急性期リハビリテーションとは、発症直後の時期からベッドサイドで早期に開始するリハビリテーションのこと。目的は身体機能の回復だけでなく、廃用症候群・拘縮・褥瘡・沈下性肺炎などの合併症予防と在院日数の短縮にあります。国試では麻痺の回復段階、良肢位(不良肢位の予防)、体位変換の間隔、他動的ROM訓練の注意点、早期座位の適応基準が繰り返し狙われます。
| 読み方 | きゅうせいきりはびりてーしょん |
|---|---|
| 開始時期・場所 | 発症直後の急性期から、ベッドサイドで早期に開始する |
| 目的 | 身体機能の回復・合併症(拘縮・褥瘡・沈下性肺炎・廃用)予防・在院日数の短縮 |
| 実施体制 | 医師の指示のもと、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・看護師などの多職種連携 |
| リスク管理 | 意識レベル・血圧・脈拍・呼吸数・心電図・SpO2などのバイタルを監視し、変化を早期に察知 |
| 主な内容 | 良肢位保持(ポジショニング)、2〜3時間ごとの体位変換、他動的ROM訓練、寝返り・座位訓練、ADL支援 |
| 早期座位の目安 | ベッド上座位が30分可能・全身状態・バイタルサイン・検査所見に問題がないこと |
| 国試での狙われ方 | 麻痺の回復段階の順序、良肢位の肢位(角度・方向)、体位変換の間隔、ROM訓練の回数と禁忌 |
急性期リハビリテーションの三原則は①ベッドサイドでの早期開始 ②多職種連携 ③リスク管理です。開始が早いほど回復につながり、合併症を防ぎ在院日数を短縮できます。一方で全身状態が不安定な時期でもあるため、常にバイタルサインを確認しながら「できることからすぐに」進めます。
| 監視項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 意識レベル | 呼びかけへの反応低下・傾眠は中止・報告のサイン |
| 血圧 | 開始前後で著明な変動がないか(起立性低血圧に注意) |
| 脈拍 | 頻脈・徐脈・不整の出現 |
| 呼吸数 | 努力呼吸・頻呼吸 |
| 心電図 | 不整脈・虚血性変化 |
| SpO2 | 低下があれば負荷量を下げる・中止する |
脳卒中後の運動麻痺は、弛緩性麻痺 → 筋緊張の出現 → 共同運動 → 分離運動の増加 → 随意性・スピードが正常に近づくという段階を追って回復します。この順序は国試頻出です。
回復過程では連合反応(健側を強く動かすと麻痺側が無意識に動く現象。脳のつながり=連合路の影響)や共同運動(上肢・下肢が特有のパターンでまとまって動く)といった異常運動パターンが出現します。これらは回復過程の一部ですが、過剰な共同運動は機能回復の妨げになるため、評価・観察・介入によるコントロールが必要です。
| 段階 | 状態 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 弛緩性麻痺 | 力が入らず動かせない状態 |
| ② | 筋緊張の出現 | 筋肉に張りが出て動きが出てくる |
| ③ | 共同運動 | 特有のパターンでまとまって動く |
| ④ | 分離運動の増加 | 必要な部分だけを選んで動かせることが増える |
| ⑤ | 随意性・スピードの改善 | 思い通りに動かせ、スピードも正常に近づく |
共同運動には屈曲共同運動と伸展共同運動があり、上肢と下肢で出方が異なります。「上肢は屈曲優位、下肢は伸展優位」というのが臨床像の基本イメージですが、パターンとしては以下のように整理して覚えます。
| パターン | 上肢 | 下肢 |
|---|---|---|
| 屈曲共同運動 | 肩内転・肘屈曲 | 股関節・膝関節の屈曲 |
| 伸展共同運動 | 肩外転・肘伸展 | 股関節・膝関節の伸展 |
急性期は動けないまま同じ姿勢が続くため、痙縮・拘縮・関節変形・褥瘡が進みやすくなります。そこでクッションなどで全身を支え、筋緊張の高まりを防ぐポジショニング(良肢位保持)が重要になります。良いポジショニングでは関節が安定し、筋緊張が落ち着き、褥瘡・変形を予防できます。
脳卒中では麻痺側が「肩は内転・内旋、手指は握り込み、股関節は屈曲・内転、足は尖足・内反」に傾きやすいため、その逆方向を意識して予防します。
| 部位 | 保つ肢位・工夫 | 予防できる異常 |
|---|---|---|
| 手指 | 大きめの物を握らせる(軽度屈曲位) | 握り込み(強い屈曲拘縮) |
| 手関節 | 背屈位に保つ | 下垂手・屈曲拘縮 |
| 肩関節 | 外転・外旋を意識 | 内転・内旋拘縮 |
| 股関節 | 軽度屈曲・外転、伸展位を保つ | 屈曲・内転拘縮 |
| 膝関節 | 軽度屈曲〜伸展 | 屈曲拘縮 |
| 足関節 | できるだけ0度(軽度背屈)に保つ | 尖足・足部内反 |
体位変換は2〜3時間ごとに、仰臥位 → 側臥位(左右)→ 半座位などを繰り返して行います。単なる褥瘡予防にとどまらず、関節拘縮の予防、呼吸・循環の促進、中枢神経系への刺激といった多面的な意味があります。
他動的関節可動域(ROM)訓練は急性期から実施します。回数の目安は1日2回程度、可能な範囲でやさしく行い、無理に痛みを出さないのが大原則です。痛みを我慢させて動かすのはNGで、異所性骨化や肩手症候群を招く危険があります。
上肢・下肢それぞれに拘縮しやすい重点部位があり、そこを優先してROMを確保します。
| 部位 | 重点となるROMアプローチ |
|---|---|
| 上肢 | 肩関節屈曲 |
| 上肢 | 肩関節外転・外旋 |
| 上肢 | MP関節の拘縮予防 |
| 上肢 | 母指・手指の運動 |
| 下肢 | 足関節背屈 |
| 下肢 | 足趾伸展 |
| 下肢 | 膝伸展位での下肢挙上 |
| 下肢 | 股関節伸展 |
ベッド上の管理が安定したら、寝返り訓練 → 座位訓練 → 段階的ベッドアップ → 車椅子座位 → 訓練室での治療へと段階的に進めます。早期座位は呼吸・循環の改善、筋力低下の予防、意識・活動性の向上、合併症の予防につながる「回復の第一歩」です。
適応の目安(クリア条件)はベッド上座位が30分可能であること、全身状態・バイタルサイン・検査所見に問題がないことです。
並行して、作業療法ではベッド上での食事・更衣の練習、看護ではコミュニケーション支援や経口摂取・食事・排泄といった病棟ADLアプローチを行い、できることを増やして自信と生活の質を高めていきます。
| 段階 | 内容 | ねらい |
|---|---|---|
| ①寝返り訓練 | 正しい姿勢でスムーズな寝返り | 基本動作の再獲得 |
| ②座位訓練 | ベッドの端で安定した座位 | 体幹・バランスの改善 |
| ③段階的ベッドアップ | 少しずつ角度を上げて体を慣らす | 起立性低血圧の予防 |
| ④車椅子座位 | 車椅子での姿勢を安定させる | 離床時間の延長 |
| ⑤訓練室での治療 | リハビリの幅を広げる | 回復期リハへの移行 |