アフロの手アフロの手

変形性関節症の病態・疫学・分類・症状・診断・治療

変形性関節症は、関節軟骨がすり減って骨が変形し、骨棘(こつきょく)が形成される進行性の疾患です。主に加齢と力学的ストレスが原因で中高年・高齢者に多く、炎症はほとんどないのが特徴。膝・股関節・手指・足・肘など全身の関節に起こります。

変形性関節症|変形性関節症 1
読み方へんけいせいかんせつしょう
病態関節軟骨のすり減り+骨の変形・骨棘形成
好発中高年・高齢者(65歳以上で高頻度、加齢で有病率増加)
分類一次性(加齢+力学的ストレス)/二次性(明らかな原因あり)
主症状関節の痛み・こわばり・可動域制限・変形
炎症ほとんどない(慢性・進行性)
診断X線(関節裂隙の狭小化・骨棘形成・骨硬化)+問診・理学所見
治療保存療法が基本(減量・運動・装具・薬物)→重症例は手術(人工関節置換術)
好発関節膝・股・手指(DIP/PIP)・足・肘 など

変形性関節症とは(病態の概要)

変形性関節症は、関節がすり減って変形する病気です。加齢などにより関節軟骨がすり減り、その結果として骨の変形や骨棘(こつきょく:骨のトゲ)の形成、関節のすき間(関節裂隙)の狭小化が進みます。

関節リウマチのような強い炎症はほとんどなく、変形・すり減りが中心となる慢性・進行性の疾患であることがポイントです。膝関節や股関節など、体重のかかる関節に起こりやすいのが特徴です。

関節に起こる変化内容
軟骨のすり減り関節軟骨がすり減り、関節のすき間が狭くなる
骨の変形すり減りに伴い骨の形が変わる
骨棘の形成関節のふちにトゲのような骨(骨棘)ができる
正常な関節から変形性関節症への変化(膝・股関節)。軟骨のすり減り→骨の変形→骨棘形成が進む
正常な関節から変形性関節症への変化(膝・股関節)。軟骨のすり減り→骨の変形→骨棘形成が進む

疫学(どのくらいの人にみられるか)

変形性関節症は成人に広くみられる国民的な疾患です。20歳以上の成人に多くみられ、年齢が上がるほど有病率が増加します。特に65歳以上の高齢者で頻度が高くなります。

原因と分類(一次性・二次性)

変形性関節症は原因によって一次性二次性に分けられます。一次性は「加齢+力学的ストレス」が原因で、はっきりした基礎疾患がなく誰にでも起こりうるものです。二次性は明らかな原因があるもので、原因に応じた治療が重要になります。原因の特定が早期対応と進行予防のカギです。

分類原因具体例
一次性加齢+力学的ストレス加齢による軟骨のすり減り、繰り返しの負荷・使いすぎ
二次性(外傷)外傷の後遺症骨折・靭帯損傷などの後遺症
二次性(形態異常)関節の形の異常O脚・X脚 など
二次性(疾患)関節の病気関節リウマチ、痛風 など
二次性(代謝異常)代謝の異常高尿酸血症、糖尿病 など

変形性膝関節症

変形性膝関節症は中高年の女性に多く、膝関節の軟骨がすり減って骨が変形する病気です。正常な膝から、軟骨のすり減り・骨の変形(骨棘)・関節のすき間の狭小化が進みます。

主な症状は次の通りです。

診断はX線所見(関節裂隙の狭小化・骨棘の形成・骨硬化)で行い、治療は減量・筋力トレーニング・水中ウォーキング・杖・足底板(インソール)・外用薬(ヒアルロン酸やステロイド)などの保存療法が基本で、重症例では人工関節置換術などの手術も選択されます。

変形性膝関節症:軟骨のすり減りと骨棘、関節のすき間の狭小化。立ち上がりの痛みやO脚が主なサイン
変形性膝関節症:軟骨のすり減りと骨棘、関節のすき間の狭小化。立ち上がりの痛みやO脚が主なサイン

変形性股関節症

変形性股関節症は女性に多く二次性が多いのが特徴です。日本では二次性が約8〜9割を占め、主な二次性の原因に先天性股関節脱臼(DDH)臼蓋形成不全があります。

症状は股関節の痛み・動きの制限・可動域の低下で、歩行時や立つ・座るときの痛み、足を引きずる(跛行)などがみられます。診断はX線で関節裂隙の狭小化・骨の変形と骨棘形成・Shenton線の途絶や変形を確認し、問診・理学所見もあわせて総合的に判断します。治療は体重管理・杖の使用・生活指導(運動療法・薬物療法)などの保存療法から始め、進行例では人工関節置換術を行います。

変形性股関節症の症状・診断・治療。X線でShenton線の途絶や関節裂隙の狭小化を確認する
変形性股関節症の症状・診断・治療。X線でShenton線の途絶や関節裂隙の狭小化を確認する

手指の変形性関節症(ヘバーデン結節・ブシャール結節)

手指の変形性関節症は女性に多く、40代以降によくみられます。起こる関節によって呼び名が異なるのが国試頻出ポイントです。

症状はゆっくり進行し、動かし始めに強い軽い痛み・こわばり、ゆっくり進む腫れ・赤み、関節がゴツゴツして変形してくる、といった経過をたどります。

関節呼称
DIP関節(第2関節)ヘバーデン結節
PIP関節(第1関節)ブシャール結節
手指の変形性関節症。DIP=ヘバーデン結節、PIP=ブシャール結節。女性に多い
手指の変形性関節症。DIP=ヘバーデン結節、PIP=ブシャール結節。女性に多い

変形性足関節症・変形性肘関節症

変形性足関節症は原発性(一次性)はまれで、二次性がほとんどです。足関節は脛骨・腓骨・距骨からなり、原発性は全体の約10〜20%にとどまります。二次性は捻挫・靭帯損傷、脱臼、骨折、感染症、麻痺など、外傷後に多いのが特徴です。症状は変形・腫れ・可動域制限・局所の熱感・圧痛・軋轢音(ゴリゴリ音)で、装具(足底板)が重要。手術としてデブリードマン(関節鏡視下の清掃)・靭帯再建術・足関節固定術・骨切り術・人工足関節置換術があります。

変形性肘関節症は使いすぎで悪化する肘の病気です。原因は古い外傷(骨折・脱臼の後遺症)・関節炎・離断性骨軟骨炎・長期の振動工具使用・繰り返しの投球動作(野球投手に多い)など。症状は肘の痛み・屈伸制限・関節のきしみ(クレピタス)・関節ねずみ(遊離体)による引っかかり・ロッキング尺骨神経障害(しびれ・感覚異常)が特徴です。

診断と治療の基本

診断はX線が基本で、次の所見を確認します。問診・理学所見もあわせて総合的に判断します。

治療は保存療法が基本です。減量による負担軽減、筋力トレーニングや水中ウォーキング、杖・足底板などのサポート、外用薬による痛み・炎症の改善で進行を抑えます。重症例では人工関節置換術などの手術で痛みを減らし、生活の質(QOL)を取り戻します。早期発見・早期対応が進行予防のカギです。

治療の柱具体例
負担軽減減量(体重管理)、杖の使用、足底板(インソール)
運動療法筋力トレーニング、水中ウォーキング
薬物療法外用薬(ヒアルロン酸・ステロイドなど)
手術(重症例)人工関節置換術、骨切り術、関節固定術 など
国試ポイント
① 変形性関節症は関節軟骨のすり減りと骨棘形成が主体で、炎症はほとんどない慢性・進行性疾患。加齢と力学的ストレスが主因
② 分類は一次性(加齢+力学的ストレス)と二次性(外傷・形態異常・関節リウマチや痛風・代謝異常など明らかな原因あり)
③ X線の三所見=関節裂隙の狭小化・骨棘形成・骨硬化。問診・理学所見とあわせて総合的に診断する
④ 変形性股関節症は女性・二次性が多く、日本では二次性が約8〜9割。主因は先天性股関節脱臼(DDH)・臼蓋形成不全。X線でShenton線の途絶をみる
⑤ 手指ではDIP関節=ヘバーデン結節、PIP関節=ブシャール結節(女性・40代以降に多い)。治療は保存療法が基本で重症例は人工関節置換術
📖 変形性関節症をスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習