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痛風の病態・症状・診断・治療 — 高尿酸血症から痛風発作まで

痛風は、体内でつくられた尿酸が血液中にたまり、尿酸塩結晶が関節に沈着して激しい痛みを起こす病気です。その土台となる高尿酸血症は多くの場合症状がないまま進行し、放置すると痛風発作だけでなく尿路結石・腎障害・動脈硬化のリスクにつながります。成人男性の約1%にみられ、決して珍しい病気ではありません。

痛風(高尿酸血症)|痛風(高尿酸血症) 1
読み方つうふう(高尿酸血症:こうにょうさんけっしょう)
病態尿酸塩結晶が関節に沈着して起こる急性関節炎
好発成人男性・中年期以降(成人男性の約1%)
誘因生活習慣(アルコール・肉中心の食事)、高尿酸血症
主症状母趾の激痛・赤み・熱感・腫れ(安静時・夜間でも痛む)
診断血液検査で血清尿酸値7.0mg/dL以上(8.5mg/dL以上で痛風リスク上昇)
分類原発性(産生過剰型・排泄低下型・混合型)/続発性
合併症尿管結石・腎結石、腎障害、動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)
治療発作時:コルヒチン・消炎鎮痛薬/慢性期:生活改善+尿酸排泄薬・尿酸生成阻害薬

高尿酸血症とは — 痛風のはじまり

体の中では常に尿酸がつくられています。この尿酸がうまく処理されずにたまると、血液中の尿酸値が高くなる状態=高尿酸血症になります。

高尿酸血症のポイントは、多くは症状がないまま進行することです。痛みも自覚症状もないまま尿酸値が高い状態が続き、健診の血液検査ではじめて指摘されるケースが少なくありません。

尿酸がたまり血中尿酸値が高い状態が続く=高尿酸血症。多くは無症状で進行する。
尿酸がたまり血中尿酸値が高い状態が続く=高尿酸血症。多くは無症状で進行する。

痛風とは — 尿酸塩が関節に沈着する

血液中にたまった尿酸は、やがて尿酸塩結晶となって関節に沈着します。この結晶が関節で炎症を引き起こし、激しい痛みを起こすのが痛風です。

痛風の痛みは動かしたときだけの痛みではなく、寝ていても痛むのが特徴です。関節は赤く腫れ、見た目にもはっきりと炎症がわかります。

尿酸塩結晶が母趾の関節に沈着し、激痛・発赤・腫脹を起こす。
尿酸塩結晶が母趾の関節に沈着し、激痛・発赤・腫脹を起こす。

痛風の疫学 — 成人男性に多い

痛風は成人男性に圧倒的に多い疾患で、成人男性100人中およそ1人、約1%にみられます。決して珍しい病気ではありません。

発症の背景には、中年期以降という年齢因子に、生活習慣(アルコール・肉中心の食事)と高尿酸血症が重なることがあります。

項目内容
性差成人男性に多い
頻度成人男性の約1%
年齢中年期以降に多い
背景因子中年期以降 + 生活習慣 + 高尿酸血症
成人男性100人中約1人。中年期以降・生活習慣・高尿酸血症が重なって発症する。
成人男性100人中約1人。中年期以降・生活習慣・高尿酸血症が重なって発症する。

原発性高尿酸血症の3つのタイプ

他に原因となる病気がなく起こる高尿酸血症を原発性高尿酸血症といい、尿酸の「つくられる量」と「出ていく量」のどちらに問題があるかで3つのタイプに分けられます。国試ではこの分類が頻出です。

タイプメカニズムひとことで
尿酸産生過剰型尿酸の産生が増える尿酸がつくりすぎられる
尿酸排泄低下型腎臓からの尿酸排泄が低下する尿酸がうまく出ていかない
混合型産生過剰+排泄低下が併存するつくりすぎ+出ていきにくい
原発性高尿酸血症は産生過剰型・排泄低下型・混合型の3タイプに分類される。
原発性高尿酸血症は産生過剰型・排泄低下型・混合型の3タイプに分類される。

続発性高尿酸血症 — 原因が別にある

続発性高尿酸血症は、ほかの病気や薬などの原因が別にある高尿酸血症です。メカニズムは原発性と同じく産生過剰排泄低下の2つに整理できます。

放置すると痛風発作・尿路結石・腎障害につながります。

主な原因主なメカニズム
腎疾患排泄低下(腎臓から尿酸を出せない)
悪性腫瘍産生過剰(細胞が壊れて尿酸が増える)
脱水排泄低下
薬剤排泄低下
アルコール尿酸値を上げる
続発性高尿酸血症の主な原因は腎疾患・悪性腫瘍・脱水・薬剤・アルコール。
続発性高尿酸血症の主な原因は腎疾患・悪性腫瘍・脱水・薬剤・アルコール。

痛風発作の症状 — 母趾の激痛

痛風発作でもっとも特徴的なのは、母趾(足の親指)の激痛です。国試でも「痛風=母趾」は最重要のキーワードです。

症状は典型的な炎症の4徴として現れます。放っておくと悪化することもあります。

症状内容
激しい痛み突然おこる耐えがたい痛み。安静時・夜間でも痛む
赤み(発赤)関節部が赤くなる
熱感患部が熱をもつ
腫れ(腫脹)関節が腫れあがる
痛風発作の典型は母趾の激痛。赤み・熱感・腫れ・激しい痛みを伴う。
痛風発作の典型は母趾の激痛。赤み・熱感・腫れ・激しい痛みを伴う。

痛風の合併症 — 結石と動脈硬化

痛風・高尿酸血症は関節だけの病気ではありません。全身にわたる合併症が問題になります。

早めの対策で将来のリスクを減らすことが重要です。

臓器合併症内容
関節痛風発作激しい痛みと腫れが発生
腎臓尿路結石・腎障害腎結石や腎機能の低下につながる
心臓心血管リスク動脈硬化や心疾患(心筋梗塞)のリスクが上昇
脳血管脳梗塞リスク脳梗塞のリスクが高まる
尿管結石・腎結石ではわき腹や背中に激痛。動脈硬化は心筋梗塞・脳梗塞のリスクを高める。
尿管結石・腎結石ではわき腹や背中に激痛。動脈硬化は心筋梗塞・脳梗塞のリスクを高める。

診断基準 — 血清尿酸値7.0mg/dL以上

診断は血液検査で行います。国試頻出の数値は次の2つです。

あわせて、関節の痛み・尿路結石・腎機能への影響といった臨床所見を確認します。基準値を知っておくことが早期発見・予防につながります。

血清尿酸値意味
7.0mg/dL 以上高尿酸血症と診断
8.5mg/dL 以上痛風のリスクが高まる
血液検査で尿酸7.0mg/dL以上が高尿酸血症。8.5mg/dL以上で痛風リスクが上昇する。
血液検査で尿酸7.0mg/dL以上が高尿酸血症。8.5mg/dL以上で痛風リスクが上昇する。

痛風発作時の治療 — 痛みと炎症を抑える

発作が起きているときの治療は、痛みと炎症を抑えることが目的です。

ズキズキする痛みを早くやわらげ、炎症が落ち着けば日常生活を送りやすくなります。発作時と発作がおさまってからの治療は目的が違う、という点が国試のポイントです。

はたらき
コルヒチン炎症の原因を抑える
消炎鎮痛薬痛みと炎症をやわらげる
発作時はコルヒチン・消炎鎮痛薬で痛みと炎症を抑える。
発作時はコルヒチン・消炎鎮痛薬で痛みと炎症を抑える。

高尿酸血症の治療と予後 — 生活改善+薬物療法

発作がおさまったあとの治療の柱は、生活改善薬物療法の組み合わせです。尿酸値をコントロールすることが、合併症を防ぐ最大の予防になります。

生活改善のポイント

薬物療法は、高尿酸血症のタイプに合わせて使い分けます。放置すれば関節・腎臓・心臓・脳血管に合併症が及ぶため、早めの治療と生活改善が予後を左右します。

はたらき
尿酸排泄薬尿酸の排泄を促し、尿酸値を下げる(排泄低下型に対応)
尿酸生成阻害薬尿酸の生成を抑え、尿酸値を下げる(産生過剰型に対応)
生活改善+薬物療法で尿酸値をコントロール。放置すると関節・腎臓・心臓・脳血管に合併症が及ぶ。
生活改善+薬物療法で尿酸値をコントロール。放置すると関節・腎臓・心臓・脳血管に合併症が及ぶ。
国試ポイント
① 痛風は尿酸塩結晶が関節に沈着して起こる急性関節炎。好発部位は母趾(足の親指)、激痛・発赤・熱感・腫脹が典型で、安静時・夜間でも痛む。
② 高尿酸血症の診断基準は血清尿酸値7.0mg/dL以上。8.5mg/dL以上で痛風のリスクが上昇する(数値は要暗記)。
③ 疫学は成人男性に多く、成人男性の約1%。中年期以降+生活習慣(アルコール・肉中心の食事)+高尿酸血症が背景。
④ 原発性高尿酸血症は「尿酸産生過剰型・尿酸排泄低下型・混合型」の3タイプ。続発性は腎疾患・悪性腫瘍・脱水・薬剤・アルコールなど原因が別にある。
⑤ 治療は発作時=コルヒチン・消炎鎮痛薬、慢性期=生活改善(減量・節酒・プリン体制限・水分摂取)+尿酸排泄薬/尿酸生成阻害薬。合併症は尿路結石・腎障害・動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)。
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