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疼痛の分類と外傷の種類・鑑別・国試ポイントとうつうのぶんるいとがいしょう

このページは、痛みを「どう分類するか」と、打撲・捻挫・肉離れ・脱臼・骨折といった外傷の見分け方に絞って解説します(気滞・瘀血などの東洋医学的な痛みの病証は姉妹ページ「痛みの基本原理と病証」で扱います)。疼痛は身体的・感情的・神経的・社会/スピリチュアルな側面を含むトータルで個人的な体験であり、原因・持続時間・発生部位・発症機序の4つの軸で整理すると国試でも臨床でも迷いません。

疼痛の分類と外傷|疼痛の分類と外傷 1
読み方とうつうのぶんるいとがいしょう
定義疼痛は身体的側面(ケガや炎症などのサイン)だけでなく、感情的側面(不安・ストレス・悲しみ)、神経的側面(脳や神経の働き)、社会・スピリチュアルな側面(家族・仕事・生活環境・価値観)を含む、トータルで個人的な体験
分類の4軸①原因(外傷・損傷/炎症・感染/腫瘍・がん/心理・社会的要因)②持続時間(急性痛/慢性痛)③発生部位(体性痛/内臓痛/関連痛)④発症機序(侵害受容性疼痛/神経障害性疼痛/痛覚変調性疼痛=中枢性感作・nociplasticな疼痛)
急性痛と慢性痛急性痛=体を守るための警告反応で比較的短期間(数日〜数週間)、原因の治癒とともに軽減。慢性痛=3か月以上続く痛みで、痛み→活動低下→不安・抑うつ→さらに痛み、の悪循環をつくる
伝導する神経線維Aδ線維=速い痛み(伝達が速い 約5〜30m/s、鋭くチクッとした痛み、部位がはっきりわかる)/C線維=遅い痛み(伝達が遅い 約0.5〜2m/s、鈍くズーンとした痛み、広い範囲に広がり長く続く)
侵害受容性疼痛の経路①刺激(機械刺激・熱刺激・冷刺激・化学的刺激)→②受容器(皮膚や組織の侵害受容器が刺激を検知)→③末梢神経(Aδ線維・C線維)→④脊髄で情報が中継される→⑤脳で痛みを認識する
神経障害性疼痛神経の損傷や機能異常で生じる痛み。「電気が走る」「焼ける」「針で刺される」と表現される。代表疾患=帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、三叉神経痛
代表的な外傷打撲(ぶつけて起こる痛み:内出血・圧痛)/捻挫(関節をひねって起こる痛み:腫脹・圧痛)/肉離れ(筋肉が引き伸ばされて起こる痛み:運動時痛・圧痛)/脱臼(関節面の適合性が失われた状態)/骨折(骨の連続性が失われた状態)
応急処置・注意軟部組織損傷は早期のRICE処置(Rest安静・Ice冷却・Compression圧迫・Elevation挙上)で早期回復と再発予防。脱臼は整復と固定、骨折は固定して医療機関へ
国試での狙われ方慢性痛の期間(3か月以上)、Aδ線維とC線維の伝導速度と痛みの質、関連痛の定義(原因部位と別の場所に感じる放散痛)、完全脱臼と亜脱臼/完全骨折と不完全骨折の違い、RICEの各語の意味

疼痛とは何か-感覚・感情・社会背景を含む「個人的な体験」

痛みは単なる体のセンサー反応ではありません。スライドでは疼痛を4つの側面を含むトータルな体験として説明しています。同じ刺激でも、不安が強い人、生活環境が厳しい人では痛みの感じ方が変わるため、問診では身体所見だけでなく背景も聞き取ります。

まとめると「痛みはトータルな体験であり、個人的な体験」。痛みは身体だけでなく、心や生活背景まるごと影響を受ける大切なサインです。

疼痛は身体・感情・神経・社会/スピリチュアルの4側面を含むトータルな体験
疼痛は身体・感情・神経・社会/スピリチュアルの4側面を含むトータルな体験

疼痛の分類-原因・持続時間・発生部位・発症機序の4軸

国試で最も問われるのが、痛みをどの軸で切って分類するかです。スライドの4軸を丸ごと表にしました。「体性痛・内臓痛・関連痛」は発生部位の分類、「侵害受容性・神経障害性・痛覚変調性」は発症機序の分類であり、別々の軸であることを混同しないのが得点のコツです。

分類を知ることで、原因に合った治療やケアができます。

分類の軸区分内容
原因外傷・損傷/炎症・感染/腫瘍・がん/心理・社会的要因(ストレスなど)痛みを引き起こしている大元は何か
持続時間急性痛比較的短期間(数日〜数週間)
持続時間慢性痛長期間持続(3か月以上)
発生部位体性痛皮膚・筋肉・骨・関節など体の表面や運動器の痛み
発生部位内臓痛内臓の病気による痛み(消化器・心臓・肺など)
発生部位関連痛原因部位とは別の場所に感じる痛み(放散痛)
発症機序侵害受容性疼痛組織の損傷や炎症により痛みの受容器が刺激される
発症機序神経障害性疼痛神経そのものの損傷や機能異常による痛み
発症機序痛覚変調性疼痛(中枢性感作/nociplasticな疼痛)脳や脊髄の働きの変化により痛みが増幅・持続する
疼痛の分類=原因・持続時間・発生部位・発症機序の4軸
疼痛の分類=原因・持続時間・発生部位・発症機序の4軸

発症機序別の3分類と侵害受容性疼痛の伝導路(Aδ線維・C線維)

原因(発症機序)別に見ると、痛みは組織損傷神経の障害痛み処理の変化の3つに大別されます。痛みの原因を正しく理解することが、適切な評価と治療の第一歩です。

侵害受容性疼痛の伝わり方は、①刺激 →②受容器 →③末梢神経 →④脊髄 →⑤脳の5ステップ。刺激の種類は機械刺激・熱刺激・冷刺激・化学的刺激の4つで、皮膚や組織の侵害受容器がこれを検知し、脊髄で情報が中継され、脳で痛みを認識します。末梢神経は性質の異なる2本のルートに分かれます。

線維伝導速度痛みの質局在
Aδ線維(速い痛み)伝達が速い(約5〜30m/s)鋭い、チクッとした痛み部位がはっきりわかる(局所的)
C線維(遅い痛み)伝達が遅い(約0.5〜2m/s)鈍い、ズーンとした痛み広い範囲に広がり、長く続く
侵害受容性疼痛はAδ線維とC線維の2ルートで脳へ伝わる
侵害受容性疼痛はAδ線維とC線維の2ルートで脳へ伝わる

神経障害性疼痛-「電気が走る」「焼ける」「針で刺される」

神経障害性疼痛は、神経の損傷や機能異常で生じる痛みです。組織が治っていても神経側の問題で痛みが続くのが特徴で、患者さんの訴える言葉が独特なので問診で拾えます。

スライドでは「さまざまな痛みの原因に!」とまとめられており、原因疾患の幅が広い点が押さえどころです。

神経障害性疼痛の表現と代表疾患(帯状疱疹後神経痛・糖尿病性神経障害・三叉神経痛)
神経障害性疼痛の表現と代表疾患(帯状疱疹後神経痛・糖尿病性神経障害・三叉神経痛)

発生部位別-体性痛・内臓痛・関連痛の見分け方

痛みの場所や伝わり方による分類です。とくに関連痛は、内臓疾患を運動器の痛みと誤認する原因になるため、鍼灸あん摩マッサージ指圧の臨床ではリスク管理上きわめて重要です。心臓の病気が左肩の痛みや顎の痛みとして現れる例がスライドに挙げられています。

種類痛む場所特徴・随伴症状
体性痛皮膚・筋肉・関節などの体の表面痛い場所がはっきり分かる
内臓痛体の深いところ鈍い・広い痛み。悪心、発汗などの自律神経症状も伴う。場所がぼんやり・広く感じる
関連痛内臓の病気が離れた部位に痛みとして伝わる例:心臓の病気 → 左肩の痛み、顎の痛み。原因は内臓、痛みは別の場所に
体性痛・内臓痛・関連痛の違い(心疾患の関連痛=左肩・顎)
体性痛・内臓痛・関連痛の違い(心疾患の関連痛=左肩・顎)

急性痛と慢性痛-警告反応と悪循環

持続時間による分類です。急性痛は体を守るための警告反応であり、ケガ・炎症などの原因が治癒するとともに軽減します。一方慢性痛は3か月以上続く痛みで、単に長引いた急性痛ではなく、心理社会的な悪循環を伴う別の病態としてとらえます。

早めの理解と対策で、この悪循環を断ち切ることが治療目標になります。

急性痛=警告反応、慢性痛=3か月以上続き悪循環をつくる
急性痛=警告反応、慢性痛=3か月以上続き悪循環をつくる

外傷による痛み-打撲・捻挫・肉離れ・脱臼・骨折

ここからは、痛みの原因のうち外傷・損傷の各論です。まず軟部組織の損傷3つ。いずれも圧痛が共通所見で、受傷機転と随伴所見で鑑別します。早期のRICE処置Rest安静・Ice冷却・Compression圧迫・Elevation挙上)と適切なケアで、早く回復・再発予防につなげます。

さらに重度の外傷が脱臼と骨折です。脱臼=関節面の適合性が失われた状態で、正常な関節では関節面がしっかり適合しているのに対し、脱臼した関節では適合性が失われています。分類は完全脱臼・亜脱臼。主な所見は強い痛み・腫脹・変形・運動制限で、整復と固定が大切、早期対応で後遺症を防ぎます。骨折=骨の連続性が失われた状態で、連続性が完全に断たれた完全骨折と、一部残っている不完全骨折に分かれます。主な症状は疼痛・腫脹・変形・機能障害で、固定して医療機関へが原則です。

外傷受傷機転・定義主な所見対応
打撲ぶつけて起こる痛み内出血、圧痛RICE処置
捻挫関節をひねって起こる痛み腫脹、圧痛RICE処置
肉離れ筋肉が引き伸ばされて起こる痛み運動時痛、圧痛RICE処置
脱臼(完全脱臼・亜脱臼)関節面の適合性が失われた状態強い痛み、腫脹、変形、運動制限整復と固定(早期対応で後遺症予防)
骨折(完全骨折・不完全骨折)骨の連続性が失われた状態疼痛、腫脹、変形、機能障害固定して医療機関へ
打撲・捻挫・肉離れとRICE処置(Rest・Ice・Compression・Elevation)
打撲・捻挫・肉離れとRICE処置(Rest・Ice・Compression・Elevation)
国試ポイント
① 慢性痛の定義は「3か月以上持続」。急性痛は数日〜数週間の警告反応で、原因の治癒とともに軽減する。
② Aδ線維=速い痛み(約5〜30m/s、鋭くチクッと、局在明瞭)/C線維=遅い痛み(約0.5〜2m/s、鈍くズーン、広範囲で持続)。速度と痛みの質をセットで覚える。
③ 「体性痛・内臓痛・関連痛」は発生部位の分類、「侵害受容性・神経障害性・痛覚変調性(nociplastic)」は発症機序の分類。軸が違うので混同が引っかけポイント。
④ 関連痛は原因部位と別の場所に感じる痛み(放散痛)。心臓の病気が左肩・顎の痛みとして出る例は必修レベル。内臓痛は悪心・発汗などの自律神経症状を伴う。
⑤ 神経障害性疼痛は「電気が走る・焼ける・針で刺される」と表現され、帯状疱疹後神経痛・糖尿病性神経障害・三叉神経痛が代表。nociplasticな疼痛は明らかな組織損傷も神経障害もない点が鑑別の鍵。
⑥ 脱臼=関節面の適合性が失われた状態(完全脱臼・亜脱臼)、骨折=骨の連続性が失われた状態(完全骨折・不完全骨折)。定義文の言い回しがそのまま出題される。
・ 軟部組織損傷(打撲・捻挫・肉離れ)はRICE=Rest安静・Ice冷却・Compression圧迫・Elevation挙上。骨折は固定して医療機関へ、脱臼は整復と固定。
📖 疼痛の分類と外傷をスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習