多尿とは、1日尿量が2,000〜2,500mL以上に増加した状態をいいます。体の水分調節はADH(バソプレシン=抗利尿ホルモン)とアルドステロンが担っており、この調節機構に障害が起きると多尿をきたします。国試では低張性利尿(水利尿)と非低張性利尿(浸透圧利尿)の区別、そして水制限試験による心因性多尿の鑑別が頻出ポイントです。
| 読み方 | たにょう |
|---|---|
| 定義 | 1日尿量 2,000〜2,500mL以上 |
| 関与ホルモン | ADH(バソプレシン=抗利尿ホルモン)・アルドステロン |
| 分類 | ①低張性利尿(水利尿)②非低張性利尿(浸透圧利尿)③腎における水保持の異常 ④心因性多飲 |
| 主な原因 | 中枢性尿崩症(ADH低値)・腎性尿崩症(ADH感受性低下)・糖尿病・慢性腎不全・心因性多飲 |
| 随伴症状 | 尿量増加、心因性多飲・浸透圧利尿では水分摂取も増加、脱水傾向 |
| 鑑別・注意 | 低張性か非低張性かをまず判別。心因性多尿の鑑別には水制限試験 |
| 検査 | 尿量・尿浸透圧・血漿浸透圧の測定、水制限試験 |
| 治療 | 脱水予防の水分・電解質補充、原因疾患に応じた治療 |
多尿とは、1日の尿量が2,000〜2,500mL以上に増加した状態を指します。単に排尿回数が多い「頻尿」とは異なり、あくまで1日の総尿量で定義される点に注意が必要です。
この2つのホルモンが体の水分調節を担っており、これらの調節機構に障害が起きると多尿になります。ADHが出ない・効かない状態が、そのまま多尿の代表的な病態につながります。
多尿は原因により大きく4つに分類されます。国試では①低張性利尿(水利尿)と②非低張性利尿(浸透圧利尿)の対比が最重要です。
| 分類 | メカニズム | 主な原因疾患・病態 |
|---|---|---|
| ① 低張性利尿(水利尿) | 水そのものが多く出る(尿は薄い) | ADH低値 → 中枢性尿崩症/ADHへの腎感受性低下 → 腎性尿崩症・低K血症・高Ca血症/心因性多飲・低張輸液 |
| ② 非低張性利尿(浸透圧利尿) | 溶質が尿中に多く、水を引き連れて出る | ブドウ糖 → 糖尿病/マンニトール・尿素 → 慢性腎不全・急性腎不全利尿期/塩利尿 |
| ③ 腎における水保持の異常 | 腎の尿濃縮能そのものの障害 | 尿崩症(中枢性・腎性)、腎障害(腎盂腎炎・骨髄腫腎・ファンコニー症候群・嚢胞腎・痛風腎など)、浸透圧利尿(糖尿病・慢性腎不全) |
| ④ 心因性多飲 | 心理的要因で過剰に水分を摂取 | 精神的要因による多飲 → 二次的に多尿をきたす |
とくに脱水の進行は危険な兆候であり、高齢者や意識障害で自ら水分を摂れない患者では重篤化しやすい点に注意します。
多尿をみたら、まず低張性(水利尿)か非低張性(浸透圧利尿)かを判別します。
| 鑑別項目 | 中枢性尿崩症 | 腎性尿崩症 | 心因性多飲 |
|---|---|---|---|
| ADH | 低値 | 正常〜高値 | 低値(抑制) |
| ADHへの腎の反応 | あり | なし(感受性低下) | あり |
| 水制限試験 | 尿は濃縮されない | 尿は濃縮されない | 尿が濃縮される |
多尿はそれ自体が病名ではなく主訴・症候です。背景疾患を突き止めることが治療の出発点になります。
多尿は「分類・原因・鑑別」をセットで覚えるのが得点のコツです。