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小児疾患のリハビリテーション(対象疾患・進行性筋ジストロフィー・二分脊椎・小児切断)しょうにしっかんのりはびりてーしょん

小児疾患のリハビリテーションは、成人と違い「成長・発達」を前提に進めるのが最大の特徴です。国試では進行性筋ジストロフィーが小児で最も頻度の高い代表疾患であること、二分脊椎は両下肢麻痺・下肢変形・膀胱直腸障害を合併すること、小児切断では乳幼児期の早期義肢装着が必要であることが繰り返し問われます。ここでは10枚のスライドの内容を、対象疾患・病態・時期別プログラム・目標の順に整理します。

小児疾患のリハビリテーション|小児疾患のリハビリテーション 1
読み方しょうにしっかんのりはびりてーしょん
対象未熟児・新生児、脳性麻痺、進行性筋ジストロフィー、二分脊椎、小児切断、側弯症、若年性関節リウマチ、血友病、外傷、先天異常、発達障害など
代表疾患進行性筋ジストロフィー(筋ジストロフィーのなかで最も頻度が高い代表疾患)
障害の特徴遺伝性・進行性の筋力低下、両下肢麻痺や変形、膀胱直腸障害、発達の遅れなど疾患により多様
リハの進め方年齢・病期に応じて個別に調整(乳児期=姿勢と運動の基礎づくり→幼児期=歩行・生活動作→学童期=学習と運動機能→思春期以降=社会参加・自立)
主な目標合併症の予防と残存機能の維持、機能面だけでなく生きがいのある生活(QOL)の支援
注意点進行性疾患では療育が難しく、進行を見据えた無理のない支援計画と定期的な見直しが必要
国試での狙われ方筋ジストロフィーの型と特徴、最頻の代表疾患、二分脊椎の合併症3つ、小児切断の早期義肢装着、小児リハの対象疾患の広さ

筋ジストロフィーには多くの型がある

筋ジストロフィーは単一の病気ではなく、多くの「型」の総称です。型によって発症時期・進行の速さ・障害される筋の分布・予後が異なるため、リハビリテーションも病態に合わせた理解のうえで組み立てます。

国試では「型ごとの症状の出はじめる部位」と「進行の速さの違い」が対比で問われます。進行が早い=デュシェンヌ型/歩行が長く保たれる=ベッカー型という対比は必ず押さえましょう。

障害されやすい部位進行・歩行の特徴
デュシェンヌ型全身(早期から広範)進行が早く筋力低下が全身に広がる
ベッカー型下肢・体幹中心進行がゆるやかで比較的長く歩行可能
肢帯型肩甲帯・骨盤帯(肢帯)肩や骨盤の筋が中心に弱くなる
顔面肩甲上腕型顔面・肩甲帯・上腕顔や肩の筋から症状が出やすい
先天性型全身(出生時から)生まれつき筋力が弱く発達の遅れを伴うことも
筋ジストロフィーの主な型と特徴(デュシェンヌ型・ベッカー型・肢帯型・顔面肩甲上腕型・先天性型)
筋ジストロフィーの主な型と特徴(デュシェンヌ型・ベッカー型・肢帯型・顔面肩甲上腕型・先天性型)

最も頻度が高い代表疾患=進行性筋ジストロフィー

数ある筋ジストロフィーのなかで、小児リハビリテーションで最も頻度が高く代表的なのが進行性筋ジストロフィーです。国試で「小児の代表的な筋疾患は?」と問われたら、まずこれを想起します。

進行性筋ジストロフィーは遺伝性かつ進行性の筋疾患で、時間の経過とともに筋力低下が進みます。歩行が不安定になり、やがて平行棒や杖、車椅子が必要になるという経過をたどるため、「治す」リハではなく「長期にわたって支える」リハが基本方針になります。

進行性筋ジストロフィーは遺伝性かつ進行性の筋疾患。長期的な支援がポイント
進行性筋ジストロフィーは遺伝性かつ進行性の筋疾患。長期的な支援がポイント

進行性ゆえに療育が難しい ― 見通しをもった支援の4ステップ

進行性の疾患では、今できていることが将来も続くとは限りません。そのため療育(発達を促す支援)が難しいという特徴があります。病気の進行を見据えながら、本人・家族と一緒に無理のない支援を組み立てる必要があります。

スライドでは、見通しをもった支援のポイントが4段階で示されています。「立てて終わり」ではなく定期的に見直すという点が実践上も国試上も重要です。

ステップ内容ねらい
① 現在の状態を把握筋力・関節可動域・ADL・呼吸機能などを評価出発点を正確につかむ
② 目標を一緒に設定本人・家族と話し合って目標を共有納得できる目標にする
③ 無理のない計画を立てる進行を見越し過負荷を避けた内容にする疲労や機能低下の助長を防ぐ
④ 定期的に見直す経過に合わせて目標・内容を修正進行に取り残されない支援にする
進行性であるため療育が難しい。進行を見据えた無理のない支援が必要
進行性であるため療育が難しい。進行を見据えた無理のない支援が必要

年齢・病期に応じた時期別リハビリテーション

小児は成長・発達の途上にあるため、同じ疾患でも年齢によってリハビリテーションの目標が変わります。個別性のある対応が原則です。

時期リハビリテーションの主目標具体的な内容の例
乳児期姿勢・運動の基礎づくり抗重力姿勢の獲得、頸定・寝返り・座位の支援、遊びを通した感覚運動経験
幼児期歩行・生活動作の習得立位歩行の練習、食事・更衣などの基本的ADL、装具の導入
学童期学習・運動機能の向上就学支援、机上動作・書字、体力維持、学校生活への適応
思春期以降社会参加・自立を支援車椅子操作や移動手段の確立、進路・就労支援、自己管理能力の育成
乳児期→幼児期→学童期→思春期以降、年齢や病期に応じてリハを調整する
乳児期→幼児期→学童期→思春期以降、年齢や病期に応じてリハを調整する

二分脊椎では脊髄障害を合併することがある

二分脊椎は脊椎の後方要素の癒合不全により、脊髄や神経組織が背側へ突出しうる先天異常です。脊髄障害を合併すると、障害高位より下位に神経症状が出現します。

国試では合併しうる3つの障害がセットで問われます。

リハビリテーションでは装具を用いた立位・歩行練習、関節拘縮と変形の予防、褥瘡予防、排泄自立の支援が柱になります。

合併する障害内容リハ・管理のポイント
両下肢麻痺障害高位以下の運動・感覚麻痺(対麻痺)装具による立位・歩行練習、車椅子操作の獲得
下肢の変形内反足、股関節脱臼、膝・足部変形などROM訓練・ポジショニングで拘縮と変形を予防
膀胱直腸障害排尿・排便障害、尿路感染のリスク排泄管理(導尿等)の指導、感染予防
二分脊椎では両下肢麻痺・下肢変形・膀胱直腸障害がみられることがある
二分脊椎では両下肢麻痺・下肢変形・膀胱直腸障害がみられることがある

小児切断では早期の義肢装着が必要

小児の切断(先天性の肢欠損を含む)では、乳幼児期の早い段階から義肢を装着することが原則です。理由は、義肢を身体の一部として受け入れ(ボディイメージの形成)、発達の節目に合わせて動作を獲得させるためです。

装着が遅れると義肢を受け入れにくくなり、断端の使用習慣や代償動作が固定してしまう点も押さえておきましょう。

小児切断では乳幼児期の早期義肢装着が発達と日常生活を支える
小児切断では乳幼児期の早期義肢装着が発達と日常生活を支える

目標は「合併症の予防と機能維持」、そして「生きがいのある生活」

進行性疾患を中心とする小児リハビリテーションでは、治癒ではなく合併症の予防と残存機能の維持が重要な目標になります。

同時に、リハビリテーションは機能面だけを見るものではありません。家族のサポート、学校生活・学び、遊びや友達との関わり、好きなこと・趣味を含め、子どもが生きがいのある生活を送れるよう支えること=QOLの向上が最終的な目的です。

そして小児リハの対象は非常に幅広く、未熟児・新生児(NICUでのケアと発達支援)、側弯症、若年性関節リウマチ、血友病、外傷、先天異常、発達障害など多様な疾患に及びます。

対象リハビリテーションの主な関わり
未熟児・新生児NICUでのケア、ポジショニング、発達支援
側弯症姿勢の評価、運動療法、装具療法
若年性関節リウマチ関節の痛みと可動域のサポート、変形予防
血友病出血予防を前提とした運動指導、関節症の予防
外傷骨折やケガからの回復支援
先天異常早期からの支援で生活の質を向上
発達障害発達段階に合わせた支援の提供
小児リハビリテーションの対象は未熟児から発達障害まで幅広い
小児リハビリテーションの対象は未熟児から発達障害まで幅広い
国試ポイント
① 筋ジストロフィーのうち小児で最も頻度が高い代表疾患は【進行性筋ジストロフィー】。遺伝性かつ進行性の筋疾患である。
② デュシェンヌ型=進行が早く筋力低下が全身に広がる/ベッカー型=進行がゆるやかで比較的長く歩行可能。この対比が引っかけの定番。
③ 肢帯型=肩・骨盤(肢帯)中心、顔面肩甲上腕型=顔や肩から。障害部位で型を見分ける問題に注意。
④ 二分脊椎の合併=【両下肢麻痺・下肢の変形・膀胱直腸障害】の3点セット。膀胱直腸障害を落とさないこと。
⑤ 小児切断では乳幼児期の早い段階からの義肢装着が原則。成長に伴う定期的な作り替えが必要。
⑥ 進行性疾患では治癒ではなく【合併症の予防+残存機能の維持】が目標。過負荷の筋力増強訓練は避け、無理のない計画を定期的に見直す。
・ リハの内容は年齢で変わる(乳児期=姿勢・運動の基礎/幼児期=歩行・生活動作/学童期=学習・運動機能/思春期以降=社会参加・自立)。
・ 小児リハの対象は未熟児・新生児、側弯症、若年性関節リウマチ、血友病、外傷、先天異常、発達障害など幅広い。
📖 小児疾患のリハビリテーションをスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習