アフロの手アフロの手

脊柱・胸郭の構造とはたらき(椎骨・生理的弯曲・椎間板・呼吸運動)せきちゅう・きょうかくのこうぞうとはたらき

脊柱は頸椎7・胸椎12・腰椎5・仙骨・尾骨が連なった支柱で、椎孔が連なってできた脊柱管の中を脊髄が通ります。横から見ると頸椎前弯・胸椎後弯・腰椎前弯というS字の生理的弯曲を描き、椎間板と協力して衝撃を吸収します。胸椎・肋骨・胸骨でつくる胸郭は、ポンプハンドル運動とバケツハンドル運動で広がり呼吸運動を担います。

脊柱・胸郭の構造とはたらき|脊柱・胸郭の構造とはたらき 1
読み方せきちゅう・きょうかくのこうぞうとはたらき
椎骨の基本構造椎体・椎弓(椎弓根・椎弓板)・突起(棘突起・横突起・上下関節突起)・椎孔
脊柱の構成頸椎7・胸椎12・腰椎5・仙骨(5個癒合)・尾骨
生理的弯曲頸椎前弯・胸椎後弯・腰椎前弯(成人でS字カーブが完成)
椎間板の構造外側の線維輪(コラーゲン線維)+中心の髄核(ゼリー状)=クッション
胸郭の構成胸椎12・肋骨12対(24本)・胸骨。第1〜7=真肋、第8〜10=仮肋、第11・12=浮遊肋
呼吸時の胸郭運動上部肋骨=ポンプハンドル運動(前上方)、下部肋骨=バケツハンドル運動(左右)
主な呼吸筋安静吸気=横隔膜、努力吸気=外肋間筋+呼吸補助筋、強制呼気=内肋間筋+腹筋群
臨床的意義C7棘突起は体表解剖の基準点。椎間板ヘルニアは髄核脱出による神経圧迫

椎骨の基本構造はどこも共通

脊柱をつくる椎骨は、部位が違っても基本構造は共通です。前方の椎体が体重を支え、後方の椎弓が椎孔を囲んで脊髄を守ります。椎孔が上下に連なってできた管が脊柱管で、この中を脊髄が通ります。

椎体・椎弓・突起・椎孔からなる椎骨の基本構造と脊柱管
椎体・椎弓・突起・椎孔からなる椎骨の基本構造と脊柱管

頸椎・胸椎・腰椎・仙骨の特徴の違い

基本構造は共通でも、部位ごとに形と役割が異なります。国試では「横突孔=頸椎」「肋骨と関節=胸椎」「椎体が最も大きい=腰椎」の対応が繰り返し問われます。

部位形態的特徴はたらき
頸椎7個小さくて軽い。横突孔があり椎骨動脈が通る頭部を支え、可動性が最も大きい
胸椎12個肋骨と関節(肋骨窩)をつくる。棘突起が下方に長い胸郭を形成し、肋骨で動きが制限される
腰椎5個椎体が大きくて頑丈。横突孔・肋骨窩なし上半身の体重を支える。屈伸が大きい
仙骨5個が癒合1つの骨に癒合し前面に仙骨孔骨盤を構成し体重を下肢へ伝える
頸椎・胸椎・腰椎・仙骨は形も役割も異なる
頸椎・胸椎・腰椎・仙骨は形も役割も異なる

環椎・軸椎と第7頸椎の特殊性

頸椎の中でも第1頸椎(環椎)と第2頸椎(軸椎)は特殊な形をしています。環椎は椎体をもたないリング状の骨で頭を支え、軸椎の歯突起が環椎のリングの中に入り込んで回旋の軸になります。

また第7頸椎(C7)は隆椎と呼ばれ、棘突起が頸椎の中で最も大きく体表から触れやすいため、体表解剖の基準点として臨床で多用されます。首を前に曲げる(頸部屈曲)と一段と触れやすくなります。

環椎(C1)と軸椎(C2)の歯突起が頸部回旋の軸になる
環椎(C1)と軸椎(C2)の歯突起が頸部回旋の軸になる

脊柱の生理的弯曲とその発達

脊柱を側面から見ると、頸椎前弯・胸椎後弯・腰椎前弯のS字カーブを描きます。これを生理的弯曲といい、①姿勢を保つ、②衝撃を吸収する、③バランスをとる、という役割があります。

この弯曲は生まれつきではなく、運動発達とともに獲得されます。時期と弯曲の対応は国試頻出です。

時期脊柱の状態きっかけとなる動作
胎児期全体が後弯(C字カーブ=一次弯曲)子宮内での屈曲姿勢
乳児期頸椎前弯が出現(二次弯曲)腹臥位で頭を持ち上げる
小児期(立位獲得後)腰椎前弯が出現(二次弯曲)立位・歩行の開始
成人頸椎前弯・胸椎後弯・腰椎前弯のS字カーブが完成直立二足歩行の安定
胎児の全後弯から成人のS字カーブへ、脊柱の弯曲は成長とともに発達する
胎児の全後弯から成人のS字カーブへ、脊柱の弯曲は成長とともに発達する

椎間板の構造と衝撃吸収・部位別の可動性

椎体と椎体の間にある椎間板は、コラーゲン線維の層である線維輪が、ゼリー状の髄核を包み込んだ構造で、バネのように圧力を分散して衝撃を吸収します。線維輪が傷んで髄核が後方へ飛び出すと神経根や脊髄を圧迫し、椎間板ヘルニアとなります。

脊柱の動きは部位ごとに得意な方向が異なります。

部位可動性の特徴理由
頸椎屈曲・伸展・回旋いずれも大きい環椎後頭関節=屈伸、環軸関節=回旋
胸椎可動性が小さい(特に屈伸)/回旋は比較的可能肋骨・胸郭により制限される
腰椎屈曲・伸展が大きく、回旋は小さい椎間関節面が矢状面に近い向き
椎間板は線維輪と髄核からなり、髄核脱出が椎間板ヘルニア
椎間板は線維輪と髄核からなり、髄核脱出が椎間板ヘルニア

胸郭の構成と呼吸運動

胸郭胸椎12個・肋骨12対(24本)・胸骨で構成され、心臓や肺を保護しながら呼吸運動を行います。肋骨は胸骨との連結様式で3つに分けられます。

吸気では上部肋骨が前上方へ挙上するポンプハンドル運動、下部肋骨が左右へ広がるバケツハンドル運動が起こり、胸郭容積が増えて肺が膨らみます。

呼吸の相主に働く筋胸郭・横隔膜の動き
安静吸気横隔膜(主)、外肋間筋横隔膜が下降し胸郭が上・外へ広がる
努力(大きな)吸気外肋間筋+呼吸補助筋(胸鎖乳突筋・斜角筋など)肋骨をさらに引き上げ、より多くの空気を吸う
安静呼気筋活動なし(受動的)肺と胸郭の弾性収縮で元に戻る
強制呼気内肋間筋+腹筋群肋骨を下げて胸郭を縮め、腹圧で空気を押し出す
上部肋骨のポンプハンドル運動・下部肋骨のバケツハンドル運動と呼吸筋
上部肋骨のポンプハンドル運動・下部肋骨のバケツハンドル運動と呼吸筋
国試ポイント
① 椎骨の数は頸椎7・胸椎12・腰椎5。仙骨は5個が癒合して1つの骨になる(尾骨は3〜5個)。
② 横突孔があるのは頸椎のみ。肋骨と関節をつくるのは胸椎。椎体が最も大きいのは腰椎。
③ 環椎後頭関節=屈曲・伸展、環軸関節(歯突起が軸)=回旋。この組み合わせの入れ替えが定番の引っかけ。
④ 第7頸椎(隆椎)の棘突起は体表から触れやすく、頸部を屈曲させるとさらに明瞭になる基準点。
⑤ 生理的弯曲は頸椎前弯・胸椎後弯・腰椎前弯。胎児は全後弯で、頸椎前弯=頭を持ち上げる乳児期、腰椎前弯=立位獲得後に出現する二次弯曲。
⑥ 椎間板は外側=線維輪、中心=髄核。髄核が後方へ脱出すると神経を圧迫し椎間板ヘルニアとなる。
・ 肋骨は12対24本。第1〜7=真肋、第8〜10=仮肋、第11・12=浮遊肋(胸骨に達しない)。
・ 安静吸気の主役は横隔膜、強制呼気は内肋間筋と腹筋群。安静呼気は筋を使わず受動的に行われる点が狙われる。
・ 上部肋骨=ポンプハンドル運動(前上方へ)、下部肋骨=バケツハンドル運動(左右へ)。名称と部位の対応を逆にする出題に注意。
・ 胸椎は肋骨により可動性が制限され、腰椎は屈伸が大きく回旋が小さい。
📖 脊柱・胸郭の構造とはたらきをスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習