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先天性筋性斜頸(斜頸)の病態・症状・診断・治療

先天性筋性斜頸は、乳児で最も多い斜頸で、片側の胸鎖乳突筋にしこりができ、頸が傾いて反対側へ回旋する変形です。生後まもなくしこりが触れ、約90%は自然に治癒しますが、放置すると顔面非対称などの変形が残ることがあり、早期発見・早期治療が大切です。

先天性筋性斜頸|先天性筋性斜頸 1
読み方せんてんせいきんせいしゃけい
病態片側胸鎖乳突筋のしこり・拘縮による斜頸
頻度全新生児の約0.08〜1.9%
危険因子骨盤位(逆子)で10〜40倍多い
好発側右側に多い(右:左=2:1)
しこりの経過生後1週ごろから触れ、2〜4週で最大
主症状片側ばかり向く・頸を傾けた斜頸位
治療保存的治療が基本(約90%が治癒)

先天性筋性斜頸とは(斜頸の基本)

斜頸とは、頸が一方に傾き、反対側へ回旋する変形のことです。乳児にみられる斜頸のなかで最も多いのが先天性筋性斜頸で、片側の胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)にしこり(腫瘤)ができ、頸が傾いて反対を向く状態になります。

頸が傾き、反対側へ回旋するのが斜頸のイメージ
頸が傾き、反対側へ回旋するのが斜頸のイメージ

疫学(頻度と危険因子)

先天性筋性斜頸は、全新生児の約0.08〜1.9%にみられます。とくに骨盤位(逆子)で生まれた児では発生頻度が高く、10〜40倍多いとされています。好発側にも偏りがあり、右側に多く、右:左=2:1の割合です。右側の胸鎖乳突筋が緊張していることが多いのが特徴です。

項目データ
発生頻度全新生児の約0.08〜1.9%
逆子(骨盤位)10〜40倍多い
好発側右側(右:左=2:1)

原因(はっきり確定していない)

先天性筋性斜頸の原因は、まだ確定していません。以下のようないくつかの説がありますが、どれも決定的ではありません

胸鎖乳突筋のしこり(腫瘤)

特徴的なのが、片側の胸鎖乳突筋にできるしこり(腫瘤)です。胸鎖乳突筋は、耳の後ろ(乳様突起)から鎖骨の内側へ走る筋肉です。

胸鎖乳突筋にできるしこりの位置イメージ
胸鎖乳突筋にできるしこりの位置イメージ

主な症状

頸のしこりに加えて、次のような姿勢の症状がみられます。

症状内容
片側ばかり向くいつも同じ方向を見る
斜頸位首を傾けた姿勢になる

経過と放置した場合のリスク

先天性筋性斜頸の約90%は自然に治癒します。しこりは発症時から数週間〜数ヶ月かけて小さくなり、やがて消えていきます。ただし一部は線維化して残ることがあります。放置すると次のような変形が残ることがあり、早期発見・早期治療が将来の変形予防につながります

発症時→数週間〜数ヶ月→自然治癒へと向かう経過のイメージ
発症時→数週間〜数ヶ月→自然治癒へと向かう経過のイメージ

保存的治療(基本の治療)

治療は保存的治療が基本です。日常のなかで、しこりと反対方向へ頸を向ける習慣づけを行います。

向きグセのある側から反対側へ促す寝かせ方の工夫
向きグセのある側から反対側へ促す寝かせ方の工夫

手術と予後

多くは保存療法で改善しますが、6か月を超えても改善しない場合には手術が検討されます。全体として約90%は治癒し、予後は良好です。定期受診でフォローアップしながら、機能の回復を目指します。

項目内容
手術検討の目安6か月を超えて改善なし
治癒率約90%
国試ポイント
① 先天性筋性斜頸は乳児に最も多い斜頸で、片側胸鎖乳突筋のしこりにより頸が傾き反対側へ回旋する
② 骨盤位(逆子)で10〜40倍多く、右側に多い(右:左=2:1)
③ しこりは生後1週ごろから触れ、2〜4週で最大となる
④ 約90%は自然治癒するが、放置すると顔面非対称などの変形が残ることがある
⑤ 治療は保存的治療が基本で、6か月を超えて改善しない場合に手術を検討する
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