 | 各国専門家による検討 | 国際比較・検証を実施 |
| 2006年 | つくば会議(つくば国際会議場) | 361穴の部位を決定。重要な基準経穴も設定 |
WHO標準では腧穴を次の3つに整理しました。経穴だけが361穴として部位が確定した対象であり、経外奇穴・阿是穴とは扱いが異なることを押さえます。
| 分類 | 読み | 定義 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 経穴 | けいけつ | 経絡の上にある定められた穴 | 主要な治療穴の中心となるもの |
| 経外奇穴 | けいがいきけつ | 経絡の外にあるが臨床的に有効な穴 | 特定の症状に効果的な穴 |
| 阿是穴 | あぜつ | 痛みや圧痛などの反応点(病所にある穴) | 症状に応じて柔軟に使用 |
WHOつくば会議では、取穴の物差しとなる21種の重要な基準経穴が設定されました。スライドに提示された代表例は次のとおりです(スライド記載の6穴のみ掲載)。
| 略号 | 経穴名 | スライド上の部位イメージ |
|---|---|---|
| LU5 | 尺沢 | 肘窩 |
| ST36 | 足三里 | 下腿前面・膝下 |
| SP9 | 陰陵泉 | 下腿内側 |
| KI3 | 太渓 | 足関節内側 |
| GB20 | 風池 | 後頭部 |
| GV20 | 百会 | 頭頂部 |
WHO標準経穴取穴法は、解剖学的に安定して取穴するための基準です。手順は次の3ステップです。
注意:深さ・角度・手技は術者に委ねられる。これらは患者の体格や状態、臨床状況に応じて術者が判断します。「位置の基準は明確、運用は術者判断」がキーワードです。
取穴が標準化されても、実際の施術では患者が受け入れられる刺激量への配慮が不可欠です。
日本的治療の特徴は刺激を最小限にする点です。皮膚のすぐ下の皮下・結合組織レベルにアプローチし、深く刺さずにやさしく効果を引き出します。手技は単刺術(最小限の刺激で十分な効果を狙う)と置鍼術(やさしく置いて自然に働きかける)が中心で、体質・病状・生活背景・QOLに合わせてオーダーメイドで刺激量を調整します。
古典取穴は慎重に。古典文献(鍼灸甲乙経など)は古代の解剖学・医学知識に基づくため、経穴の部位・主治が現在と異なる場合があります。時代の変遷や地域の医療文化(中国古代・日本江戸期・東洋各地)により取穴部位・主治が変化し、流派や文献による相違も大きいため、WHO標準へ短絡的に対応させるのは危険です。現代臨床では、現代の解剖・生理・エビデンスを踏まえ、問診・評価(症状・体質・生活背景)から個別に適応を判断し、WHO標準はあくまで参考として機械的に適用しないことが重要です。
一方阿是穴取穴法は、現在現れている圧痛点や反応点を治療点として用いる方法です。安全性と刺激量を考えて取穴します。
| 阿是穴の指標 | 内容 |
|---|---|
| 圧痛点 | 押すと痛みを感じるポイント |
| 陥下 | 皮膚がへこんでいるポイント |
| 感覚異常 | しびれ・鈍感・過敏などの反応 |
| 色調変化 | 赤み・青み・紫斑などの変化 |
どの穴を選ぶかを決めるのが選穴法です。代表的な3つに加え、臨床では次の4つも用いられます。古典的な主治・効能に基づく選穴もあります。
| 選穴法 | 要点 | 内容 |
|---|---|---|
| 局所選穴法 | 痛い場所の近く | 症状のある部位の近くにあるツボを使う |
| 循経選穴法 | 経絡に沿って離れた部位 | 経絡の流れに沿って離れた部位のツボを選ぶ |
| 表裏経選穴法 | 表裏関係の経絡を使う | 表の経絡の症状には裏の経絡のツボを使う |
| 同名経選穴法 | 同じ経絡上 | 同じ経絡上で選穴する方法 |
| 健側部選穴法 | 健側を使う | 健側(健康な側)にある反応点を活用する方法 |
| 遠道刺選穴法 | 離れた部位から | 離れた部位から気を通じて調整する方法 |
| 両側選穴法 | 左右両側 | 両側の対応点を用いて調整する方法 |