痛覚は単なる「痛い」という感覚ではなく、危険を知らせ、組織損傷を防ぎ、生体を守る警報システムです。国試では「痛覚は順応しにくい」という特徴、IASPの定義(感覚+情動)、そして痛みの3分類(侵害受容性・神経障害性・侵害可塑性)が繰り返し問われます。痛覚検査に不可欠なデルマトームの代表点もあわせて押さえましょう。
| 読み方 | つうかく |
|---|---|
| 定義 | 組織損傷に伴う不快な感覚+苦痛・不安などの情動体験(IASPの定義) |
| 役割 | 危険を知らせる/組織損傷を防ぐ/生体を守る=生体防御機構 |
| 最大の特徴 | 順応しにくい(危険を見逃さないため痛覚受容器が強く反応し続ける) |
| 痛みの構成要素 | 感覚(Sensory:痛い・ヒリヒリ・ズキズキ)+情動(Emotion:つらい・不安・苦しい) |
| 痛みの3分類 | ①侵害受容性疼痛 ②神経障害性疼痛 ③侵害可塑性疼痛(侵害関連神経可塑性疼痛) |
| 現在使わない分類 | 心因性疼痛(心理的要因による痛み)=旧分類 |
| 痛覚検査に必要な知識 | デルマトーム(皮膚分節):C6母指・C7中指・C8小指・T4乳頭・T10臍・S1足底 |
| 国試での狙われ方 | 痛覚=生体防御機構/順応しにくい/IASPの定義に情動が含まれる/3分類の対応/心因性疼痛は現在使わない/デルマトーム代表点 |
痛覚は火・電気・ケガなどの危険刺激を検知し、痛みとして知らせて回避行動を起こさせます。火災報知器が危険を知らせて避難させるのと同じ構造で、痛覚も生体防御機構として働きます。
国際疼痛学会(IASP)は痛みを「組織損傷に伴う不快な感覚」と「苦痛・不安などの情動体験」の両方と定義します。痛みは感覚だけではなく、心の反応も含む点が国試の最重要ポイントです。
| 構成要素 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 感覚(Sensory) | 身体が感じる情報=組織損傷に伴う不快な感覚 | 痛い!/ヒリヒリする/ズキズキする |
| 情動(Emotion) | 心が感じる反応=苦痛・不安などの情動体験 | つらい…/不安…/苦しい… |
| 脳での統合 | 脳は感覚と感情をまとめて「痛み」として認識する | 痛い(感覚)+つらい(情動)=痛み |
現在の痛みの分類は3種類。語呂は「ケガ・神経・過敏化」で覚えます。旧分類の心因性疼痛は現在の分類では用いません(引っかけ注意)。
| 分類 | 原因 | 特徴 | 覚え方 |
|---|---|---|---|
| ①侵害受容性疼痛 | 組織損傷による痛み(ケガ・やけど・打撲) | 侵害受容器が興奮する/最も基本的な痛み/原因が明確 | ケガ=侵害受容性 |
| ②神経障害性疼痛 | 神経そのものの障害 | しびれを伴うことが多い/ビリビリ・ジンジン痛む/原因が複雑で慢性化しやすい | 神経=神経障害性 |
| ③侵害可塑性疼痛(侵害関連神経可塑性疼痛) | 神経系の過敏化 | 痛みが長引く/慢性痛で重要/神経ネットワークが過敏になる | 過敏=侵害可塑性 |
| ×心因性疼痛 | 心理的要因による痛み | 旧分類。現在の分類では用いない | 現在は使わない |
神経障害性疼痛と侵害可塑性疼痛は機序が複雑で、慢性痛の中心になります。鍼灸臨床では慢性痛の患者に頻繁に遭遇するため、理解が必須です。
各脊髄神経は一定の皮膚領域を支配し、これを皮膚分節(デルマトーム)といいます。感覚障害の部位から障害されている脊髄神経(髄節)を推定でき、痛覚検査や神経学的診察に必須です。
| 髄節 | 支配部位(代表点) |
|---|---|
| C6 | 母指 |
| C7 | 中指 |
| C8 | 小指 |
| T4 | 乳頭 |
| T10 | 臍 |
| S1 | 足底 |