体幹の前腹壁は外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の3層と腹直筋が組み合わさって腹圧・体幹運動・臓器保護を担っています。さらに腹壁には鼠径管という弱点となるトンネルがあり、胸部では大胸筋・小胸筋・前鋸筋などが肩甲骨・上肢の動きを支えます。国試で狙われる走行の向き・数値・ヘルニア好発部位をまとめて攻略しましょう。
| 部位 | 体幹(腹部・胸部)の筋群 |
|---|---|
| 側腹筋(3層) | 外腹斜筋(最表層)・内腹斜筋(中層)・腹横筋(最内層) |
| 前腹筋 | 腹直筋(臍の両側を縦走) |
| 腹直筋鞘 | 外腹斜筋腱膜・内腹斜筋腱膜・腹横筋腱膜の3層で形成 |
| 鼠径管 | 鼠径靭帯上縁に沿う長さ約4cmのトンネル、入口=深鼠径輪、出口=浅鼠径輪 |
| 胸部の筋 | 大胸筋・小胸筋・鎖骨下筋・前鋸筋・外肋間筋 |
| 代表的な弱点部(ヘルニア好発部位) | 鼠径管・臍輪・弓状線下方 |
前腹壁の側方を構成するのは、表層から外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の3層です。走行の向きが層ごとに異なり、これが国試の頻出ポイントになります。
外腹斜筋の広い停止腱膜は腹直筋鞘前葉を形成し、前腹筋(腹直筋)とつながる重要な構造です。
| 筋 | 位置(層) | 走行方向 | 覚え方 |
|---|---|---|---|
| 外腹斜筋 | 最表層 | 後上方→前下方 | 外=前下へ |
| 内腹斜筋 | 中層 | 外側下方→内側上方 | 内=前上へ |
| 腹横筋 | 最内層 | ほぼ水平(横走) | 横=水平! |
側腹筋3層は共同して以下の作用を持ちます。国試では「どの筋が何をするか」より、3層セットとしての働きが問われることが多いです。
腹圧を高める作用は、後述する腹直筋・腹横筋とも共通する体幹筋群全体の重要な機能です。
腹直筋は臍の両側を縦走する前腹壁の中心的な筋で、体幹を支える重要筋です。腹直筋には特徴的な構造がいくつもあります。
| 構造 | 内容 |
|---|---|
| 腱画 | 腹直筋を横切る中間腱、3〜4本 |
| 腹直筋鞘 | 外腹斜筋腱膜・内腹斜筋腱膜・腹横筋腱膜の3層でできる |
| 白線 | 左右の腹直筋鞘が正中で癒合、剣状突起〜恥骨結合まで続く |
| 臍輪 | 臍の孔を囲む。閉鎖不全→臍ヘルニア |
| 弓状線 | 臍輪の約3cm下方。腹直筋鞘後葉が終わる下縁 |
腹壁には構造的に強度が低く、ヘルニアが起こりやすい部位がいくつかあります。中でも国試最頻出なのが鼠径管です。
鼠径管は腹壁の抵抗が弱いため、鼠径ヘルニアの好発部位です。腹腔内の腸などがこのトンネルを通って脱出します。新生児は鼠径管が短いため、成長とともに斜走が長くなるまではヘルニアを起こしやすいとされます。また前述の臍輪の閉鎖不全(臍ヘルニア)、弓状線より下方(腹直筋鞘後葉が消失する部位)も同様に腹壁の弱点として整理しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 鼠径靭帯 | 外腹斜筋腱膜下縁の肥厚、上前腸骨棘〜恥骨結節 |
| 鼠径管の長さ | 約4cm |
| 入口 | 深鼠径輪(腹腔側) |
| 出口 | 浅鼠径輪(腹壁外側)、斜め内下方へ開く |
| 好発する疾患 | 鼠径ヘルニア(腹壁の抵抗が弱い部位から腸が脱出) |
胸壁前面〜側面には、胸郭・肩甲骨・上肢の動きに関わる筋群が層をなして存在します。腹壁とセットで体幹〜上肢の連結を理解しましょう。
| 筋 | 位置 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 大胸筋 | 胸部前面(最表層) | 上肢の運動 |
| 小胸筋 | 大胸筋の深層 | 肩甲骨の動きを補助 |
| 鎖骨下筋 | 鎖骨直下 | 鎖骨固定、胸鎖関節脱臼予防、鎖骨下動静脈のクッション |
| 前鋸筋 | 胸郭側面 | 腋窩内側壁の形成、肩甲骨を前方へ引く・回旋 |
| 外肋間筋 | 肋骨間 | 呼吸運動(吸気時に肋骨を挙上) |