糖尿病は、インスリンの作用低下によって慢性的な高血糖が続く代謝疾患です。自己免疫でインスリンがほとんど作られない1型と、インスリンは分泌されるが効きが悪い2型に大別され、日本では生活習慣・肥満・加齢が関わる2型が大多数を占めます。高血糖が続くと網膜症・神経障害・腎症の三大合併症や動脈硬化症を招くため、早期発見・早期治療で合併症を防ぐことが最大の目標です。
| 読み方 | とうにょうびょう(diabetes mellitus / DM) |
|---|---|
| 病態 | インスリンの作用低下により血中ブドウ糖が増加し、慢性の高血糖をきたす |
| 分類 | 1型=自己免疫が関与しインスリンがほとんど作られない/2型=インスリンは出るが効きが悪い(インスリン抵抗性) |
| 好発 | 1型は子ども・若年でも発症/2型は中高年に多いが若年化も進行中 |
| 疫学 | 日本では2型が多数。患者+予備群の推計で約2,000万人が関与 |
| 主症状 | 口渇・多飲・多尿(3大症状)、全身倦怠感、体重減少(食べているのに痩せる) |
| 診断 | 空腹時血糖126mg/dL以上、75gOGTT2時間値200mg/dL以上、随時血糖200mg/dL以上、HbA1c6.5%以上のいずれかを満たす |
| 合併症 | 網膜症・神経障害・腎症(三大合併症)+動脈硬化症 |
| 治療 | 食事療法・運動療法・薬物療法の3本柱。1型はインスリン補充が必須 |
| 予後 | 合併症の有無と程度で決まる。血糖・血圧・脂質の管理と禁煙・運動・食事が鍵 |
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの作用が低下することで、血液中のブドウ糖が増加し、慢性的な高血糖が続く病気です。血糖値が高い状態そのものには自覚症状が乏しいことも多く、気づかないうちに進行します。
そのため糖尿病では、早期発見・早期治療で合併症を防ぐことが治療の最大の目的になります。
糖尿病は成因によって大きく1型と2型に分けられ、病因が異なる点が国試でも最重要です。1型は自己免疫が関与してインスリンがほとんど作られなくなるタイプで、インスリン補充が必須です。2型はインスリンは出るけれど効きが悪いタイプで、生活習慣との関係が大きくなります。
| 項目 | 1型糖尿病 | 2型糖尿病 |
|---|---|---|
| 病因 | 自己免疫が関与(免疫異常・ウイルスも関与) | 遺伝+生活習慣(インスリン抵抗性) |
| インスリン | ほとんど作られない | 分泌はあるが効きが悪い |
| 主な要因 | 免疫異常・ウイルス感染 | 食べすぎ・運動不足・肥満・加齢 |
| 発症年齢 | 子ども・若年でも発症 | 中高年に多いが若年化も進行中 |
| 治療の要 | インスリン補充が必須 | 生活習慣の是正が中心 |
2型と1型では、高血糖に至るまでの道筋が異なります。ただし最終的にはどちらも高血糖が起こるという点で共通しています。
いずれの経路でもインスリン作用が足りなくなり、血中のブドウ糖を細胞に取り込めず高血糖となります。
日本の糖尿病は2型が大多数を占め、1型やその他の型は少数です。患者と予備群を合わせると約2,000万人が関与すると推計され、きわめて頻度の高い疾患です。
高血糖が続くと体にさまざまなサインが現れます。口渇・多飲・多尿が3大症状で、これに全身倦怠感や体重減少が加わります。さらに進行すると合併症のサインとして視力低下やしびれが出現します。
| 分類 | 症状 | 内容 |
|---|---|---|
| 3大症状 | 口渇 | のどが渇く |
| 3大症状 | 多飲 | 水分をたくさんとる |
| 3大症状 | 多尿 | トイレの回数が多い |
| その他 | 全身倦怠感 | 体がだるく、疲れやすい |
| その他 | 体重減少 | 食べているのに痩せる |
| 合併症のサイン | 視力低下 | 見えにくくなる |
| 合併症のサイン | しびれ | 手足がしびれる |
糖尿病は血糖値+HbA1cで診断します。以下のいずれかを満たす場合に糖尿病(型)と判定されます。数値は国試頻出なので確実に覚えましょう。
| 検査項目 | 基準値 |
|---|---|
| 空腹時血糖 | 126 mg/dL 以上 |
| 75gOGTT 2時間値 | 200 mg/dL 以上 |
| 随時血糖 | 200 mg/dL 以上 |
| HbA1c | 6.5 % 以上 |
糖尿病の管理では、合併症の種類と、それを見つけるための検査をセットで押さえます。定期的な検査で合併症を早期に発見することが未来を守ります。
| 合併症 | 内容 | 主な検査 |
|---|---|---|
| 網膜症 | 目の血管が傷つき、視力低下や失明の原因に | 眼底検査 |
| 神経障害 | 手足のしびれ・痛み、感覚の低下、けがに気づきにくい | 神経伝導速度検査 |
| 腎症 | 腎臓の働きが低下し、人工透析になることも | 尿検査、尿微量アルブミン、BUN、クレアチニン |
| 動脈硬化症 | 血管が硬く・狭くなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクに | 脂質検査(LDL・HDL・中性脂肪) |
治療は①食事療法・②運動療法・③薬物療法の3つの柱でコントロールします。基本は生活習慣の是正であり、必要に応じて薬でサポートします。
主な経口糖尿病薬は作用機序ごとに整理して覚えます。
| 経口糖尿病薬 | 作用 |
|---|---|
| SU薬 | インスリンの分泌を促す |
| ビグアナイド薬 | 肝臓での糖の産生を抑える |
| α-GI(α-グルコシダーゼ阻害薬) | 糖の吸収をゆるやかにする |
| DPP-4阻害薬 | インクレチンのはたらきを高める |
| SGLT2阻害薬 | 尿からの糖の排泄を促す |
1型糖尿病はインスリンが必須です。2型糖尿病でも、経口薬が無効な場合や重症合併症がある場合にはインスリンが必要になります。
予後は合併症の有無と程度で決まります。
良好な管理で予後は改善します。ポイントは血糖コントロール/血圧・脂質管理/禁煙・運動・食事です。