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社会復帰期リハビリテーション(車椅子・ADL訓練・家屋改造・職業復帰)しゃかいふっききりはびりてーしょん

社会復帰期リハビリテーションとは、機能回復がある程度落ち着いた後に病院外の実生活へ戻ることを目標として行うリハビリテーションです。自宅生活・移動・就労・就学の4本柱を、車椅子や自助具などの補装具、家屋改造、職業リハビリテーションで支えます。国試では脊髄損傷の残存レベルと車椅子の種類の対応(第5頸髄損傷までは電動、第6頸髄残存で手動可)が最頻出です。

社会復帰期リハビリテーション|社会復帰期リハビリテーション 1
読み方しゃかいふっききりはびりてーしょん
位置づけ急性期→回復期に続く最終段階。機能回復より生活の再建・社会参加が主目的
目標自宅生活・移動・就労(就学)の再獲得=病院外の実生活に戻ること
主な対象脊髄損傷、脳血管障害後遺症など、障害が固定し在宅復帰を目指す者
主な手段車椅子など補装具の選定、ADL訓練、自助具、家屋改造、自動車改造、職業リハビリテーション
残存機能の目安第5頸髄(C5)損傷までは電動車椅子が必要なことが多い/第6頸髄(C6)残存では工夫により手動車椅子で移動可能
フォロー少なくとも数か月に1回は医学的チェック(尿路系異常・褥瘡の早期発見)
国試での狙われ方残存レベルと車椅子の種類、自助具(万能カフ)の適応、家屋改造の内容、合併症の定期チェック

社会復帰期リハビリテーションの目的

社会復帰期は、急性期(廃用予防・全身管理)、回復期(機能訓練・ADL訓練)に続く段階で、「治す」から「生活を組み立て直す」へ視点が移る時期です。訓練室での動作が自立しても、実生活の場(自宅・通勤経路・職場・学校)で使えなければ意味がないため、環境側への働きかけが大きな比重を占めます。

目標は「病院外の実生活に戻ること」であり、本人・家族・多職種・地域資源が連携して進めます。

社会復帰期のリハビリは、自宅生活・移動・就労・就学を支え生活再建を目指す
社会復帰期のリハビリは、自宅生活・移動・就労・就学を支え生活再建を目指す

脊髄損傷の残存レベルと車椅子の選択【最頻出】

車椅子は「障害があるから使うもの」ではなく、残存する上肢機能に応じて種類を決めるものです。国試ではこの対応関係がそのまま問われます。

第5頸髄(C5)レベルまでの損傷では、手指・手関節の機能がほぼ失われハンドリムを駆動できないため電動車椅子が必要になることが多くなります。一方、第6頸髄(C6)が残存すると長橈側手根伸筋による手関節背屈が可能となり、テノデーシス(腱固定作用)による把持と、ハンドリムに滑り止めを付ける工夫で、主に平坦な場所であれば手動車椅子での自力移動が可能になります。

対麻痺(胸髄以下)では上肢が完全に使えるため、軽量でスポーツタイプの車椅子が適します。軽量車椅子は車への積み込みも容易で、行動範囲が大きく広がります。

レベル・病態適した車椅子ポイント
第5頸髄(C5)損傷まで電動車椅子手指・手関節が使えずハンドリム駆動が困難。電動が必要なことが多い
第6頸髄(C6)残存手動車椅子(工夫を要する)手関節背屈が可能。ハンドリムに滑り止めを付けると自力移動しやすい。主に平坦な場所向き
対麻痺(胸髄以下)軽量・スポーツタイプ上肢が完全に使える。軽量で操作しやすく、車への積み込みも容易で行動範囲が広がる
C5までは電動車椅子、C6残存では工夫により手動車椅子も可能
C5までは電動車椅子、C6残存では工夫により手動車椅子も可能

ADL訓練と自助具の活用

社会復帰期のADL訓練は、机上の練習ではなく実用的・実生活的に行うのが原則です。更衣動作では、椅子座位での上半身の更衣(袖通し・ボタン留め)と、座位・臥位を利用したズボンの着脱を段階的に練習します。更衣は毎日必ず行う動作であり、生活の自立に直結する重要な訓練項目です。

残存機能だけでは届かない動作は、自助具で補います。代表が万能カフ(ユニバーサルカフ)で、手指の把持ができない頸髄損傷者でも手掌部にスプーンやフォークを差し込んで固定でき、自力摂食が可能になります。自助具の考え方は「できない動作を諦める」のではなく、残存機能を活かしてできる動作を増やすことにあります。

自助具の例補う動作主な対象
万能カフ(ユニバーサルカフ)スプーン・フォーク操作、歯ブラシ保持把持困難な頸髄損傷(C5〜C6)
太柄・曲がりスプーン、フォーク食事動作握力低下・ROM制限
両手付きコップ(ホルダー付)飲水動作把持力低下・振戦
リーチャー、ソックスエイド更衣・靴下着脱、遠位の物の取得体幹前屈が困難な対麻痺・股関節術後
ボタンエイド、長柄ブラシボタン留め、整容手指巧緻性低下
万能カフでスプーン操作などを補い、残存機能を活かしてできる動作を増やす
万能カフでスプーン操作などを補い、残存機能を活かしてできる動作を増やす

移動手段の拡大 ― 自動車運転と外出

移動能力の拡大は社会参加そのものに直結します。下肢が使えなくても、アクセル・ブレーキを手で操作する手動運転装置や旋回ノブなどの改造により、上肢だけで運転できるようになります。

「行ける場所が増える」ことが、就労・就学・余暇といったすべての社会参加の前提になります。

上肢だけで運転できるよう車を改造する。移動手段の獲得は心理面・職業面でも大きい
上肢だけで運転できるよう車を改造する。移動手段の獲得は心理面・職業面でも大きい

家屋改造と就労・就学支援

在宅生活の可否は、本人の能力だけでなく住環境で決まります。家屋改造は「生活動作に合わせて」行うのが原則で、実際の動作を評価したうえで必要箇所を選定し、公的な住宅改修の支援制度も活用します。

就労・就学の面では、一般就労が難しい場合に職業訓練所や保護(授産)職場の活用を検討します。学校復帰では、多目的トイレや階段・段差といった校内環境の整備が復学の鍵になります。

場面主な改造・整備目的
玄関・屋外スロープ設置、段差解消、手すり車椅子での出入り・転倒予防
廊下・室内段差解消、引き戸への変更、廊下幅の確保車椅子・歩行器の通行
階段手すり設置、段差の明示、昇降機転倒・転落の予防
浴室手すり、シャワーチェア、すのこ、床の滑り止め移乗と入浴動作の自立、転倒予防
トイレ洋式化、手すり、スペース拡大、呼び出しボタン排泄の自立・介助量の軽減
学校・職場多目的トイレ、エレベーター、作業台の高さ調整就学・就労の継続
段差・階段・風呂・トイレの問題を改善し、生活動作に合わせた改造と支援活用が大切
段差・階段・風呂・トイレの問題を改善し、生活動作に合わせた改造と支援活用が大切

合併症の予防と定期健診

社会復帰後も医学的管理は続きます。脊髄損傷では感覚障害があるため、本人が異常に気づきにくい合併症が起こりやすいのが特徴です。

そのため、少なくとも数か月に1回は医学的チェックを受けることが原則とされます。早期発見・早期対応が、せっかく築いた社会生活を守ることにつながります。

尿路系異常や褥瘡は本人が気づきにくいため、数か月に1回は医学的チェックを受ける
尿路系異常や褥瘡は本人が気づきにくいため、数か月に1回は医学的チェックを受ける
国試ポイント
① 第5頸髄(C5)損傷までは電動車椅子が必要なことが多い ― 最頻出の数字。「C5=電動」で覚える
② 第6頸髄(C6)残存では手関節背屈が可能となり、ハンドリムの滑り止めなど工夫で手動車椅子での移動が可能。ただし主に平坦な場所向き
③ 対麻痺(胸髄以下)は上肢が完全に使えるため、軽量・スポーツタイプの車椅子が適する。車への積み込みも容易
④ 万能カフ(ユニバーサルカフ)は把持できない頸髄損傷者のスプーン操作などを補う代表的自助具
⑤ 更衣動作訓練は上半身の更衣とズボンの着脱を実用的に練習する。生活の自立に直結するADL訓練
⑥ 自動車運転は上肢だけで運転できるよう改造して行い、心理面・職業面でも社会参加を大きく広げる
・ 合併症は少なくとも数か月に1回チェック。尿路系異常と褥瘡は感覚障害のため本人が気づきにくいのが引っかけポイント
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