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赤血球のはたらき・産生と寿命・国試ポイントせっけっきゅう

赤血球(erythrocyte)は血液中で最も数が多い細胞で、酸素の運搬・二酸化炭素の回収・血液pHの緩衝を担います。成熟赤血球は核もミトコンドリアも持たず、双凹円盤状で柔らかく変形するため、直径3〜5μmの細い毛細血管も通過できます。骨髄で造血幹細胞からつくられ、腎臓由来のエリスロポエチン(EPO)に促進され、寿命約120日で脾臓・肝臓などで破壊されます。

赤血球|赤血球 1
読み方せっけっきゅう(erythrocyte)
定義核を持たない双凹円盤状の血球。血液中で最も数が多い細胞
主なはたらき酸素運搬・CO2運搬(一部)・pH調節(緩衝作用)
形態・大きさ双凹円盤状、直径約7〜8μm(毛細血管は3〜5μmの場所もあるが変形して通過)
赤血球数(基準値)男性 約500万/μL、女性 約450万/μL
ヘマトクリット(Ht)男性 約45%、女性 約40%(血液全体に占める赤血球の体積比 約40〜45%)
ヘモグロビン(Hb)男性 約14〜18 g/dL、女性 約12〜16 g/dL。Hb1gで約1.34mLのO2を運搬
産生・調節骨髄で造血。腎臓から分泌されるエリスロポエチン(EPO)が産生を促進。鉄・ビタミンB12・葉酸が必要
寿命・破壊約120日。毎日約1%が入れ替わる。脾臓・肝臓・骨髄で破壊され鉄は再利用
国試での狙われ方無核であること、寿命120日、EPOと腎性貧血、Hb1g=1.34mL O2、CO結合力200〜250倍、MCVによる貧血分類

赤血球の構造と基本的な特徴

赤血球は血液中で最も数が多い細胞で、主な役割は酸素を全身へ運ぶこと二酸化炭素(CO2)を回収することです。血液が赤く見えるのは、赤血球の中にあるヘモグロビンという赤い色素のためです。

赤血球の特徴(無核・双凹円盤・酸素運搬・pH調節)
赤血球の特徴(無核・双凹円盤・酸素運搬・pH調節)

ヘモグロビンの構造と酸素・CO2の運搬

ヘモグロビン(Hb)は赤血球の中にある酸素運搬タンパク質で、グロビン(タンパク質部分)ヘム(鉄を含む色素部分)からできています。成人ではα鎖2本・β鎖2本の合計4本のポリペプチド鎖からなり、1分子にヘムが4個あるので酸素を4個結合できます。

CO2の運搬形式割合しくみ
重炭酸イオン(HCO3-)として約70%赤血球内の炭酸脱水酵素の働きでCO2がHCO3-に変換され血漿中へ
ヘモグロビンと結合して約20〜25%Hbのアミノ基とCO2が結合し、カルバミノヘモグロビンとして運搬
物理的に溶解して約5〜10%血漿に溶けたまま運搬される
ヘモグロビンの構造・酸素運搬・CO2運搬の割合
ヘモグロビンの構造・酸素運搬・CO2運搬の割合

ヘマトクリットと赤血球沈降速度(血沈)

ヘマトクリット(Ht)は血液全体の中で赤血球が占める割合(体積比)です。血液を遠心分離すると、血漿(約55〜60%)/白血球・血小板のバフィーコート(約1%以下)/赤血球(約40〜45%)に分かれます。正常値の目安は男性約45%・女性約40%で、男性ホルモンの影響で男性の方がやや高くなります。

赤血球沈降速度(血沈)は、採血した血液を細い管に入れて静置し、1時間後に赤血球が沈んだ距離(mm/時)を測る検査です。炎症や感染症でフィブリノゲンや免疫グロブリンが増えると赤血球同士がくっつき連銭形成を起こして沈みやすくなります。貧血では赤血球数が少なく沈みやすいため血沈が亢進します。

項目ヘマトクリット赤血球沈降速度(血沈)
見るもの赤血球の「量・割合」赤血球の「沈む速さ」
主な目的貧血・脱水・多血症の判断炎症・感染症・腫瘍・膠原病の活動性の参考
上昇するもの脱水・多血症・高地生活・喫煙など炎症・感染症・貧血・悪性腫瘍・膠原病・組織の壊死など
低下するもの貧血・出血・鉄不足など赤血球増多症
ヘマトクリットと血沈のしくみ・基準値
ヘマトクリットと血沈のしくみ・基準値

赤血球の新生(造血)と寿命

赤血球は骨の中にある骨髄で作られます(造血)。造血幹細胞 → 赤芽球前駆細胞 → 赤芽球 → ヘモグロビンが増加 → 核が押し出される → 網赤血球(若い赤血球) → 成熟赤血球、という段階を経ます。網赤血球は骨髄から血液中へ出て約1〜2日で成熟赤血球になります。

造血に必要なものはたらき不足すると
エリスロポエチン(EPO)腎臓から分泌され骨髄を刺激して赤血球産生を促進腎性貧血
鉄(Fe)ヘモグロビンの材料(レバー・赤身肉・ほうれん草・大豆など)鉄欠乏性貧血
ビタミンB12DNA合成・赤血球の正常な成熟に必要(肉・魚・卵・乳製品・貝類)巨赤芽球性貧血
葉酸(ビタミンB9)DNA合成に必要(緑黄色野菜・豆類・いちご・納豆など)巨赤芽球性貧血
赤血球の分化・寿命約120日・造血に必要な因子
赤血球の分化・寿命約120日・造血に必要な因子

ビリルビンと溶血

古くなった赤血球が脾臓などで壊されるとヘモグロビンが分解され、ヘムの色素部分からビリベルジンを経てビリルビン(黄色の色素)が生じます。ビリルビンは水に溶けにくい間接ビリルビン(非抱合型)としてアルブミンと結合して血中を移動し、肝細胞でグルクロン酸と抱合されて直接ビリルビン(抱合型)となり、胆汁として十二指腸へ排泄されます。血中のビリルビンが増えると皮膚や白目が黄色くなる黄疸が起こります。

溶血は赤血球が何らかの原因で壊れる現象です。原因は①低張液(水が赤血球内に入り膨張して破裂)②毒素・薬剤 ③不適合輸血 ④自己免疫 ⑤遺伝性異常(遺伝性球状赤血球症・G6PD欠損症など)。大量の溶血ではヘモグロビンが血中にあふれ、腎障害(ヘモグロビン尿)・ショック・DIC・多臓器不全を招きます。特に不適合輸血は急激な溶血を起こし命に関わります。

黄疸の分類病態
溶血性黄疸(産生過剰)赤血球が大量に壊れビリルビン産生が増えすぎる溶血性貧血、不適合輸血
肝性黄疸(処理障害)肝臓の取り込み・抱合・排泄がうまくできない肝炎、肝硬変
閉塞性黄疸(排泄障害)胆汁の流れが妨げられ腸へ排泄できない胆石、胆道がん、胆管閉塞
ビリルビンの生成・排泄経路と溶血の原因
ビリルビンの生成・排泄経路と溶血の原因

貧血の分類と検査所見

貧血は赤血球やヘモグロビンが減少し、体内に十分な酸素を運べない状態です。主な症状は疲労感・めまい・動悸・息切れで、いずれも組織の酸素不足を代償しようとする反応です。原因は大きく①作れない(造血不足)②失われる(出血)③壊される(溶血)の3つに分けられます。

MCVによる分類MCVの値主な原因
小球性貧血MCV < 80 fL鉄欠乏性貧血、慢性疾患による貧血、サラセミア
正球性貧血MCV 80〜100 fL急性出血、溶血性貧血、再生不良性貧血、腎性貧血
大球性貧血MCV > 100 fLビタミンB12欠乏、葉酸欠乏、肝疾患、甲状腺機能低下
貧血の原因3分類とMCVによる分類
貧血の原因3分類とMCVによる分類
国試ポイント
① 成熟赤血球は核もミトコンドリアも持たない。分裂できず修復能力が低い。
② 赤血球数は男性約500万/μL・女性約450万/μL、Ht は男性約45%・女性約40%、Hb は男性14〜18g/dL・女性12〜16g/dL。
③ Hb1gは約1.34mLの酸素を運搬。Hb15g/dLなら100mL中に約20mLの酸素。
④ 寿命は約120日で毎日約1%が入れ替わる。破壊の主役は脾臓、鉄は再利用される。
⑤ 赤血球産生を促進するのは腎臓由来のエリスロポエチン(EPO)。腎機能低下→腎性貧血。
⑥ CO2運搬は重炭酸イオン約70%、Hb結合(カルバミノHb)約20〜25%、溶解約5〜10%。
・ ヘモグロビンはCOと酸素の約200〜250倍の強さで結合する。
・ 赤血球直径は約7〜8μm、毛細血管は3〜5μm。変形能で通過する。
・ 血沈は炎症・感染症・悪性腫瘍・貧血で上昇し、赤血球増多症で低下する(ヘマトクリットとは上下が逆になる項目に注意)。
・ MCV<80が小球性(鉄欠乏)、80〜100が正球性、>100が大球性(B12・葉酸欠乏)。
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