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脊髄損傷
脊髄損傷の病態・原因・症状・診断・治療せきずいそんしょう
脊髄損傷は、脊柱管の中で守られている脊髄が外からの力で傷つく 病態で、脱臼骨折に伴う外傷が主因です。損傷高位(頸髄・胸髄など)と麻痺の程度(完全麻痺/不全麻痺)で症状が決まる のが最大のポイント。受傷直後は脊髄ショックによる弛緩性麻痺で始まり、回復後は痙性麻痺へ移行します。
読み方 せきずいそんしょう
分類 脊髄の外傷性疾患(臨床医学各論・神経)
主な原因 交通事故・転落事故(両者で約70%)、多くは脱臼骨折に伴う外傷。非骨傷性損傷もある
好発 男性に多い(男女比約4:1)、年間新規発生 約5,000件、平均年齢 約48歳
主な症状 損傷高位以下の運動・感覚・反射・自律神経障害。頸髄損傷=四肢麻痺、胸髄以下=対麻痺
経過 受傷直後は脊髄ショック(弛緩性麻痺)→回復後は痙性麻痺へ移行
検査・診断 神経学的所見で高位診断、完全/不全麻痺の判定、フランケル分類、X線・CT・MRI
治療 呼吸・循環・消化器・尿路の全身管理、早期ステロイド大量療法、安静・牽引・除圧固定術、慢性期リハビリ
脊髄損傷とは?──脊柱管の中の脊髄がダメージを受ける
脊髄は脊柱管の中に納められ、周囲の骨(脊柱)に守られています。脊髄損傷は、この脊柱管内の脊髄が外からの力によって傷つく 病態です。
外傷で起こることが多い (交通事故・転落など)脱臼骨折に伴う ことが多い骨傷を伴わない非骨傷性脊髄損傷 もある 正常では「脊柱管の中で脊髄が守られている」状態ですが、外力が加わると「脊髄が傷つく」ことで神経症状が生じます。
脊柱管の中の脊髄が外力で傷つくのが脊髄損傷
疫学──男性に多く、原因は交通事故・転落が中心
脊髄損傷は男性に多い のが特徴で、原因の大半を外傷が占めます。
年間新規発生:約5,000件 男女比:約4:1 (男性優位) 平均年齢:約48歳 交通事故+転落事故で約70% を占める
男性に多く、交通事故・転落が主因
症状①──損傷高位で麻痺のパターンが変わる
脊髄損傷では損傷部位より下に障害 が出ます。損傷した高さ(高位)によって麻痺のパターンが変わるのが国試頻出ポイントです。
頸髄損傷=四肢麻痺 :両手・両足すべてに麻痺が出る。高位ほど生命維持(呼吸)への影響が大きい胸髄以下の損傷=対麻痺 :下肢中心の麻痺になる損傷高位が高いほど重症化しやすく 、低いほど軽症化しやすい 運動・感覚・反射・自律神経のすべてに影響する
損傷高位 麻痺のパターン 特徴
頸髄(C1〜C4) 四肢麻痺 高位ほど重症、呼吸・生命維持に影響大
頸髄(C5〜C8) 四肢麻痺 上下肢に麻痺
胸髄(T1〜T12) 対麻痺 下肢中心の麻痺
腰髄(L1〜L5)・仙髄(S1〜S5) 対麻痺(低位) 比較的軽症化しやすい
頸髄損傷は四肢麻痺、胸髄以下は対麻痺
症状②──完全麻痺・不全麻痺と脊髄ショック
麻痺の程度は完全麻痺(完全性損傷) か不全麻痺(不完全性損傷) かで大きく異なります。
完全麻痺 :損傷部位より下の運動・感覚が完全に消失し、すべての機能が働かない不全麻痺 :損傷部位より下の運動・感覚が一部残り、一部の機能が残っているまた受傷直後は「脊髄ショック」 という状態になります。
脊髄ショック期(受傷直後) :まず弛緩性麻痺 となり、運動・知覚・反射が消失、自律神経機能も低下する回復期(脊髄ショック回復後) :痙性麻痺へ移行 し、反射が出現・亢進する「最初は弛緩性(脊髄ショック)→その後 痙性麻痺へ」という時間経過の流れが重要です。
受傷直後は脊髄ショックで弛緩性麻痺、回復後は痙性麻痺へ移行
診断──神経学的所見+画像検査で評価
診断は損傷高位 と重症度 の両面から評価します。
①神経学的所見で高位診断 :運動・感覚・反射の評価、上位運動ニューロン徴候、損傷高位を推定②完全麻痺か不全麻痺かを判定 ③フランケル分類で重症度判定 ④画像検査 :X線・CT・MRIも活用
フランケル分類 内容
A(完全麻痺) 運動・感覚ともに完全消失
B(感覚のみ残存) 感覚はあるが運動は消失
C(不全麻痺・非機能的) 運動はあるが機能的ではない
D(不全麻痺・機能的) 運動は機能的だが弱い
E(正常) 運動・感覚ともに正常
神経学的所見・フランケル分類・画像検査で高位と重症度を評価
治療①──全身管理と初期治療が重要
初期治療では全身管理+脊髄治療 を並行します。特に呼吸・循環・排尿の管理が命を守る ため超重要です。
呼吸管理 :気道確保・人工呼吸・酸素化の維持。上位頸髄損傷では人工呼吸管理が必要循環管理 :血圧・脈拍の安定、輸液・昇圧薬。上位胸髄以上では徐脈・低血圧に注意消化器管理 :胃管・栄養管理、ストレス潰瘍予防尿路管理 :尿道カテーテル、尿量モニタリング。脊髄ショック期は尿閉に注意早期ステロイド大量療法 :神経浮腫の軽減・炎症抑制で神経機能回復をサポート安静・牽引・手術 :頸椎牽引で整復補助、除圧・固定で脊髄の圧迫を解除
呼吸・循環・排尿の全身管理が命を守る
治療②──合併症への注意と慢性期リハビリ
脊髄損傷では全身にさまざまな合併症 が起こり、これを見逃さないことが重要です。
麻痺性イレウス :腸の動きが低下し腸閉塞を起こすことがある消化性潰瘍 :ストレスや薬剤の影響で胃・十二指腸に潰瘍胃拡張・便秘 :胃が張り食事や呼吸に影響、便秘の悪化褥瘡(床ずれ) :同じ姿勢が続き皮膚・組織が壊死。体位変換・スキンケアが重要異所性骨化 :関節周囲に骨がつき関節の動きを妨げる疼痛 :肩や関節などに痛み体温調節障害 :高体温・低体温になりやすく環境調整が必要慢性期はリハビリ中心 で、書字・更衣・車椅子移動・歩行訓練などのADL獲得と関節拘縮予防を目指します。不全麻痺では改善に期待 でき、会陰部知覚や肛門括約筋の随意収縮は改善のサイン です。
褥瘡・消化器障害など全身の合併症に注意
国試ポイント
① 頸髄損傷=四肢麻痺、胸髄以下の損傷=対麻痺。損傷高位で麻痺パターンが決まる
② 損傷高位が高いほど重症化しやすく、上位頸髄損傷では呼吸筋麻痺で人工呼吸管理が必要
③ 受傷直後は脊髄ショックで弛緩性麻痺(反射消失)→回復後は痙性麻痺(反射亢進)へ移行
④ 完全麻痺は運動・感覚が完全消失、不全麻痺は一部残存。重症度はフランケル分類(A〜E)で判定
⑤ 原因は交通事故・転落が中心(約70%)、男性に多く(約4:1)、脱臼骨折に伴う外傷が多い
⑥ 合併症として褥瘡・麻痺性イレウス・異所性骨化・体温調節障害・自律神経障害(徐脈・低血圧・尿閉)に注意
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