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骨粗鬆症の病態・症状・診断・治療

骨粗鬆症は、骨量の減少骨微細構造の変化によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患です。加齢とともに頻度が増え、50歳以上女性の約4人に1人、80歳前後では約半数以上にみられます。骨量が減っただけでは痛みがないことも多く、症状の中心は骨折と変形による障害であるため、治療の目標も骨折予防に置かれます。

骨粗鬆症|骨粗鬆症 1
読み方こつそしょうしょう
病態骨量の減少と骨微細構造の変化で骨がもろくなり骨折しやすくなる
好発高齢者・閉経後の女性(50歳以上女性の約4人に1人、80歳前後で約半数以上)
分類原発性(加齢・閉経後・特発性)/続発性(他疾患・薬剤)
主症状骨量減少のみでは無症状のことも。進行すると背中・腰の痛み、円背・亀背・身長短縮、骨折リスク増大、動きづらさ
好発骨折部位脊椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨近位端骨折
診断骨密度+脊椎X線+脆弱性骨折の有無。YAM70%未満で骨粗鬆症を疑う。画像診断では単純X線が重要
血液検査Ca・Pは正常、ALPも多くは正常
治療薬(エストロゲン・ビタミンD・ビスフォスフォネート)+運動+カルシウム摂取+転倒予防環境。中心は骨折予防

骨粗鬆症とは(病態の概要)

骨粗鬆症は、骨量の減少骨微細構造の変化によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患です。骨量は加齢とともに減少していくため、高齢になるほど骨はスカスカになっていきます。

診断にあたっては原発性か続発性かの区別に加え、同じく骨がもろくなる骨軟化症との鑑別も重要です。

主な原因・要因内容
加齢骨量は加齢とともに減少する
女性ホルモンの減少閉経後にエストロゲンが減少し骨量が低下
カルシウム不足骨の材料が不足する
ビタミンD不足カルシウム吸収に必要
運動不足骨への負荷が減る
喫煙骨量低下の危険因子
過度の飲酒骨量低下の危険因子
ステロイドなどの薬剤薬剤性に骨量が低下する
骨量の減少と骨微細構造の変化で骨がもろくなる。正常な骨と骨粗鬆症の骨の比較
骨量の減少と骨微細構造の変化で骨がもろくなる。正常な骨と骨粗鬆症の骨の比較

疫学 ― 年齢とともに頻度が増加

骨粗鬆症の頻度は年齢とともに増加します。有病率は40歳代から徐々に上昇し、高齢になるほど急激に高くなります。特に高齢者や閉経後の女性で多くみられるのが特徴です。

高齢になるほど頻度が高い、という点は国試でも押さえておきたいポイントです。

年齢と骨粗鬆症の有病率。高齢になるほど頻度が高い
年齢と骨粗鬆症の有病率。高齢になるほど頻度が高い

骨粗鬆症の分類(原発性と続発性)

骨粗鬆症は大きく原発性続発性の2つに分けて考えます。診断にあたっては、低骨量を示す他疾患を除外することが前提となります。

分類原因内容
原発性加齢高齢になるほどリスクが上昇
原発性閉経後女性ホルモン(エストロゲン)の減少が影響
原発性特発性明らかな原因が特定できない
続発性他疾患内分泌疾患、関節リウマチ、腎疾患などが原因になる
続発性薬剤ステロイドなどの薬剤が影響する
骨粗鬆症は原発性(加齢・閉経後・特発性)と続発性(他疾患・薬剤)に大別される
骨粗鬆症は原発性(加齢・閉経後・特発性)と続発性(他疾患・薬剤)に大別される

続発性骨粗鬆症の原因

続発性骨粗鬆症は、他の疾患や薬剤などが原因で骨量が低下するものです。原因を特定して対処することが、早期発見・対策につながります。

カテゴリ原因
内分泌疾患甲状腺機能亢進症
内分泌疾患副甲状腺機能亢進症
内分泌疾患Cushing症候群
疾患糖尿病
疾患肝疾患
疾患慢性関節リウマチ
栄養たんぱく質不足
栄養ビタミンA・D異常
薬剤ステロイド
薬剤ヘパリン
生活・状態不動(安静・臥床)
続発性骨粗鬆症の原因。内分泌疾患と生活・疾患・薬剤に整理される
続発性骨粗鬆症の原因。内分泌疾患と生活・疾患・薬剤に整理される

症状の特徴 ― 中心は骨折と変形

骨粗鬆症は骨量が減少しただけの段階では痛みがないことも多い疾患です。進行して骨折や変形が起こると、初めて症状が現れます。つまり、症状の中心は骨折と変形による障害です。

段階症状
骨量減少だけ痛みなしのこともある(無症状で経過)
進行(骨折・変形)背中・腰の痛み
進行(骨折・変形)姿勢の変化(背中が丸くなる)
進行(骨折・変形)骨折のリスク増大
進行(骨折・変形)動きづらさ(階段昇降などの困難)
骨量減少だけでは痛みなしのことも。進行すると骨折・変形で症状が出る
骨量減少だけでは痛みなしのことも。進行すると骨折・変形で症状が出る

起こりやすい骨折部位(国試頻出)

骨粗鬆症で起こりやすい骨折部位は国家試験頻出です。4部位はセットで覚えましょう。

骨折名読み部位
脊椎圧迫骨折せきついあっぱくこっせつ脊椎(椎体)
大腿骨頸部骨折だいたいこつけいぶこっせつ股関節部
橈骨遠位端骨折とうこつえんいたんこっせつ手関節部
上腕骨近位端骨折じょうわんこつきんいたんこっせつ肩関節部
骨粗鬆症で起こりやすい4つの骨折部位(国家試験頻出)
骨粗鬆症で起こりやすい4つの骨折部位(国家試験頻出)

脊椎変形による影響

脊椎の圧迫骨折が積み重なると背中が曲がり、姿勢が変化します。姿勢の変化はそれ自体の問題にとどまらず、体の中(内臓)にもさまざまな影響を及ぼします。

区分内容
姿勢の変化円背
姿勢の変化亀背
姿勢の変化身長短縮
体の中への影響肺換気低下
体の中への影響胸やけ
体の中への影響逆流性食道炎
体の中への影響便秘
体の中への影響鼓腸
体の中への影響食欲不振
脊椎変形による姿勢の変化(円背・亀背・身長短縮)と体の中への影響
脊椎変形による姿勢の変化(円背・亀背・身長短縮)と体の中への影響

診断基準と検査

骨粗鬆症の診断は骨密度脊椎X線骨折の有無の3本柱で行います。画像診断では単純X線が重要です。骨密度の指標としてはYAM(若年成人平均値)70%未満で骨粗鬆症を疑います。

骨折の有無では、以下の脆弱性骨折があるかを確認します。

診断の3要素ポイント
骨密度YAM 70%未満で骨粗鬆症を疑う
脊椎X線画像診断では単純X線が重要
骨折の有無脆弱性骨折(椎体・大腿骨近位部・橈骨遠位端・上腕骨近位部など)の確認
診断は骨密度+脊椎X線+骨折の有無。YAM70%未満で骨粗鬆症を疑う
診断は骨密度+脊椎X線+骨折の有無。YAM70%未満で骨粗鬆症を疑う

骨量測定と血液検査

骨量測定は、単純X線では捉えきれない微妙な骨量減少を検出できるのが利点です。正常な骨量の加齢変化と比べたわずかな差を検出できるため、早期発見が将来の骨折予防につながります

血液検査では、骨粗鬆症ではCa・Pは正常ALPも多くは正常という点が重要です(他疾患の除外に役立ちます)。

検査所見・ポイント
骨量測定微妙な骨量減少を捉える。早期発見に有用
血液 Ca(カルシウム)正常
血液 P(リン)正常
血液 ALP多くは正常
骨量測定は微妙な骨量減少を捉える。血液検査はCa・P正常、ALPも多くは正常
骨量測定は微妙な骨量減少を捉える。血液検査はCa・P正常、ALPも多くは正常

治療と骨折予防

骨粗鬆症の治療の中心は骨折予防です。薬・運動・栄養・環境の4つを組み合わせて骨を守ります。

薬物療法:エストロゲン/ビタミンD/ビスフォスフォネート

体づくりの基本:運動・ウォーキング/カルシウムをしっかり摂る

骨折を防ぐポイント:杖や歩行器の活用、転倒予防、バリアフリーな環境、ヒッププロテクターの活用、禁煙

区分内容
エストロゲン
ビタミンD
ビスフォスフォネート
運動運動・ウォーキング
栄養カルシウムをしっかり摂る
環境・予防杖や歩行器の活用
環境・予防転倒予防
環境・予防バリアフリーな環境
環境・予防ヒッププロテクターの活用
生活習慣禁煙
薬+運動+栄養+環境で骨を守り、骨折を防ぐ。治療の中心は骨折予防
薬+運動+栄養+環境で骨を守り、骨折を防ぐ。治療の中心は骨折予防
国試ポイント
① 骨粗鬆症=骨量の減少+骨微細構造の変化で骨がもろくなり骨折しやすくなる。骨軟化症との鑑別が重要
② 診断はYAM70%未満が目安。骨密度+脊椎X線+脆弱性骨折の有無で判断し、画像診断は単純X線が重要
③ 血液検査ではCa・Pは正常、ALPも多くは正常(この点が他疾患の除外に効く)
④ 好発骨折部位は脊椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨近位端骨折の4つ(国試頻出)
⑤ 骨量減少だけでは無症状のこともあり、症状の中心は骨折と変形による障害。治療の中心も骨折予防
⑥ 続発性の原因=甲状腺機能亢進症・副甲状腺機能亢進症・Cushing症候群などの内分泌疾患、ステロイド・ヘパリン、不動、関節リウマチなど
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