ホーム ›
国試辞書 ›
臨床医学各論 ›
出血性素因・紫斑病
出血性素因・紫斑病の病態・分類・症状・診断・治療しゅっけつせいそいん・しはんびょう
出血性素因とは、止血機構のどこかに異常があり「出血しやすく・止血しにくい」病態(=出血傾向) のこと。紫斑病は皮膚・粘膜に出血斑を生じる疾患群で、血小板減少・血小板機能障害・血管壁の脆弱化 が原因になります。国試で特に重要なのは、後天性で自己抗体により血小板が破壊されるITP(特発性血小板減少性紫斑病) です。
読み方 しゅっけつせいそいん・しはんびょう
分類 出血性疾患(止血機構の異常による出血傾向)
紫斑病の3大原因 ①血小板減少 ②血小板機能障害 ③血管壁の脆弱化
代表疾患 ITP(特発性血小板減少性紫斑病)=後天性で最多
好発(慢性型ITP) 20〜40代女性に多い(男女比 約1:4・患者数 約2万人)
主な症状 点状出血・斑状出血・歯肉出血・鼻出血などの皮膚・粘膜出血
検査所見 血小板減少(赤血球・白血球はほぼ正常)/骨髄は巨核球 正常〜増加
治療 副腎皮質ステロイドが中心。脾臓摘出術・γグロブリン大量療法も
出血性素因とは(病態)
出血性素因とは、止血機構のどこかに異常があるために、出血しやすく・止血しにくくなった状態 を指します。「出血性素因=出血傾向」と覚えましょう。
①血管が傷つく … 通常はここから止血が始まる②血小板が集まり血栓をつくって止血しようとする ③止血がうまくいかず、出血しやすく・止まりにくい 止血に関わる血管・血小板・凝固因子のいずれかに問題が生じると、出血性素因が現れます。
出血性素因=止血機構の異常による出血傾向
止血の流れ(一次止血・二次止血・線溶)
正常な止血は次の順序で進みます。前半(血管収縮+血小板)を一次止血 、凝固因子でフィブリンをつくる後半を二次止血 、最後に不要な血栓を溶かすのが線溶 です。
①血管収縮 … 傷つくと血管がキュッと縮んで出血を減らす②血小板の粘着・凝集 … 血小板が傷口に集まってフタをする(一次止血)③凝固因子の活性化 … 凝固因子が順番に働き血液を固める(二次止血)④フィブリン形成 … フィブリンの網ができて強い血栓をつくる線溶 … 不要になった血栓を分解して血管を元通りに修復
止血の流れ:血管収縮→血小板粘着・凝集→凝固因子活性化→フィブリン形成→線溶
紫斑病とは(皮膚・粘膜の出血斑)
紫斑病は皮膚・粘膜に出血斑(紫斑)を生じる疾患 です。原因は大きく3つに分けられます。
①血小板減少 … 血小板の数そのものが減る②血小板機能障害 … 数はあっても正しく働けない③毛細血管壁が脆い(血管壁の脆弱化) これらの結果、皮膚・粘膜に点状出血 (小さな点状の出血)や斑状出血 (やや大きな紫斑)が現れます。
紫斑病の3原因と、点状出血・斑状出血
紫斑病の分類とITP
紫斑病は先天性 と後天性 に分かれ、多いのは後天性 です。
先天性 … 血小板の数や機能の異常、遺伝性疾患など。生まれつきの体質によるもの後天性 … 代表が特発性血小板減少性紫斑病(ITP) 。国家試験でも重要ITPは自己免疫疾患 で、次の流れで血小板が減ります。
①自己抗体が血小板に結合する ②脾臓のマクロファージが血小板を貪食・破壊する ③血小板数が減少する ポイントとして、骨髄での血小板産生は正常〜亢進 している(つくる能力はあるが、末梢で壊されている)ことを押さえましょう。
ITPは自己抗体で血小板が破壊される自己免疫疾患
ITPの病型と疫学(急性型・慢性型)
ITPには経過の違いで急性型 と慢性型 があり、年齢・経過の違いが重要です。患者数は約2万人、男女比は約1:4で女性に多く、特に20〜40代に多くみられます。
項目 急性型 慢性型
好発 小児に多い 20〜40代女性に多い
発症 感染後に発症 徐々に発症
経過 6か月以内に治癒しやすい 経過が長く難治性
慢性型ITPは女性に多い(患者数 約2万人・男女比 約1:4)
症状・診断・治療
主な症状 は皮膚・粘膜の出血です。
点状出血・斑状出血(紫斑) 歯肉出血・鼻出血 性器出血がみられることもある 診断 では血液検査で血小板減少 を確認します。
血小板が減少する一方、赤血球・白血球はほぼ正常 (大きな異常なし) 骨髄検査では巨核球は正常〜増加 し、血小板付着のない巨核球が多い 治療 は次が中心です。
①副腎皮質ステロイド薬 (第一選択)… 炎症や免疫反応を抑えて出血を改善②脾臓摘出術 … 脾臓での抗体産生・血小板破壊を減らし再発を予防③γグロブリン大量療法 … 免疫のバランスを整え血小板を一時的に増加予後 は、急性型は自然治癒が多い一方、慢性型は重症化に注意。脳出血・消化管出血などの重篤な合併症 に注意が必要です。
治療はステロイドが中心。脾摘・γグロブリン療法も
国試ポイント
① 出血性素因=止血機構の異常による出血傾向(出血しやすく止血しにくい)
② 止血の流れは 血管収縮→血小板粘着・凝集→凝固因子活性化→フィブリン形成→線溶
③ 紫斑病の3原因は 血小板減少・血小板機能障害・血管壁の脆弱化
④ 代表はITP(特発性血小板減少性紫斑病)=後天性・自己抗体で血小板が脾臓のマクロファージに破壊される自己免疫疾患
⑤ ITPの検査=血小板減少、赤血球・白血球はほぼ正常、骨髄の巨核球は正常〜増加
⑥ 慢性型ITPは20〜40代女性に多い/治療はステロイドが第一選択、脾摘・γグロブリン療法も
📖 出血性素因・紫斑病をスライドで学ぶ(国試辞書)
図解スライドでサクッと復習