このページは、先天奇形そのものではなく「遺伝のしかた(遺伝形式)と、そこから起こる先天性代謝異常」という切り口を担当します。先天性代謝異常の多くは単一遺伝子の異常による酵素欠損が原因で、遺伝子異常→酵素が欠損→代謝がうまくいかないという一本の流れで理解できます。あわせて、1つの遺伝子で起こる単純遺伝性の異常と、多数の遺伝子+環境因子で起こる多因子遺伝性の異常の対比が国試の得点源です。
| 読み方 | せんてんせいたいしゃいじょう |
|---|---|
| 定義 | 単一遺伝子の異常による酵素欠損が原因で起こる代謝の異常 |
| 発生機序 | 遺伝子異常 → 酵素が欠損(作られない・働かない)→ 基質が体内にたまり代謝が乱れる |
| 遺伝性の異常の大分類 | 単純遺伝性の異常(1つの遺伝子の変化)/多因子遺伝性の異常(多数の遺伝子+環境因子) |
| 単純遺伝性の4分類 | ①常染色体性 ②伴性遺伝性 ③優性遺伝 ④劣性遺伝 |
| 特に多い遺伝形式 | 常染色体劣性遺伝 |
| 代表疾患(単純遺伝性) | 家族性大腸腺腫症(代表的な常染色体優性遺伝性疾患・APC癌抑制遺伝子の異常) |
| 代表例(多因子遺伝) | 口唇・口蓋裂、先天性股関節脱臼、本態性高血圧症、若年性糖尿病 など |
| 国試での狙われ方 | 単純遺伝と多因子遺伝の区別/優性・劣性の発症条件/家族性大腸腺腫症=常染色体優性+APC/多因子遺伝の代表例の選択 |
先天性代謝異常の多くは、単一遺伝子の異常による酵素欠損が原因です。スライドでは次の3ステップで示されています。
覚え方は「先天性代謝異常=遺伝子異常 → 酵素欠損 → 代謝異常」。この矢印の順序がそのまま出題されます。
単純遺伝性の異常とは、1つの遺伝子の変化によって起こる異常です。スライドでは4つに整理されています。
一発暗記は「単純遺伝=1遺伝子の変化」。また、特に多いのは常染色体劣性遺伝と明記されています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| ①常染色体性 | 常染色体の遺伝子変化 |
| ②伴性遺伝性 | X・Y染色体に関係 |
| ③優性遺伝 | 1つでも発症 |
| ④劣性遺伝 | 2つそろうと発症 |
国試で最も紛らわしいのが、単純遺伝性と多因子遺伝性の区別です。スライドの記載に沿って対比します。
多因子遺伝性の異常の一発暗記は「多因子=遺伝子いくつも+環境」です。
| 比較項目 | 単純遺伝性の異常 | 多因子遺伝性の異常 |
|---|---|---|
| 関与する遺伝子 | 1つの遺伝子の変化 | 多数(複数)の遺伝子の組み合わせ |
| 環境因子の関与 | 記載なし(遺伝子の変化で起こる) | 環境因子も関係する |
| 起こり方 | 遺伝子変化 → 異常が起こる | 複数の遺伝子+環境因子 → 発症しやすさUP → 異常が起こる |
| 下位分類 | 常染色体性/伴性遺伝性/優性遺伝/劣性遺伝 | (分類の記載なし) |
| ポイント | 単純遺伝=1遺伝子の変化 | 1つの遺伝子だけではない |
家族性大腸腺腫症は、代表的な常染色体優性遺伝性疾患です。スライドの特徴は3点。
病態の流れは、APC遺伝子異常(癌抑制遺伝子の機能低下)→ 大腸に多数の腺腫性ポリープ → 癌化しやすい(大腸癌のリスクが高い)。覚え方は「家族性大腸腺腫症=常染色体優性+多数の大腸ポリープ+癌化しやすい」です。
スライドに挙げられた多因子遺伝の代表例は次のとおりです(これ以外を勝手に足さないこと)。
覚え方は「多因子遺伝の代表例=口唇口蓋裂・先天性股関節脱臼・高血圧・若年性糖尿病」。単純遺伝性疾患(例:家族性大腸腺腫症)と取り違えないことが肝心です。
| 代表例 | 分類上の位置づけ |
|---|---|
| 口唇・口蓋裂 | 多因子遺伝(多数の遺伝子+環境因子) |
| 先天性股関節脱臼 | 多因子遺伝(多数の遺伝子+環境因子) |
| 本態性高血圧症 | 多因子遺伝(多数の遺伝子+環境因子) |
| 若年性糖尿病 | 多因子遺伝(多数の遺伝子+環境因子) |
| 家族性大腸腺腫症 | 単純遺伝性(常染色体優性遺伝性疾患) |