運動の調節とは、骨格筋の運動が神経系によってコントロールされるしくみのことで、随意運動と反射性運動に大きく分かれます。調節を担う中枢は脊髄・脳幹・視床・小脳・大脳基底核・大脳皮質で、なかでも脊髄レベルでは伸張反射・拮抗抑制・屈曲反射・交叉性伸展反射・皮膚反射といった反射性の運動調節が行われます。国試では受容器(筋紡錘・ゴルジ腱器官)と求心性線維(Ia群・Ib群)の対応が最頻出です。
| 読み方 | うんどうのちょうせつ |
|---|---|
| 定義 | 骨格筋の運動が神経系によって調節されること。随意運動と反射性運動に分かれる |
| 運動を調節する中枢 | 脊髄・脳幹・視床・小脳・大脳基底核・大脳皮質 |
| 脊髄レベルの調節 | 伸張反射・拮抗抑制・屈曲反射・交叉性伸展反射・皮膚反射 |
| 主な受容器 | 筋紡錘(筋の伸張を感知)/ゴルジ腱器官(腱の張力を感知) |
| 求心性線維 | 筋紡錘=Ia群求心性線維/ゴルジ腱器官=Ib群求心性線維 |
| 遠心路 | α運動ニューロン(錘外筋)・γ運動ニューロン(錘内筋=筋紡錘) |
| 数値 | H波の潜時 約20〜30ms(M波はH波より早く出現) |
| 国試での狙われ方 | 伸張反射=単シナプス反射、自原抑制=Ib、拮抗抑制、α-γ連関、H波とM波の順序 |
骨格筋の運動は神経系によって調節され、大きく随意運動と反射性運動に分けられます。調節に関わる中枢は下位から上位へ階層的に並びます。
脊髄では主に反射性の運動調節が行われ、伸張反射・拮抗抑制・屈曲反射・交叉性伸展反射・皮膚反射の5つが代表です。
伸張反射は、筋が引き伸ばされると反射的にその同じ筋が収縮する反射です。代表例は膝蓋腱反射とアキレス腱反射。
経路は「筋紡錘 → Ia群求心性線維 → 脊髄 → α運動ニューロン → 同じ筋が収縮」。Ia群求心性線維が脊髄内で直接α運動ニューロンにシナプスするため、単シナプス反射となります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① | 膝蓋腱を叩く |
| ② | 筋紡錘が伸張を感知 |
| ③ | Ia群求心性線維を伝導 |
| ④ | 脊髄へ入力 |
| ⑤ | α運動ニューロンが興奮 |
| ⑥ | 同じ筋が収縮(脚が前に蹴り出される) |
ゴルジ腱器官は腱にあり、腱の張力を感知します。筋収縮が強いほど腱の張力が上がり、その情報がIb群求心性線維で脊髄へ送られます。脊髄では抑制性介在ニューロンを介して同じ筋のα運動ニューロンを抑制し、収縮を抑えます。これを自原抑制といい、過剰収縮を防ぐ「筋を守るブレーキ機構」です。
一発暗記:腱の張力 → ゴルジ腱器官 → Ib → 抑制
| 項目 | 筋紡錘 | ゴルジ腱器官 |
|---|---|---|
| 存在部位 | 筋(錘内筋線維) | 腱 |
| 感知するもの | 筋の伸張(長さ) | 腱の張力 |
| 求心性線維 | Ia群 | Ib群 |
| 脊髄での作用 | α運動ニューロンを興奮(促通) | α運動ニューロンを抑制 |
| 反射名 | 伸張反射(単シナプス反射) | 自原抑制 |
α-γ連関とは、随意運動の際にα運動ニューロンとγ運動ニューロンが同時に働くしくみです。αが錘外筋を収縮させると同時にγが錘内筋(筋紡錘)を収縮させるため、筋が収縮しても筋紡錘の感度が保たれ、随意運動中も伸張反射が働ける状態が維持されます。
拮抗抑制は、一方の筋が収縮すると反対側(拮抗筋)が抑制されるしくみです。肘を曲げるとき、屈筋が収縮し伸筋は弛緩します(主動筋 ⇔ 拮抗筋)。
脊髄レベルの反射には、防御や姿勢保持に関わるものがあります。
| 反射 | 刺激 | 反応 |
|---|---|---|
| 屈曲反射 | 痛み刺激 | 刺激側の四肢を屈曲して引っ込める(防御反射) |
| 交叉性伸展反射 | 一側への侵害刺激 | 刺激側=屈曲、反対側=伸展(体重支持) |
| 皮膚反射 | 皮膚刺激 | 腹壁反射・挙睾筋反射・足底反射・バビンスキー反射 |
| 長脊髄反射 | ― | 複数分節を介する。四肢間反射・ひっかき反射 |
末梢神経を電気刺激して記録する誘発筋電図では、M波とH波が出現します。
波形はM波が早く、H波が遅れて出現します。
| 項目 | H波 | M波 |
|---|---|---|
| 経路 | Ia群求心性線維を介した反射性の反応 | 運動神経を直接刺激 |
| 性質 | 伸張反射に近い反応 | 筋が直接興奮する |
| 出現 | 遅れて出現 | H波より早く出る |
| 潜時 | 約20〜30ms | ― |
| 用途 | 脊髄反射の評価 | ― |