炎症とは、微生物などの侵襲や物理的・化学的な刺激によって起こる生体の防御反応です。目的は「侵入したものを排除する」「傷ついた組織を処理する」「組織を修復する」の3つで、その過程で血管反応・液性反応・細胞反応が起こります。国家試験では5大徴候(発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害)と起炎因子、滲出から肉芽組織・瘢痕までの流れが繰り返し問われます。
| 読み方 | えんしょう |
|---|---|
| 定義 | 微生物などの侵襲や刺激によって起こる生体の防御反応 |
| 目的 | ①侵入したものを排除する ②傷ついた組織を処理する ③組織を修復する |
| 3つの反応 | 血管反応(拡張・血流増加)/液性反応(成分の漏出)/細胞反応(白血球集積) |
| 5大徴候 | 発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害 |
| 原因(障害因子) | 病原体の感染・物理的刺激・化学的刺激・アレルギー |
| 主な起炎因子 | ヒスタミン、セロトニン、ブラジキニン、プロスタグランジン |
| 炎症で起こる3変化 | 組織の傷害/循環障害と滲出/組織の増殖 |
| 経過による分類 | 急性・亜急性・亜慢性・慢性(実際は連続的に進行) |
| 修復 | 肉芽組織(マクロファージ・線維芽細胞・毛細血管)→成熟→結合組織→瘢痕 |
炎症は、微生物などの侵襲や刺激によって起こる生体の防御反応です。「異物を排除し、傷ついた組織を処理・修復する」ための一連の反応であり、体にとって必要な仕組みです。
この目的を達成するため、炎症の局所では次の3つの反応が起こります。
| 反応 | 内容 |
|---|---|
| 血管反応 | 血管が拡張し、血流が増える |
| 液性反応 | 血液中の成分(血漿成分)が血管外へ漏れ出す |
| 細胞反応 | 白血球などが炎症部位に集まる |
炎症の局所では、古くから知られる5大徴候があらわれます。「赤く・熱く・腫れて・痛くて・動かしにくい」と唱えて覚えるのが定番です。
炎症を引き起こす障害因子は、大きく4つに分けて整理します。
| 原因 | 具体例 |
|---|---|
| 病原体の感染 | ウイルス・細菌・カビ(真菌)・原虫・寄生虫など |
| 物理的刺激 | 熱傷・切傷・裂傷・放射線・紫外線など |
| 化学的刺激 | 酸・アルカリ・酸化ストレス・化学物質など |
| アレルギー | 免疫反応が過剰に働いて起こる(喘息・じんま疹・アレルギー性鼻炎など) |
炎症では、程度の差はあっても共通して①組織の傷害 ②循環障害と滲出 ③組織の増殖の3つが起こります。
障害因子が作用すると、局所の肥満細胞などから起炎因子(化学伝達物質)が放出されます。
血管の反応は順序が重要で、細動脈はまず一時的に収縮し、その後すぐに拡張します。拡張により局所の血流が増加し、これが発赤・熱感として現れます(充血)。
| 段階 | 起こること |
|---|---|
| 1 | 障害因子が作用する |
| 2 | 肥満細胞などから起炎因子が放出される |
| 3 | 細動脈が一時的に収縮する |
| 4 | その後すぐに拡張し、血流が増加する(→発赤・熱感) |
炎症が進むと毛細血管の透過性が高くなり、内皮細胞の隙間が開いて血漿成分が血管外へしみ出します。これを滲出(しんしゅつ)といい、血管外に出た液体を滲出物といいます。
血漿成分が血管外に出ると周囲に水分がたまり、組織が腫れます。これが炎症性浮腫で、5大徴候の腫脹に関係します。
さらに白血球が血管壁をすり抜けて血管外へ出て、障害(炎症)部位へ移動します。これが白血球遊走です。特に好中球が細菌を貪食するために集まります。
| 現象 | 内容 | 関係する徴候 |
|---|---|---|
| 滲出 | 血管透過性が高まり血漿成分が血管外へ出る | 腫脹 |
| 炎症性浮腫 | 滲出物により周囲に水分がたまり組織が腫れる | 腫脹 |
| 白血球遊走 | 白血球が血管外へ出て炎症部位へ移動する | ― |
| 貪食 | 好中球などが細菌・壊死物質を取り込む | ― |
炎症で壊れた組織は放置されず、異物や壊死物質を処理したあと修復へ進み、組織が増殖します。
修復の主役が肉芽組織です。肉芽組織は次の3つで構成されます。
肉芽組織が成熟すると結合組織に置き換わり、傷あととして残ります。これを瘢痕といいます。
| 順序 | 段階 |
|---|---|
| 1 | 組織が壊れる |
| 2 | 異物・壊死物質を処理する(マクロファージ) |
| 3 | 肉芽組織ができる(線維芽細胞・毛細血管) |
| 4 | 肉芽組織が成熟する |
| 5 | 結合組織に置き換わる |
| 6 | 瘢痕(傷あと)として残る |
炎症は時間的経過により急性・亜急性・亜慢性・慢性に分けられます。ただし実際にははっきり区切れるものではなく、連続的に進行する点が引っかけポイントです。
全体の流れは 刺激 → 血管拡張 → 滲出 → 白血球遊走 → 組織修復 の順で覚えると整理しやすくなります。