進行性核上性麻痺(PSP:Progressive Supranuclear Palsy)は、核上性眼球運動麻痺(特に下方の注視麻痺)とパーキンソニズムを特徴とする進行性の神経変性疾患です。中年以降に発症し、初発症状は歩行障害が最も多く、立ち直り反射の障害により後方へ転倒しやすいのが大きな特徴です。パーキンソン病と異なり体幹・四肢の屈曲傾向が乏しく、直立姿勢をとる点が鑑別の鍵になります。
| 読み方 | しんこうせいかくじょうせいまひ(PSP:Progressive Supranuclear Palsy) |
|---|---|
| 分類 | 進行性の神経変性疾患(パーキンソン症候群の一つ) |
| 好発 | 中年以降に発症・男性に多い/発症年齢は50〜60代に多い |
| 頻度 | 10万人に4〜5人程度 |
| 主な症状 | 核上性眼球運動麻痺(特に下方注視麻痺)、パーキンソニズム、歩行障害、後方への易転倒、頸部伸展傾向、仮性球麻痺(構音・嚥下障害)、認知症 |
| 特徴 | 立ち直り反射障害が著明で後方へ転倒しやすい。体幹・四肢の屈曲は少なく直立姿勢をとる |
| 検査・診断 | 下方注視麻痺・立ち直り反射障害など臨床症状が中心。パーキンソン病との鑑別が重要 |
| 治療 | 根本的治療法は未確立。薬物療法・リハビリで進行を緩やかにしQOLを維持。転倒予防が非常に重要 |
進行性核上性麻痺(PSP)は、核上性眼球運動麻痺とパーキンソニズム(運動症状)を特徴とする進行性の神経変性疾患です。中年以降に発症し、運動障害が徐々に進行していきます。パーキンソン症候群(パーキンソン病に似た症状を示す一群の疾患)の代表的なものの一つです。
疫学的な特徴は国試でも問われるポイントです。
初発症状として最も多いのは歩行障害です。加えて認知症(痴呆)や核上性眼球運動障害がみられ、なかでも下方の注視麻痺が特徴的です。
下方視が制限されると足元が見えにくくなり、これが歩行障害・転倒の一因となります。下方視制限 → 足元が見えにくい → 転倒しやすい、という流れが起こります。
体幹症状として、頸部の伸展傾向(うしろに反る傾向)を伴う体幹の筋固縮がみられ、仮性球麻痺による構音障害・嚥下障害(話しにくい・飲み込みにくい)も認められます。
ここがパーキンソン病との重要な鑑別点です。パーキンソン病では体幹・四肢の屈曲傾向が強く前かがみ姿勢になりますが、進行性核上性麻痺では屈曲傾向が少なく、直立姿勢で肘関節や膝関節も伸びていることが特徴です。
進行性核上性麻痺では立ち直り反射の障害が著明で、立位では後方へ自然に転倒しやすい傾向があります。無動のみが認められる純粋無動の症例もあります。
根本的な治療法は確立されていませんが、薬物療法やリハビリテーションにより症状の進行を緩やかにし、生活の質(QOL)を維持する工夫が重要です。早期発見と多職種連携がとても大切です。
医師・看護師・リハビリ・介護・栄養士などが連携し、患者さんとご家族をチームで支えることが重要です。