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小児リハビリテーションと療育(特徴・脳性麻痺・早期発見と支援)しょうにりはびりてーしょんとりょういく

小児リハビリテーションは、成人のリハビリとは根本的に発想が異なります。子どもは運動・知能・社会性が発達の途中にあり、同じ疾患でも大人とは違う障害(骨の変形・成長障害・発達の遅れ)を生じるからです。そして国試で最も問われるのが療育=治療(医療)+教育を一体で行うことという定義。脳の可塑性を活かすため、早期発見・早期治療が望ましいという流れで押さえましょう。

小児リハビリテーションと療育|小児リハビリテーションと療育 1
読み方しょうにりはびりてーしょんとりょういく
基本原則小児は「小さな大人」ではない(運動・知能・社会性が発達の途中)
成人との違い同じ疾患でも小児は骨の変形・成長障害・運動/認知発達への影響・学業や社会参加への影響が生じる
代表疾患脳性麻痺、脳損傷児、二分脊椎、筋ジストロフィー、発達障害など
脳損傷児の症状運動障害・知的障害・けいれん(てんかん)・行動異常など多方面に及ぶ
治療の要点脳の可塑性を活かし早期発見・早期治療。正しい治療は異常な発達(異常運動パターン)を抑える可能性がある
療育の定義治療(身体機能の改善・回復)+教育(学び・社会性・自立)を一体で考えること
最終目標将来の自立と社会参加、生活・発達・学びを一体で支える

小児は「小さな大人」ではない ― 小児リハの大原則

小児リハビリテーションの出発点は、子どもは成人を縮小した存在ではないという認識です。子どもは運動・知能・社会性のすべてが日々発達している最中にあり、リハビリの目的も「元の機能に戻す(回復)」ではなく、これから伸びる機能を育てる(発達促進)」という点が成人リハとの決定的な違いです。

したがって評価も「今できるか」だけでなく、年齢相応の発達段階に達しているかという視点(発達評価)が必須になります。

小児は「小さな大人」ではない。運動・知能・社会性が発達の途中にある
小児は「小さな大人」ではない。運動・知能・社会性が発達の途中にある

小児期の疾患は大人と異なる障害を生じる

同じ病名でも、成長途中で障害が起こる小児では影響の出方が根本的に異なります。成人が「今ある機能の喪失」で困るのに対し、小児は「これから獲得するはずの機能が獲得できない」ことが問題になります。

子ども(小児期)大人(成人期)
身体面骨の変形・成長(発育)障害関節の痛み・可動域制限
機能面運動・認知の発達そのものへの影響筋力低下・体力低下
生活面学業・社会参加への影響仕事・生活への影響
リハの主眼発達の促進・二次的変形の予防失われた機能の回復・代償
同じ病気でも子どもと大人では結果が異なる
同じ病気でも子どもと大人では結果が異なる

成長に伴って変形・発育障害が起こりやすい

小児は骨端線(成長軟骨)が開いており、筋緊張の異常や不良姿勢が長期間続くと、成長そのものが変形の方向に進んでしまいます。乳児期→幼児期→学童期→思春期と体型・姿勢は大きく変化するため、時期ごとの継続的なチェックが欠かせません。

成長曲線(±2SD)から外れていないかの確認も、小児の評価では重要な指標です。思春期の急激な成長期は変形が最も進行しやすい要注意期間と覚えましょう。

成長曲線と、乳児期~思春期の姿勢変化。早期対応が重要
成長曲線と、乳児期~思春期の姿勢変化。早期対応が重要

脳損傷児では多様な症状がみられる

小児の脳損傷は運動障害だけにとどまりません。脳が未分化な時期に損傷を受けるため、症状は多方面に及びます。国試では「運動障害のみ」という選択肢が誤りとなる典型的な引っかけです。

症状内容リハ上の対応
運動障害麻痺・筋緊張異常・姿勢保持困難、車椅子や装具が必要運動療法・装具療法・姿勢管理
知的障害認知・学習・概念形成の遅れ発達段階に合わせた課題設定
けいれん(てんかん)発作の合併が多い発作時の対応・服薬状況の把握
行動異常多動・自傷・情緒不安定・こだわり環境調整・行動面への支援
その他言語・摂食嚥下・視聴覚障害の合併ST・栄養・多職種連携
脳損傷児では運動障害・知的障害・けいれん・行動異常が多方面に及ぶ
脳損傷児では運動障害・知的障害・けいれん・行動異常が多方面に及ぶ

脳性麻痺 ― 運動と知能発達の両面をみる

脳性麻痺は小児リハの代表疾患で、受胎から新生児期(生後4週以内)までに生じた非進行性の脳病変による、永続的だが変化しうる運動および姿勢の異常と定義されます。運動機能だけでなく知能発達の面にも広い障害が及ぶため、「動く力を育てる」と「考える力を育てる」の両方への支援が必要です。

脳性麻痺は運動機能と知能発達の両面に支援が必要
脳性麻痺は運動機能と知能発達の両面に支援が必要

脳の可塑性と早期発見・早期治療

小児リハビリテーションが早期に開始される最大の根拠が脳の可塑性(plasticity)です。小児の脳は損傷を受けても、残存部位が機能を肩代わりするなど柔軟に変化する力を持ち、成人より高い改善が期待できます。

そのため正しい治療を早期から行えば、異常な発達(異常運動パターンの固定)を抑えられる可能性があります。逆に治療が遅れたり不適切な対応が続くと、運動機能の遅れ・コミュニケーション困難・二次的な変形・将来のQOL低下につながります。

早期からの正しい治療は異常な発達を抑える可能性がある
早期からの正しい治療は異常な発達を抑える可能性がある

療育とは ― 治療+教育を一体で考えること

療育とは、身体機能の改善・回復を目指す治療(医療)と、学び・社会性・自立を育てる教育を、切り離さず一体のものとして行う取り組みです。日本では高木憲次が提唱した概念として知られます。訓練室だけで完結せず、生活・発達・学びを同時に支える点が特徴です。

構成要素具体的な内容
治療(医療)運動機能の向上、姿勢・動作の改善、日常生活動作の支援、装具療法、変形予防
教育学ぶ力の育成、コミュニケーション、社会性の発達、就学支援
生活日常生活を安心して送れるようにする(家庭・施設の環境調整)
発達心と体の成長を段階に応じて支える
学び学ぶ楽しさを引き出し、意欲を育てる
最終目標その子らしく育つ力を伸ばし、将来の自立・社会参加につなげる
治療+教育=療育。治療と教育を切り離さない
治療+教育=療育。治療と教育を切り離さない
国試ポイント
① 「小児は小さな大人ではない」=発達途上であることが小児リハの大前提。成人リハの目的が『回復』なのに対し小児は『発達促進』
② 療育=治療(医療)+教育を一体で行うこと。片方だけでは療育とは言わない(定義問題の頻出)
③ 脳性麻痺は受胎~新生児期の非進行性脳病変による運動・姿勢の異常。『病変は非進行性だが二次的変形は進行する』が引っかけポイント
④ 脳損傷児の症状は運動障害だけでなく知的障害・けいれん(てんかん)・行動異常など多方面に及ぶ
⑤ 早期発見・早期治療が望ましい根拠は脳の可塑性(年齢が低いほど高い)。正しい治療は異常な発達を抑えうる
⑥ 成長に伴い股関節脱臼・脊柱側弯・関節拘縮が進行しやすく、特に思春期の成長スパートは要注意
・ 小児では成長曲線(±2SD)や発達段階との比較という、成人にはない評価視点が必要
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