心肺部圧受容器反射は、心房や肺静脈などの低圧系にある「低圧受容器(容量受容器)」が循環血液量の変化をキャッチし、延髄の循環中枢を介して血液量を維持・回復させる反射です。血液量が減ると交感神経活動が高まり、バソプレシン分泌が増え、尿量が減るという流れが国試の頻出ポイント。頸動脈洞・大動脈弓の「動脈圧受容器反射」=血圧のセンサーとの役割の違いを必ず区別して覚えましょう。
| 読み方 | しんぱいぶあつじゅようきはんしゃ |
|---|---|
| 分類 | 神経性循環調節(自律神経反射)/低圧受容器反射・容量受容器反射 |
| 受容器の場所 | 心房(右心房・左心房)、肺静脈など心肺部の低圧系血管 |
| 感知するもの | 循環血液量(静脈還流量)の変化=血管壁の伸展度 |
| 求心路 | 迷走神経などの求心性神経 → 延髄(循環中枢・網様体) |
| 主な反応(血液量減少時) | 交感神経活動亢進・バソプレシン分泌増加・尿量減少・血液量の回復 |
| 目的・意義 | 循環血液量を一定に保ち、出血や脱水時に血圧を維持する |
| 動脈圧受容器反射との違い | 動脈側(頸動脈洞・大動脈弓)は「血圧」のセンサー、心肺部は「血液量」のセンサー |
心肺部圧受容器反射とは、心房や肺静脈などにある低圧受容器(容量受容器)による反射で、血液量の変化を感知して血液量を調節するしくみです。動脈系と違って圧の低い「低圧系」に置かれたセンサーなので、圧そのものよりも血管壁がどれだけ伸ばされているか=どれだけ血液が戻ってきているかを検出します。
循環調節は大きく局所性調節・神経性調節・ホルモン性調節の3つに分けられますが、この反射は神経性調節を入口としてホルモン性調節まで巻き込むのが特徴です。
出血や脱水などで循環血液量が減少すると、心房・肺静脈の伸展が弱まり、低圧受容器からの求心性信号が減少します。これを延髄が受け取ると、交感神経活動の亢進+ホルモン分泌の調整が起こり、体は血液量を取り戻そうとします。
| 順序 | 起こること | 内容・意味 |
|---|---|---|
| ① | 交感神経活動が高まる | 心拍数↑・血管収縮↑ → 血圧を維持する |
| ② | バソプレシン分泌が増える | 腎臓での水の再吸収↑ → 血液量を増やす |
| ③ | 腎臓からの尿量が減る | 水とNa⁺の再吸収↑ → 体内の水分を保持する |
| ④ | 循環血液量を回復させる | 血液量を維持・回復して体を守る |
国試で最も間違えやすいのが、頸動脈洞・大動脈弓の圧受容器反射との混同です。両者は「センサーが何を測っているか」「どこにあるか」「求心路の神経」で整理すると混乱しません。
| 項目 | 心肺部圧受容器反射(低圧受容器) | 動脈圧受容器反射(高圧受容器) |
|---|---|---|
| 受容器の場所 | 心房・肺静脈など心肺部低圧系 | 頸動脈洞・大動脈弓 |
| 感知するもの | 循環血液量(伸展=容量) | 動脈血圧 |
| 求心性神経 | 迷走神経などの求心路 | 頸動脈洞=舌咽神経/大動脈弓=迷走神経 |
| 中枢 | 延髄の循環中枢(網様体) | 延髄の循環中枢(網様体) |
| 血圧上昇・血液量増加時 | 交感神経抑制・利尿方向(血液量を減らす) | 心拍数↓・心収縮力↓・心拍出量↓、血管拡張 → 血圧低下 |
| 血圧低下・血液量減少時 | 交感神経亢進・バソプレシン↑・尿量↓ | 交感神経亢進で心拍数↑・血管収縮 → 血圧上昇 |
心肺部圧受容器反射の司令塔は延髄の網様体にある循環中枢です。ここから自律神経(交感神経・副交感神経)を介して心臓の拍出量・心拍数、血管の収縮・拡張が調節されます。循環中枢が障害されると血圧が大きく低下し、重篤な低血圧・ショックとなって生命に危険が及びます。
心肺部圧受容器反射は、日常臨床でみられる次のような場面で働いています。
施術の場でも、長時間の伏臥位から急に起き上がった際のふらつきなどは、この循環調節が追いつかないために起こります。ゆっくり起き上がってもらう配慮が安全につながります。