理学療法(PT)は、運動や物理的刺激(熱・光・電気・寒冷・水)を利用して身体機能を改善する治療法で、運動療法と物理療法が2本柱です。評価→計画→治療→再評価のサイクルで進め、最終目標はADLの向上と自立した生活の実現。国試では筋力増強の負荷設定(高負荷・低回数)、MMTに応じた運動方法の選択、神経筋促通法の4手技、温熱療法の禁忌が繰り返し狙われます。
| 読み方 | りがくりょうほう(PT:Physical Therapy) |
|---|---|
| 定義 | 運動や物理的刺激を利用して身体機能を改善する治療法 |
| 2本柱 | 運動療法(筋力訓練・ROM訓練・ストレッチ・バランス訓練・歩行訓練)/物理療法(温熱・寒冷・電気・光線・超音波・牽引・水治) |
| 目的 | 移動能力の向上・ADLの改善・疼痛の軽減・機能回復 |
| 進め方 | 評価 → 計画(目標設定・個別プログラム)→ 治療 → 再評価 |
| 運動療法の効果 | 関節可動域改善・筋力向上・協調性向上・肺活量増加・最大酸素摂取量増加・糖代謝改善・脂質代謝改善 |
| 主な対象 | 脳卒中後遺症、整形外科疾患(骨折・関節疾患)、生活習慣病の予防改善、フレイル・ロコモ予防 |
| 最終目標 | ADLの向上とQOLの向上(その人らしい生活の実現) |
理学療法(PT)は、運動や物理的刺激を利用して身体機能を改善する治療法です。大きく運動療法と物理療法に分かれ、両者を組み合わせて実施します。
実施は評価 → 計画 → 治療 → 再評価のサイクルで進めます。身体機能や動作能力を評価し、目標を設定して個別の治療プログラムを作成、運動療法と物理療法を組み合わせて実施し、効果を確認して必要に応じて見直します。
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 移動能力の向上 | 歩行やバランスなど、移動能力を向上させる |
| ADL(日常生活動作)の改善 | 食事・更衣・入浴など、自立した生活をサポート |
| 痛みの軽減 | 運動や物理療法で痛みをやわらげる |
| 機能回復 | 筋力・関節可動域・持久力などを回復 |
運動療法により全身のさまざまな機能が向上します。主な効果は①関節可動域改善 ②筋力向上 ③協調性向上 ④肺活量増加 ⑤最大酸素摂取量(VO2max)増加 ⑥糖代謝改善 ⑦脂質代謝改善の7つ。健康寿命の延伸とQOL向上につながります。
関節可動域訓練(ROM訓練)の目的は拘縮の予防と関節可動域の維持・拡大です。ほかに疼痛軽減、血行促進・むくみ予防、ADL向上も期待できます。長期の固定・安静は拘縮の原因となるため、早期からの実施が重要です。
| ROM訓練の種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 自動運動(自力運動) | 自分の力で関節を動かす運動 | 関節の曲げ伸ばし、上げ下げ運動、回旋運動 |
| 自動介助運動(自動補助運動) | 自分の力を使いながら、介助者の補助で行う運動 | 腕を上げる、足を曲げる、体をひねる |
| 他動運動(受動運動) | 介助者が患者の関節を動かす運動 | 関節の屈伸、外転・内転、回旋運動 |
筋力向上には高負荷・低回数(High resistance Low repetition)が原則です。高い負荷をかけることで筋線維が刺激され、少ない回数で大きな効果が得られます。
一方、筋持久力を高めたい場合は逆に低負荷・高回数(最大筋力の約30〜50%の負荷で15〜30回を1〜3セット)が基本です。国試ではこの対比が頻出します。
注意点として、痛みや強い疲労がある場合は中止、呼吸を止めない(効果が下がり危険)、急激に負荷を上げない、正しいフォームを維持することが挙げられます。
| 収縮様式 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 等張性運動(アイソトニック) | 筋の長さが変化しながら力を発揮する運動 | ダンベルカール(上腕二頭筋) |
| 等尺性運動(アイソメトリック) | 筋の長さを変えずに力を発揮する運動 | 壁押し運動(関節に動きがなくても筋力を高められる) |
| 求心性収縮(コンセントリック) | 筋が短くなりながら力を発揮する運動 | 椅子からの立ち上がり |
| 遠心性収縮(エキセントリック) | 筋が伸ばされながら力を発揮する運動 | 椅子へゆっくり座る動作(筋力・筋肥大に効果的) |
筋力レベルに応じて、最も効果的で安全な運動を選択します。MMTの段階と運動方法の組み合わせは国試最頻出です。
| MMT | 判定基準 |
|---|---|
| 0(Zero) | 収縮なし |
| 1(Trace) | わずかな筋収縮を触知できる |
| 2(Poor) | 重力を除くと動かせる |
| 3(Fair) | 重力に抗して動かせる |
| 4(Good) | ある程度抵抗に抗して動かせる |
| 5(Normal) | 最大の抵抗に抗して動かせる |
目的に応じて訓練を使い分けます。協調性訓練では、失調症や小脳障害に有効なフレンケル体操が代表的で、視覚を使ってゆっくり・正確に行うのがポイントです(上肢の運動・下肢の運動・体幹の運動・総合運動)。
神経筋促通法は神経や筋の働きを高め、随意的な運動を誘発・改善する治療法で、脳卒中後の運動機能改善に広く用いられます。
| 手技 | 正式名称・和名 | 特徴 |
|---|---|---|
| PNF法 | 固有受容性神経筋促通法 | 斜めや回旋などのパターン運動を利用。抵抗・伸張刺激・リズムで神経筋を促通(リズミック・イニシエーション、ホールド・リラックスなど) |
| ボバース法 | Bobath Concept | 正常運動の再学習を目指す。抑制手技で異常な筋緊張や反射を調整 |
| ブルンストローム法 | Brunnstrom Approach | 運動の回復を6つのステージに分類。共同運動パターンの改善から分離運動の獲得へ |
| ルード法 | Rood Approach | 感覚刺激(触圧・振動・氷刺激)で随意運動を促す。起始・停止部への刺激が効果的 |
| 筋持久力訓練 | ― | 低負荷・高回数が基本(最大筋力の約30〜50%で15〜30回×1〜3セット) |
| リラクゼーション訓練 | ― | 深呼吸法・腹式呼吸、ストレッチ、温熱療法などで痙縮・筋緊張を軽減 |
理学療法の中心はADL訓練と歩行訓練です。基本動作訓練は①寝返り(体位変換の自立・褥瘡予防)→②起き上がり(ベッド上動作の自立)→③立ち上がり(移動の開始・転倒予防)→④歩行(歩行能力の向上・自立)と段階的に進めます。歩行訓練の補助具は、平行棒(安全に反復練習)、歩行器(バランスをサポート)、T字杖(片麻痺や軽度の方)、松葉杖(患肢に体重をかけにくい時期)を状態に応じて選択します。
物理療法は熱・光・電気・寒冷・水などの物理的エネルギーを利用し、疼痛軽減・血流改善・筋緊張緩和・筋収縮促通の効果があります。TENS(経皮的電気神経刺激)はゲートコントロール理論に基づき疼痛緩和に有効、FES(機能的電気刺激)は麻痺筋の収縮を促し機能回復を図ります。
実施前には必ず禁忌を確認します。
| 物理療法 | 主な方法 | 主な用途・禁忌 |
|---|---|---|
| 温熱療法 | ホットパック、パラフィン浴、超短波(マイクロ波) | 疼痛緩和・血流改善・筋緊張軽減・ROM改善/禁忌:急性炎症・悪性腫瘍・出血傾向・知覚障害・循環障害 |
| 光線療法 | 赤外線、低出力レーザー、紫外線(PUVA) | 疼痛緩和・炎症軽減・創傷治癒促進 |
| 電気刺激療法 | TENS、FES、ENS | 疼痛軽減・筋収縮促通・筋力維持向上・浮腫軽減/禁忌:ペースメーカー装着 |
| 寒冷療法 | アイスパック、アイスマッサージ、冷水浸漬 | 急性期の炎症・腫脹の軽減、疼痛軽減 |
| 水治療法 | 渦流浴、水中運動療法、ホットタブ | 関節への負担軽減・筋緊張緩和・循環改善・ADL向上 |
| 主な機器 | 重錘、滑車、平行棒、歩行補助具、マット、トレッドミル | 滑車は軽い力で大きな負荷、平行棒は歩行・立位バランス訓練に使用 |