乏尿・無尿とは、腎臓での尿生成や尿の排出経路に障害が生じ、1日の尿量が異常に減少した状態です。国試では乏尿=400mL/日以下、無尿=100mL/日以下という数字と、腎前性・腎性・腎後性の3分類が繰り返し問われます。原因によって随伴症状も治療も異なるため、分類とセットで覚えるのが得点への近道です。
| 読み方 | ぼうにょう・むにょう |
|---|---|
| 乏尿の定義 | 1日尿量400mL以下、または時間尿量20mL以下 |
| 無尿の定義 | 1日尿量100mL以下(緊急対応が必要) |
| 正常尿量 | 800〜1,600mL/日 |
| 分類 | 腎前性(腎血流低下)・腎性(腎そのものの障害)・腎後性(尿路閉塞) |
| 主な原因 | 出血・脱水・ショック・心不全/急性尿細管壊死・各種腎炎・慢性腎不全/尿路結石・前立腺肥大・前立腺癌・両側尿管閉塞 |
| 随伴症状 | 腎前性=冷汗・頻脈・頻呼吸・血圧低下・顔面蒼白(ショック症状)/腎性=全身倦怠感・食欲不振・吐き気 |
| 検査 | 尿検査、血液検査、血液生化学検査(BUN・Cr・Alb・β2ミクログロブリン・電解質)、胸腹部X線、腹部エコー、CT |
| 治療 | 腎前性=水分・電解質補充/腎性=利尿薬・食事療法・副腎皮質ホルモン・透析/腎後性=外科的処置 |
乏尿・無尿は「1日の尿量」で機械的に判定します。国試ではこの数字がそのまま出題されるため、必ず暗記してください。
尿量は「正常 > 乏尿 > 無尿」の順に減っていきます。なお無尿は「腎臓で尿がつくられない/膀胱まで届かない」状態であり、膀胱に尿は溜まっているのに出せない尿閉とは区別されます。
| 区分 | 1日尿量 | 覚え方・注意 |
|---|---|---|
| 正常 | 800〜1,600mL/日 | 目安の正常範囲 |
| 乏尿 | 400mL以下(時間尿20mL以下) | 注意が必要 |
| 無尿 | 100mL以下 | 緊急対応が必要 |
乏尿・無尿の原因は、障害の「場所」で腎前性・腎性・腎後性の3つに分けます。これが鑑別の骨格です。
とくに前立腺肥大・前立腺癌は腎後性の代表、慢性腎不全(急性増悪・末期)は腎性という組み合わせが頻出です。
| 分類 | メカニズム | 代表的な原因 |
|---|---|---|
| ① 腎前性 | 腎血流量低下 → 糸球体濾過量減少 | 体液量減少(出血・脱水・下痢・嘔吐)、血圧低下(ショック)、循環障害(心不全・心筋梗塞・腎血管攣縮/閉塞) |
| ② 腎性 | 腎臓自体の障害 → 尿生成が不十分 | 急性尿細管壊死、急性間質性腎炎、急性腎盂腎炎、急性糸球体腎炎、慢性腎不全 |
| ③ 腎後性 | 腎盂〜膀胱の尿路障害 → 尿が流れない | 尿道閉塞、膀胱頸部狭窄(前立腺肥大・前立腺癌)、両側尿管閉塞、尿路結石・腫瘍 |
分類ごとに、尿が減るまでの流れを言葉でつなげられるようにしておくと応用問題に強くなります。
腎前性は循環を回復させれば可逆的なことが多い一方、放置すると腎実質障害(腎性)へ移行します。
排尿量の減少はすべてに共通しますが、それ以外の症状が原因によって異なるのが鑑別のカギです。
「尿が出ない」患者でショック症状を伴えば腎前性を最優先で疑い、緊急対応につなげます。
| 分類 | 特徴的な随伴症状 |
|---|---|
| 腎前性 | 冷汗・頻脈・頻呼吸・血圧低下・顔面蒼白(ショック症状) |
| 腎性 | 全身倦怠感・食欲不振・吐き気 |
| 腎後性 | 排尿困難・下腹部緊満(尿閉ではカテーテルで排尿可) |
原因を特定するため、複数の検査を組み合わせて行います。血液生化学検査では腎機能と電解質異常を必ずチェックします。
治療は原因ごとに大きく異なります。
| 分類 | 治療の方針 | 具体例 |
|---|---|---|
| 腎前性 | まず循環を改善(補充) | 水分・電解質(Na・K・Cl)の補充 |
| 腎性 | 腎機能に応じた内科的治療・透析 | 利尿薬、食事療法(蛋白制限・塩分制限)、副腎皮質ホルモン、透析 |
| 腎後性 | 閉塞を解除(外科的処置) | 結石・腫瘍に対する外科的処置、尿道カテーテル挿入 |
出題されやすいのは数字・3分類・代表疾患の3点セットです。下の図で最終確認しましょう。