アフロの手アフロの手

回復期リハビリテーションのすすめ方(座位・起立・歩行訓練と開始中止基準)かいふくきりはびりてーしょん

回復期リハビリテーションは、急性期を過ぎて全身状態が安定した時期に、訓練室(機能訓練室)で行うことが多いリハビリの段階です。急性期のROM訓練・ポジショニング・座位訓練を途切れさせずに継続し、床上動作→座位→起立→歩行と段階的に進めて日常生活の自立と在宅・社会復帰を目指します。国試では開始・中止基準の数値と、歩行訓練・杖歩行の進め方が狙われます。

回復期リハビリテーション|回復期リハビリテーション 1
読み方かいふくきりはびりてーしょん
時期急性期を過ぎ全身状態が安定した回復のステージ
実施場所訓練室(機能訓練室)で行うことが多い
主な目標日常生活の自立・生活動作の改善・在宅/社会復帰
主な訓練床上動作訓練・座位訓練・関節可動域訓練・神経生理学的アプローチ(PNF)・移乗訓練・起立/歩行訓練
座位訓練の開始基準意識が安定し呼びかけに応答できる/収縮期血圧90〜180mmHg・脈拍50〜100回/分・SpO₂92%以上/発熱・強い痛み・吐き気がない
中止基準収縮期血圧が20mmHg以上低下または90mmHg未満/脈拍120回/分以上または安静時より30回/分以上増加/起立性低血圧症状(めまい・ふらつき・冷汗・悪心)
リスク管理転倒予防・体調チェック・個別性に合わせたプログラム

回復期リハビリテーションとは(時期・場所・目標)

回復期リハビリテーションは、発症直後の急性期を過ぎ、全身状態が安定してきた段階で行うリハビリです。急性期がベッドサイド中心であるのに対し、回復期は訓練室で行うことが多いのが特徴で、平行棒・階段・マットなどの設備を使って本格的な機能回復と生活動作の練習に取り組みます。

同時に、転倒予防・体調チェック・個別に合わせたプログラム作成といったリスク管理を徹底することが前提になります。

時期主な場所目的代表的な訓練
急性期ベッドサイド廃用予防・状態の安定ROM訓練・ポジショニング・座位訓練
回復期訓練室(機能訓練室)機能回復・生活動作の獲得基本動作訓練・ADL訓練・歩行訓練
生活期(維持期)在宅・施設・地域獲得した能力の維持自主トレ・活動参加・環境調整
急性期から回復期へ、訓練を切れ目なく継続する流れ
急性期から回復期へ、訓練を切れ目なく継続する流れ

床上動作訓練は基本動作の土台

ベッド上・マット上で行う床上動作訓練は、その後の立位・歩行につながる基本動作の土台です。寝返り→起き上がり→座位保持→四つ這い→膝立ち→立ち上がり、という順で難度が上がっていきます。

これらの獲得により体幹の安定・バランス能力の向上・協調性の改善が得られ、さらに「できた」という自信が次の段階への意欲につながります。

順序動作ねらい
寝返り左右への体軸内回旋・褥瘡予防の基礎
起き上がり上体を起こす・体幹屈曲筋の使用
座位保持安定して座る・座位バランス
四つ這い支持面を使ったバランス・上下肢の協調
膝立ち重心のコントロール・股関節伸展
立ち上がり立つ・支える・立位への移行
床上動作訓練の6段階(寝返り〜立ち上がり)
床上動作訓練の6段階(寝返り〜立ち上がり)

座位訓練の開始基準・中止基準

離床の第一歩である座位訓練には、明確な開始基準(進めてよいか)中止基準(やめるサイン)があります。国試ではこの数値がそのまま問われます。

とくに起立性低血圧は座位・立位の開始時に起こりやすく、めまい・ふらつき・冷汗・悪心などの症状が出たら直ちに中止して臥位に戻します。

区分項目基準
開始基準意識呼びかけに応答できる(意識が安定)
開始基準血圧収縮期血圧 90〜180mmHg
開始基準脈拍50〜100回/分
開始基準SpO₂92%以上
開始基準全身状態発熱・強い痛み・吐き気などがない
中止基準血圧低下収縮期血圧が20mmHg以上低下、または90mmHg未満
中止基準脈拍増加120回/分以上、または安静時より30回/分以上の増加
中止基準症状めまい・ふらつき・冷汗・気分不快・悪心などの起立性低血圧症状
座位訓練の開始基準(OKチェック)と中止基準(中止サイン)
座位訓練の開始基準(OKチェック)と中止基準(中止サイン)

関節可動域訓練と神経生理学的アプローチ(PNF)

関節可動域(ROM)訓練は運動機能回復の土台づくりです。上肢では肩の屈曲・外転、肘の屈伸・前腕回内外、下肢では股関節の屈曲・伸展、膝・足関節の屈伸を中心に行い、筋のこわばりや関節の硬さをゆるめて動きやすい状態をつくります。

神経生理学的アプローチ(PNF:固有受容性神経筋促通法)は、固有受容器への刺激(伸張・圧刺激など)やリズミカルな反復運動を利用して神経系の働きを高め、麻痺側の動きを引き出す(促通する)方法です。

訓練対象部位主な運動方向
上肢の可動域訓練肩・肘・前腕屈曲・外転/屈伸・回内外
下肢の可動域訓練股・膝・足屈曲・伸展/屈伸
PNF(促通)麻痺側全般伸張・抵抗を用いた対角らせん運動の反復
PNFで麻痺側を促通する3つのカギ
PNFで麻痺側を促通する3つのカギ

移乗訓練の安全手順と起立・歩行訓練

移乗(トランスファー)訓練は事故が起こりやすい場面のため、手順の遵守が最重要です。声かけ・説明→車いすを近づけてブレーキをロック→足を床につけて姿勢を安定→体を支えてゆっくり移動→深く座れているか座位を確認、の5ステップで行います。

起立(立ち上がり)訓練と歩行訓練は並行して進めるのが原則です。立ち上がりは①前かがみで準備(重心を前方へ)→②足に力を入れて→③ゆっくり立ち上がる、の順で行います。

ステップ移乗訓練の手順ポイント
説明・声かけ安心してもらうことが大切
環境の準備車いすを近づけてブレーキをロック
姿勢を整える足を床につけて体を安定させる
移乗動作体を支えながらゆっくり移動
座位の確認深く座れているか姿勢をチェック
安全な移乗の5ステップ(ブレーキのロックは必須)
安全な移乗の5ステップ(ブレーキのロックは必須)

歩行訓練は段階的に・実用的移動手段の獲得へ

歩行訓練は平行棒内歩行 → 4点杖歩行 → T字杖歩行と、支持基底面を徐々に狭めながら段階的に進めます。平行棒内で安定性を確保して正しい歩き方を覚え、4点杖で支持基底面を広く保ち、最終的にT字杖でよりスムーズな歩行を目指します。

杖歩行の足の出し方も段階があり、安定性の高い3ステップ歩行から、より実用的な2ステップ歩行へと進みます。

最終目標は実用的移動手段の獲得です。歩行だけにこだわらず、階段は手すりを使って一段ずつ、スロープは体を少し前に傾けて、段差はつま先を上げて慎重に、不整地は小さな歩幅で、と場面に応じた方法を選びます。疲れやすい時や長距離は車いす、どうしても歩けない時は床ずり(お尻歩き)移動も選択肢です。安全(転倒ゼロ)が最優先となります。

段階歩行様式足の出す順/特徴
平行棒内歩行両手支持で安定性を確保し正しい歩容を練習
4点杖歩行支持基底面を広くして安定性アップ
T字杖歩行よりスムーズ・実用的な歩行へ
3ステップ歩行杖 → 患脚 → 健脚安定性が高く、初期段階で用いる
2ステップ歩行杖+患脚(同時) → 健脚効率がよく、より実用的
平行棒内→4点杖→T字杖と、3ステップ/2ステップ歩行
平行棒内→4点杖→T字杖と、3ステップ/2ステップ歩行
国試ポイント
① 回復期リハビリは急性期を過ぎた時期に「訓練室」で行うことが多い。急性期のベッドサイド中心と対比して覚える。
② 座位訓練の開始基準=収縮期血圧90〜180mmHg・脈拍50〜100回/分・SpO₂92%以上・意識清明。
③ 中止基準=収縮期血圧が20mmHg以上低下または90mmHg未満/脈拍120回/分以上または安静時+30回/分以上/起立性低血圧症状。
④ 床上動作訓練の順序は寝返り→起き上がり→座位保持→四つ這い→膝立ち→立ち上がり。順序の並べ替えが頻出。
⑤ 杖歩行は3ステップ歩行(杖→患脚→健脚)が2ステップ歩行(杖+患脚→健脚)より安定性が高い。患脚が先で健脚が後、が引っかけポイント。
⑥ 歩行補助具は平行棒→4点杖→T字杖の順に支持基底面が狭くなる(=難度が上がる)。
・ 移乗の際は必ず車いすのブレーキをロックし、足を床につけてから移す。
・ PNF(神経生理学的アプローチ)は固有受容器への刺激とリズミカルな反復で麻痺側の運動を促通する。
📖 回復期リハビリテーションをスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習