運動の命令が脳から脊髄へ下りるルートは、大きく錐体路系と錐体外路系の2つに分けられます。錐体路は自分の意思で動かす細かい運動(随意運動・手指の巧緻運動)を、錐体外路は姿勢・筋緊張・なめらかな運動調整を担当します。国試では「障害されたときの症状の違い」が最頻出で、錐体路障害=痙性麻痺、錐体外路障害=パーキンソン病様症状と押さえるのが近道です。
| 読み方 | すいたいろけい・すいたいがいろけい |
|---|---|
| 定義 | 脳から脊髄へ運動命令を伝える下行路の2大分類。錐体路系=随意運動のルート、錐体外路系=錐体路以外の運動経路の総称 |
| 錐体路の経路 | 大脳皮質(運動性皮質)→脳幹→脊髄→筋肉 |
| 錐体路の主な経路名 | 外側皮質脊髄路・前皮質脊髄路(線維の多くは延髄下部で反対側へ交叉) |
| 錐体路のはたらき | 随意運動、細かい運動、手指の巧緻運動、体幹・四肢の筋運動 |
| 錐体外路系のはたらき | 姿勢の調節、筋緊張の調節、無意識的な運動調節、円滑な随意運動の補助 |
| 錐体外路系の関与部位 | 大脳基底核(線条体)・視床・赤核・網様体・小脳・橋核・前庭神経核・視床下核(STN) |
| 錐体外路系の主な下行路 | 赤核脊髄路・網様体脊髄路・前庭脊髄路・視蓋脊髄路(→脊髄運動ニューロン) |
| 障害時の違い | 錐体路障害=反対側の運動麻痺・痙性麻痺・筋緊張亢進・腱反射亢進・病的反射/錐体外路障害=無動・筋緊張異常・姿勢異常・不随意運動・円滑な運動の障害 |
| 国試での狙われ方 | 痙性麻痺=錐体路障害、パーキンソン病様症状=錐体外路障害の対比、延髄下部での交叉、関与部位の列挙 |
運動の命令は脳から脊髄へと下行します。この下行路は次の2系統に分けられます。
まずは「錐体路=意識してやる運動」「錐体外路=無意識で整える運動」というイメージを持つと、以降の細部が整理しやすくなります。
錐体路系は大脳の運動性皮質から脊髄へ下行する、随意運動のルートです。特に手指の細かい運動調節に重要とされます。
| 段階 | 部位 |
|---|---|
| 出発 | 大脳の運動性皮質 |
| 経由 | 脳幹 |
| 到達 | 脊髄 |
錐体路の流れは大脳皮質 → 脳幹 → 脊髄 → 筋肉。大脳皮質から出た神経線維は、延髄の下部で多くが反対側へ交叉します。この交叉があるため、錐体路障害では「反対側」に麻痺が出ます。
錐体外路系は錐体路以外の運動ルートの総称です。昔は「不随意運動に関係」と考えられていましたが、実際は姿勢制御とスムーズな運動に重要です。はたらきは、姿勢の調節・筋緊張の調節・無意識的な運動調節・円滑な随意運動の補助の4つ。
| 部位 | はたらき |
|---|---|
| 大脳基底核 | 運動の開始・抑制の選択や調節 |
| 視床 | 大脳皮質と協調し運動情報を中継 |
| 赤核 | 上肢の屈筋の調節(特に遠位筋) |
| 網様体 | 姿勢・筋緊張の調節、随意運動の補助 |
| 小脳 | 運動の協調・精度の調節、バランスの維持 |
| 橋核 | 小脳の出力を中継 |
| 前庭神経核 | 姿勢の維持・平衡感覚・眼球運動の調節 |
これらの経路はいずれも最終的に脊髄運動ニューロンに働きかけます。
「赤・網・前庭・視蓋」の4つをセットで覚えておくと選択肢問題に強くなります。
ここが最大の出題ポイントです。錐体路障害=痙性麻痺、錐体外路障害=パーキンソン病の症状でイメージが合言葉。
| 錐体路障害 | 錐体外路障害 | |
|---|---|---|
| 麻痺 | 反対側の運動麻痺・痙性麻痺 | (麻痺よりも)無動 |
| 筋緊張 | 亢進 | 異常(固縮など) |
| 反射 | 腱反射の亢進・病的反射の出現 | ― |
| 姿勢・運動 | ― | 姿勢異常・不随意運動・円滑な運動の障害 |
| 一発暗記 | 自分の意思で動かす細かい運動 | 姿勢・筋緊張・なめらかな運動調整 |