心疾患のリハビリテーション(心臓リハビリ)は、運動療法を中心に運動耐容能(最大酸素摂取量)を改善し、ADL・QOLの向上と社会復帰を支える包括的プログラムです。国試では適応疾患・絶対禁忌・NYHA分類・運動強度の単位(METs/WATTS)が頻出。とくに「不安定狭心症・急性心筋梗塞・重篤な不整脈・大動脈解離では運動療法を行わない」という絶対禁忌は最重要ポイントです。
| 読み方 | しんしっかんのりはびりてーしょん(心臓リハビリテーション) |
|---|---|
| 目的 | 運動耐容能の改善、ADL・QOL向上、社会復帰の支援、再発・再入院の予防 |
| 主な適応 | 心筋梗塞、狭心症、心不全、冠動脈バイパス術(CABG)後、弁膜症手術後、心臓移植後、大血管疾患、末梢動脈疾患(PAD) |
| 生理学的効果 | 最大酸素摂取量(VO2max)の増加、心肺機能向上、血流改善、易疲労性の軽減 |
| 運動強度の指標 | METs(代謝当量/安静時=1MET)、WATTS(仕事率・出力)、Borg指数、心拍数 |
| 重症度分類 | NYHA分類 I〜IV度(I=普通の身体活動で症状なし、IV=安静時にも症状あり) |
| 負荷試験の方法 | トレッドミル、自転車エルゴメータ、マスター2ステップテスト |
| 絶対禁忌 | 不安定狭心症、急性心筋梗塞(急性期)、重篤な不整脈、急性感染症、重症心不全(非代償性)、大動脈解離 |
| リスク管理 | 心電図・脈拍・血圧のモニタリング、胸痛・冷汗・息切れの観察、AEDと緊急連絡体制の整備 |
心疾患のリハビリテーションは、単なる筋力トレーニングではなく運動療法・患者教育・生活習慣改善・心理社会的支援を組み合わせた包括的プログラムです。中心となるのは有酸素運動で、心・循環器系を強化して最大酸素摂取量(VO2max)を増やし、運動耐容能を改善します。
また運動療法は一次予防(心疾患の発症予防)にも有効で、血圧・糖代謝・脂質の改善、体重コントロール、ストレス軽減をもたらします。予防目的では歩行が安全かつ効果的な運動として推奨されます。
国試では「適応か禁忌か」を問う出題が多く、適応疾患のリストと絶対禁忌のリストをセットで覚えるのが得点源です。
絶対禁忌では運動療法を絶対に行いません。急性期を脱し、状態が安定してから開始するのが原則です。「急性心筋梗塞=禁忌」だが「心筋梗塞後(回復期)=適応」という点が典型的な引っかけです。
| 区分 | 該当する状態 |
|---|---|
| 適応疾患 | ①心筋梗塞 ②冠動脈バイパス術(CABG)後 ③弁膜症手術後 ④心不全(安定期) ⑤心臓移植後 ⑥大血管疾患 ⑦末梢動脈疾患(PAD) |
| 絶対禁忌 | ①不安定狭心症 ②急性心筋梗塞(急性期) ③重篤な不整脈 ④急性感染症 ⑤重症(非代償性)心不全 ⑥大動脈解離 |
運動処方の基準となる単位がMETs(メッツ)とWATTS(ワット)です。
これらをもとに、患者ごとに個別性・安全性・目標を考慮して運動を処方します。
| 活動 | おおよその強度 |
|---|---|
| 安静(座位) | 1MET |
| ウォーキング | 3〜5METs |
| 自転車こぎ | 4〜6METs |
| 階段昇降 | 6〜8METs |
| エアロバイク(負荷) | 30〜80WATTS |
NYHA分類は心機能(心不全)の重症度を自覚症状で4段階に分ける代表的な指標です。数値ではなく「どの程度の活動で症状が出るか」で分類する点が国試の狙い目です。
| NYHA分類 | 自覚症状 |
|---|---|
| I度 | 普通の身体活動では症状なし |
| II度 | 軽労作(軽い労作)で症状あり |
| III度 | 軽い日常活動でも症状あり |
| IV度 | 安静時にも症状あり |
運動負荷試験は、実際に運動を行わせながら心電図・血圧・心拍数・SpO2などを測定し、心臓の反応と異常の有無を確認する検査です。結果をもとに安全な運動処方(強度・時間・頻度)を決定します。
目的は「異常の発見」と「運動処方につなげること」の2つ。リスク評価をしてから訓練を始めるという流れを押さえましょう。
心筋梗塞後は、状態を確認しながら段階的に活動レベルを上げていきます。急ぎすぎず、かつ過度の安静による廃用症候群も防ぐのが原則です。
| 段階 | 内容 | ねらい |
|---|---|---|
| ①安静 | ベッド上安静・モニタ管理 | 心臓の負担を減らし梗塞部を保護する |
| ②座位 | 端座位・車椅子座位に慣らす | 起立性低血圧の予防と体調の確認 |
| ③歩行 | 室内歩行から病棟内歩行へ | 体力(運動耐容能)をつける |
| ④日常生活・社会復帰 | ADL拡大・自宅復帰・復職 | 元の生活に戻り、自信を取り戻す |
心疾患のリハビリは安全第一。異常の早期発見が安全なリハビリにつながります。
これらの自覚症状は「運動を中止するサイン」として国試でもよく問われます。