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僧帽弁逸脱症候群の病態・分類・症状・診断・治療そうぼうべんいつだつしょうこうぐん

僧帽弁逸脱症候群は、収縮期に僧帽弁尖が左房側へ突出する弁膜症です。多くは無症状で経過観察となりますが、収縮中期クリックという特徴的な聴診所見や、心エコーによる診断のポイントは国試で頻出です。

僧帽弁逸脱症候群|僧帽弁逸脱症候群 1
読み方そうぼうべんいつだつしょうこうぐん
分類弁膜症(僧帽弁尖の左房側への突出)
頻度一般人口の約2.4%
原因多くは原因不明。膠原線維異常による腱索延長など
関連疾患マルファン症候群、急性リウマチ熱、心房中隔欠損症(約20%に合併)
主症状多くは無症状。若年者の運動と無関係な胸痛がみられることも
聴診所見収縮中期クリック(逆流合併時は+収縮後期雑音)
検査所見心エコーで僧帽弁尖の左房側への突出を確認
治療経過観察が基本。重症例は弁形成術・弁置換術、抗凝固療法

僧帽弁逸脱症候群とは?病態の基本

僧帽弁逸脱症候群(MVP)は、収縮期に僧帽弁尖(前尖・後尖)が左房側へふくらむように突出する疾患です。弁尖を支える腱索が延長することで弁尖が左房側へ押し出され、僧帽弁がうまく閉じきれずに逆流(僧帽弁閉鎖不全)を来すことがあります。

収縮期に僧帽弁が左房側へふくらむように突出するのが本症の基本病態
収縮期に僧帽弁が左房側へふくらむように突出するのが本症の基本病態

頻度・原因・関連疾患

心エコー検査の普及により比較的多く発見される疾患で、一般人口の約2.4%にみられるとされます。多くは原因不明ですが、膠原線維異常による腱索延長が関与するとされ、マルファン症候群など結合組織疾患との関連も知られています。また、急性リウマチ熱の後遺症や僧帽弁交連切開術後にみられることもあり、心房中隔欠損症(ASD)では合併頻度が約20%と高いことが知られています。

区分内容
頻度一般人口の約2.4%(心エコーで比較的多く発見される)
原因多くは原因不明。膠原線維異常による腱索延長
関連疾患マルファン症候群、急性リウマチ熱、僧帽弁交連切開術後
合併頻度が高い疾患心房中隔欠損症(ASD)で約20%
原因不明の例が多いが、膠原線維異常による腱索延長が関与するとされる。マルファン症候群なども関連
原因不明の例が多いが、膠原線維異常による腱索延長が関与するとされる。マルファン症候群なども関連

みられる症状

僧帽弁逸脱症候群の多くは無症状で、一生涯にわたって症状が出ないまま経過することも少なくありません。症状がないからといって重症でないとは限らず、経過観察のみで済むケースが大半です。一方で、若年者にみられる、運動とは無関係な「チクチクとした胸痛」が特徴的な症状として知られており、若年者の胸痛を診た際には本症も鑑別に挙げる必要があります。

運動とは無関係なチクチクした胸痛が特徴。若年者の胸痛でも本症を疑う
運動とは無関係なチクチクした胸痛が特徴。若年者の胸痛でも本症を疑う

聴診所見と心エコーによる診断

僧帽弁逸脱症候群の特徴的な聴診所見は、収縮中期に心尖部で聴取される「クリック音(収縮中期クリック)」です。僧帽弁逆流を合併すると、このクリックに続いて収縮後期雑音が聴取されるようになり、これは重要な聴診所見として国試でも問われます。確定診断には心エコー検査を行い、僧帽弁尖が左房側へ突出している様子を直接確認します。

聴診・検査所見
聴診(単独)収縮中期クリック(心尖部)
聴診(逆流合併)クリック+収縮後期雑音
心エコー僧帽弁尖の左房側への突出を確認
収縮中期クリックは心尖部で聴取される特徴的な聴診所見
収縮中期クリックは心尖部で聴取される特徴的な聴診所見

治療

僧帽弁逸脱症候群は多くの場合治療を必要とせず、経過観察が基本となります。胸痛症状があるときはβ遮断薬を用いることがあります。高度な僧帽弁逆流を伴う重症例では、弁を修復して温存する弁形成術や、人工弁に置き換える弁置換術が検討されます。また、血栓・塞栓症予防のために抗凝固療法が行われることもあります。

重症例では弁形成術・弁置換術、血栓塞栓予防の抗凝固療法などを検討する
重症例では弁形成術・弁置換術、血栓塞栓予防の抗凝固療法などを検討する
国試ポイント
① 僧帽弁尖が収縮期に左房側へ突出する病態であること
② 聴診の特徴は「収縮中期クリック」、逆流合併時は「+収縮後期雑音」
③ 心エコーで左房側への弁尖突出を確認して診断確定
④ 多くは無症状で経過観察のみ、治療不要なことが多い
⑤ 若年者の運動と無関係なチクチクした胸痛でも本症を疑う
⑥ 頻度は一般人口の約2.4%、マルファン症候群やASD(約20%)との関連に注意
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