再生不良性貧血は、骨髄の造血幹細胞が障害されて造血機能が低下し、赤血球・白血球・血小板の3系統がすべて減る汎血球減少(pancytopenia)をきたす病気です。比較的まれですが重症例では命に関わることもあり、貧血・感染・出血の3系統の症状と、骨髄の低形成(脂肪髄)が診断の鍵になります。
| 読み方 | さいせいふりょうせいひんけつ(aplastic anemia) |
|---|---|
| 分類 | 造血障害による汎血球減少症 |
| 病態 | 骨髄の造血機能低下 → 赤血球・白血球・血小板がすべて減少 |
| 原因 | 先天性(ファンコニー貧血)/後天性(特発性・二次性) |
| 頻度 | 比較的まれ。年間発症率は10万人あたり約0.5人 |
| 主な症状 | 貧血症状・易感染(発熱)・出血傾向の3系統 |
| 主な検査所見 | 末梢血で汎血球減少、骨髄は低形成・脂肪髄、血清鉄↑・フェリチン↑ |
| 治療 | 造血幹細胞移植・免疫抑制療法・支持療法(成分輸血・抗菌薬) |
| 予後 | 軽症〜中等症は比較的良好、重症例は予後不良のことも |
再生不良性貧血は、骨髄での血液をつくる力(造血機能)が低下し、血液の3成分がすべて減ってしまう病気です。正常な骨髄では赤血球・白血球・血小板がしっかり産生されますが、再生不良性貧血では骨髄の造血機能が低下し、次の3つがすべて減少します。
このように3系統がまとめて減る状態を汎血球減少(pancytopenia)と呼び、再生不良性貧血の最大の特徴です。
再生不良性貧血の原因は大きく先天性と後天性に分けられます。臨床で多いのは後天性で、その中でも原因不明の特発性が中心です。
後天性(二次性)の代表的な誘因は次の3つで、いずれも造血幹細胞に異常を起こして造血を障害します。
再生不良性貧血は比較的まれな病気で、年間発症率は10万人あたり約0.5人とされます。頻度は低いものの、重症例では命に関わることもあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
減る血液成分に対応して、症状も3系統に整理して覚えます。
①赤血球減少 → 貧血症状:赤血球が減ると酸素運搬が低下し、顔面蒼白・息切れ・動悸・めまい・立ちくらみ・易疲労感が現れます。頭痛・頭重感・微熱を伴うこともあります。
②白血球減少 → 感染症:感染しやすくなり、発熱・のどの痛み、気道感染・尿路感染などを起こします。
③血小板減少 → 出血傾向:皮膚・粘膜から出血しやすく、あざ・鼻血・歯ぐきからの出血などがみられます。
| 系統 | 減る成分 | 主な症状 |
|---|---|---|
| 貧血症状 | 赤血球↓ | 顔面蒼白・息切れ・動悸・めまい・立ちくらみ・易疲労感(頭痛・微熱も) |
| 感染症 | 白血球↓ | 発熱・のどの痛み、気道感染・尿路感染(易感染) |
| 出血傾向 | 血小板↓ | あざ・鼻血・歯ぐきの出血、皮膚・粘膜からの出血 |
診断は血液検査と骨髄検査を組み合わせて行います。
あわせて、貧血・発熱・出血傾向という3系統の臨床所見を確認することが診断のカギになります。
再生不良性貧血では造血が低下して赤血球への鉄の利用が減るため、血清(血液)中の鉄関連指標が特徴的に変化します。鉄の利用障害と造血低下を反映する所見として国試で問われます。
ポイントは、造血が落ちて鉄が使われないため血清鉄・フェリチンが上昇し、鉄を運ぶ余力を示す不飽和鉄結合能は低下すること。造血を促そうとエリスロポエチンは上昇します。鉄代謝検査では血漿鉄消失時間が延長し、赤血球鉄利用率は低下します。
| 検査項目 | 変化 |
|---|---|
| 血清鉄 | ↑ 上昇 |
| 不飽和鉄結合能(UIBC) | ↓ 低下 |
| フェリチン | ↑ 上昇 |
| エリスロポエチン | ↑ 上昇 |
| 血漿鉄消失時間 | 延長 |
| 赤血球鉄利用率 | ↓ 低下 |
治療は重症度に応じて選択されます。
予後は重症度で異なり、軽症・中等症では比較的良好ですが、重症例では予後不良となることもあります。治療法は進歩しています。