神経は電気信号で情報を伝えます。静止時の細胞内は約−60〜−90mVとマイナスで、刺激により閾値(約−55mV)に達すると活動電位が発生し、軸索を伝わっていきます。この記事では静止電位・活動電位・全か無かの法則・不応期・跳躍伝導といった興奮伝導のしくみと、A・B・C線維および感覚線維のIa・Ib・II・III・IVという2つの分類法を、国試で問われる数値ごと整理します。
| 読み方 | しんけいせんいのこうふんでんどうとぶんるい |
|---|---|
| 定義 | 神経細胞(ニューロン)が膜電位の変化=活動電位として興奮を軸索に伝えるしくみと、その線維の太さ・髄鞘の有無による分類 |
| 静止電位 | 細胞内は細胞外に対しマイナスで約−60〜−90mV |
| イオン分布 | 細胞外にNa⁺・Cl⁻が多く、細胞内にK⁺・タンパク質陰イオンが多い。Na⁺-K⁺ポンプ(3Na⁺を外へ・2K⁺を内へ、ATP使用)が維持 |
| 活動電位 | 閾値(約−55mV)に達すると発生。脱分極→オーバーシュート→再分極→過分極→後電位。ニューロンでは約1ミリ秒 |
| 伝導の3原則 | 絶縁性伝導・不減衰伝導・両方向性伝導 |
| 伝導速度 | 約1〜120m/秒。太い有髄線維が最速、細い無髄線維が最も遅い |
| 線維の分類 | 太さ順にA線維(有髄・太い・速い)、B線維(有髄・自律神経節前線維)、C線維(無髄・細い・遅い)。感覚線維はIa・Ib・II・III・IVの数字式分類 |
| 国試での狙われ方 | 静止電位・閾値の数値、脱分極=Na⁺流入/再分極=K⁺流出、全か無かの法則、跳躍伝導、Aα〜Aδと数字式分類の対応 |
神経細胞は静止している間も細胞膜の内外に電位差(膜電位)を持っています。静止時の細胞内は細胞外に対してマイナスで、その値は約−60〜−90mVです。
一発暗記は「外Na⁺・内K⁺、中はマイナス!」です。このイオン分布と膜の性質が、神経の活動の“土台”になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 静止電位 | 約−60〜−90mV(細胞内がマイナス) |
| 細胞外に多い | Na⁺・Cl⁻ |
| 細胞内に多い | K⁺・タンパク質陰イオン |
| 維持するしくみ | Na⁺-K⁺ポンプ(ATP使用)・K⁺リークチャネル |
刺激を受けて膜電位が一定の値である閾値(しきい値・約−55mV)に達すると活動電位が発生します。ニューロンの活動電位は約1ミリ秒と非常に短い現象です。
閾値以上の刺激が加わると、刺激の強さに関係なく一定の大きさの活動電位が発生します。これを全か無かの法則といいます。閾値未満では活動電位は発生しません。
| 相 | おもな出来事 | イオンの動き |
|---|---|---|
| 脱分極 | 閾値(−55mV)に達して立ち上がる | Na⁺が細胞内へ流入 |
| オーバーシュート | 0mVを超えてプラスへ(+30mV付近) | Na⁺流入のピーク |
| 再分極 | マイナス側へ戻る | K⁺が細胞外へ流出 |
| 過分極 | 静止電位(−70mV)よりマイナスに | K⁺流出の行き過ぎ |
| 後電位 | ゆっくり静止電位へ復帰 | イオン分布の回復 |
活動電位の発生中や直後は、すぐには再び興奮できません。この時期を不応期といいます。
不応期があることで、興奮は一方向へ伝わりやすくなります。
興奮の伝導は、①一部に活動電位が発生 → ②隣との間に電位差が生じる → ③局所電流が流れる → ④隣も脱分極して活動電位が発生 → ⑤次々と伝わって興奮が伝導する、という流れで進みます。
神経線維の興奮伝導には3原則があります。
有髄線維では髄鞘のある部分が絶縁されているため、電流は髄鞘の切れ目であるランビエ絞輪を飛び飛びに伝わります。これを跳躍伝導といい、そのぶん有髄線維は無髄線維より伝導速度が速くなります。
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 絶縁性伝導 | 隣の神経線維へ興奮は伝わらない |
| 不減衰伝導 | 興奮の大きさは減らず一定で伝わる |
| 両方向性伝導 | 人工刺激では両方向へ伝わる |
神経の伝導速度は約1〜120m/秒です。ポイントは「太い・有髄ほど速い」。太い有髄線維が最速、細い有髄線維が中くらい、細い無髄線維が最も遅くなります。
神経線維は伝導速度の速い順にA線維・B線維・C線維に分けられます。A線維はさらにAα・Aβ・Aγ・Aδに分かれ、Aαが最も太く、伝導速度が最も速いです。
| 線維 | 髄鞘・太さ | 伝導速度 | おもな関与 |
|---|---|---|---|
| A線維(Aα・Aβ・Aγ・Aδ) | 有髄・太い | 速い(Aαが最速) | 体性神経の運動・感覚 |
| B線維 | 有髄・細め | 中くらい | 自律神経の節前線維 |
| C線維 | 無髄・細い | 遅い | 痛覚・温度覚など |
感覚線維は数字式分類でIa・Ib・II・III・IVに分けられ、それぞれA・B・C分類と対応します。覚え方は「Ia・IbはAα、IIはAβ、IIIはAδ、IVはC」です。
| 感覚線維 | 伝える情報 | 相当する線維 |
|---|---|---|
| Ia線維 | 筋紡錘からの情報 | Aα線維 |
| Ib線維 | 腱受容器(ゴルジ腱器官)からの情報 | Aα線維 |
| II線維 | 筋紡錘・触覚・圧覚など | Aβ線維 |
| III線維 | 冷覚・侵害受容器に関係 | Aδ線維 |
| IV線維 | 温覚・侵害受容器に関係 | C線維 |