体熱とは、身体の細胞がグルコースなどを分解してエネルギー(ATP)をつくり、それを使う過程で発生する熱のことです。つくられた熱は主に血液によって全身へ運ばれ、一部は体外へ放散されます。核心温度は「熱産生(作る熱)」と「熱放散(逃がす熱)」のバランスによって一定に保たれます。
| 読み方 | たいねつ |
|---|---|
| 定義 | 細胞がグルコースなどを分解してエネルギーを産生・利用する過程で発生する熱。血液で全身へ運ばれ一部は体外へ放散される |
| 体温が保たれるしくみ | 核心温度=熱産生と熱放散のバランスで一定に保たれる |
| 熱産生の要因 | 基礎代謝・筋収縮(ふるえ産熱)・食事誘発性熱産生・非ふるえ産熱・ホルモン作用・放熱の防止 |
| 熱放散の方法 | 放射・伝導・対流・蒸発(不感蒸散/発汗)・皮膚血管の拡張の5つ |
| 関与するホルモン | 甲状腺ホルモン(代謝促進・長時間の熱産生↑)、カテコールアミン(グリコーゲン分解・脂肪分解→産熱↑)、黄体ホルモン(排卵後〜月経まで基礎体温↑)、ADH(暑熱時に分泌増加し尿量減少) |
| 数値 | 環境温25℃前後で放熱の約50%が放射/発汗による放熱は外気温30℃を超えると増え始め35℃以上で主な放熱手段/不感蒸散は皮膚から約500〜700mL、肺から約150〜450mL、合計約1L(1日あたり) |
| 国試での狙われ方 | 産熱と放熱の要因の分類、ふるえ産熱と非ふるえ産熱(褐色脂肪組織・新生児)の区別、放熱4様式の定義、25℃・30℃・35℃の数値、寒冷時/暑熱時の反応の対比 |
身体の細胞は、グルコースなどを分解してエネルギー(ATP)を得ます。このエネルギーを作ったり使ったりする過程で熱が発生します。体内で作られた熱は、主に血液によって全身へ運ばれ、一部は体外へ放散されます。
熱産生とは体内で熱を作ることです。主に基礎代謝・筋収縮・食事誘発性熱産生・非ふるえ産熱・ホルモン作用・放熱の防止により起こります。
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| A. 基礎代謝 | 生命維持に必要な最小限の代謝。覚醒している安静状態での代謝で、体温維持に重要。細胞内で物質の合成・分解が行われる |
| B. 筋収縮 | 運動時の骨格筋収縮、姿勢保持の筋緊張、寒冷時のふるえ。ふるえによる産熱=ふるえ産熱 |
| C. 食事誘発性熱産生 | 食事で消化・吸収・代謝が高まり、その結果熱が発生する(食事誘発性熱産生反応) |
| D. 非ふるえ産熱 | 筋収縮によらず代謝を高めて熱を作る。肝臓などの臓器で起こる。新生児では褐色脂肪組織で多く、成人では少ない |
| E. ホルモン作用 | 甲状腺ホルモン=代謝を促進し長時間にわたり熱産生↑/カテコールアミン=グリコーゲン分解・脂肪分解→産熱↑/黄体ホルモン=排卵後〜月経まで基礎体温↑ |
寒いときは、身体から熱が逃げないようにする反応が起こります。主な反応は次の4つです。
ヒトでは立毛による保温効果は大きくありませんが、寒いときの反応として重要です。
熱放散とは体内の熱を外へ逃がすことで、主な方法は5つです。伝導と対流では、皮膚温と外気温の差が大きいほど放熱が増えます。
| 方法 | 内容 | 例・数値 |
|---|---|---|
| ① 放射 | 身体が触れていない物体へ熱を放出すること | 壁などへ熱が逃げる。環境温が25℃前後では放熱の約50%が放射によるもの |
| ② 伝導 | 身体が直接触れている物体へ熱が移動すること | 冷たい椅子に座る、冷たい床に触れる |
| ③ 対流 | 空気や水の流れによって熱が移動すること | 風に当たる、冷たい空気が流れる |
| ④ 蒸発 | 体表面の水分が蒸発するときに気化熱が奪われて放熱する。不感蒸散(意識しないうちに皮膚や肺から水分が失われる現象)と発汗(汗の蒸発によって放熱)の2種類 | 1日あたりの水分喪失量の目安=皮膚から約500〜700mL、肺から約150〜450mL、合計約1L。発汗による放熱は外気温が30℃を超えると増え始め、35℃以上では主な放熱手段になる |
| ⑤ 皮膚血管の拡張 | 暑いときは皮膚血管が拡張する。皮膚血流量が増える→皮膚温が上がる→皮膚からの放熱が増える | 暑熱時の反応 |
体熱は「作る熱(熱産生)」と「逃がす熱(熱放散)」のバランスです。寒暑での反応を対比して覚えます。
| 寒いときの反応(熱を逃がさない+熱を作る) | 暑いときの反応(汗を出す+血管をひらいて熱を逃がす) |
|---|---|
| 皮膚血管収縮 | 発汗(蒸発で熱を逃がす) |
| 皮膚血流量の減少 | 皮膚血管拡張 |
| 体表面からの放熱を防ぐ | 皮膚血流量の増加 |
| 立毛筋収縮による立毛(保温効果は小さい) | 皮膚温が上がり放熱が増える |
| ふるえ産熱(筋肉がふるえて熱を作る) | ADH分泌増加 |
| 甲状腺ホルモン・カテコールアミンで代謝亢進 | 腎臓からの水分排泄を抑制 |
| 非ふるえ産熱(褐色脂肪組織など) | 尿量が減る |