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膝関節の運動学(構造・屈伸筋・終末回旋・靭帯・変形)ひざかんせつ

膝関節は、単純な蝶番関節ではなく屈伸+わずかな回旋+関節軸の変化を伴う複合的な関節です。国試では屈筋=ハムストリングス/伸筋=大腿四頭筋鵞足の3筋終末回旋(ロック機構)ACL・PCLの制動方向が繰り返し問われます。ここでは10枚のスライド内容を順に整理します。

膝関節|膝関節 1
読み方ひざかんせつ
分類滑車関節(蝶番関節)に分類されるが、実際は屈伸+回旋を伴う複合運動を行う
構造大腿骨・脛骨・膝蓋骨で構成。関節内に前十字靭帯(ACL)・後十字靭帯(PCL)、内外側に側副靭帯
主な運動屈曲・伸展が主体。屈曲位でのみわずかな内旋・外旋が可能。屈曲角度により関節軸が変化する
関与する筋屈曲=ハムストリングス(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)/伸展=大腿四頭筋(大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋)
特徴的な現象完全伸展時に脛骨が外旋(大腿骨が内旋)する終末回旋=ロック機構により膝が安定する
代表的な異常変形性膝関節症(OA)、外反膝(O脚と図示)・内反膝(X脚と図示)・反張膝
国試での狙われ方鵞足を構成する3筋、ACL/PCLの制動方向、終末回旋の向き、大腿直筋が二関節筋である点、内側広筋と完全伸展の関係

膝を曲げる筋:ハムストリングスの構成と内側・外側の分類

膝関節の屈曲で主に働くのは、大腿後面にあるハムストリングスです。3つの筋からなり、収縮することで膝を曲げます。国試では「内側ハムストリングス」「外側ハムストリングス」の分け方がそのまま問われます。

大腿二頭筋だけが外側、半腱様筋・半膜様筋が内側、というセットで覚えるのが最短です。膝屈曲位では内側ハムストリングスが脛骨の内旋に、大腿二頭筋が外旋に関与します。

区分筋名主な作用
外側ハムストリングス大腿二頭筋膝関節屈曲・屈曲位での下腿外旋、股関節伸展(長頭)
内側ハムストリングス半腱様筋膝関節屈曲・屈曲位での下腿内旋、股関節伸展
内側ハムストリングス半膜様筋膝関節屈曲・屈曲位での下腿内旋、股関節伸展
ハムストリングスは内側(半腱様筋・半膜様筋)と外側(大腿二頭筋)に分けられる
ハムストリングスは内側(半腱様筋・半膜様筋)と外側(大腿二頭筋)に分けられる

鵞足(がそく)をつくる3つの筋

鵞足とは、膝の内側で3つの筋が腱となって集まり、脛骨の内側上部に付着する部分をいいます。形がガチョウの足に似ていることが名前の由来で、膝内側の安定に関わります。半腱様筋はハムストリングスであると同時に、この鵞足を構成する筋のひとつでもある点が頻出です。

この3筋は支配神経がそれぞれ異なる(縫工筋=大腿神経、薄筋=閉鎖神経、半腱様筋=脛骨神経)ため、神経を絡めた出題にも注意が必要です。

鵞足を構成する筋主な支配神経膝への作用
縫工筋大腿神経膝屈曲・下腿内旋
薄筋閉鎖神経膝屈曲・下腿内旋
半腱様筋脛骨神経(坐骨神経)膝屈曲・下腿内旋
鵞足は縫工筋・薄筋・半腱様筋が脛骨内側上部に集まって付着する部分
鵞足は縫工筋・薄筋・半腱様筋が脛骨内側上部に集まって付着する部分

膝を伸ばす筋:大腿四頭筋と内側広筋の役割

膝関節の実用的な伸筋大腿四頭筋です。名前のとおり4つの筋頭から構成され、まとめて膝蓋腱(膝蓋靭帯)を介して脛骨粗面に付着します。

とくにスライドでは内側広筋の下部が強調されており、膝屈曲90°付近から伸展していく最後の局面で内側広筋が働ききることで膝が完全に伸びる、と説明されています。伸展不全(extension lag)や術後・OAで内側広筋が萎縮しやすい点も臨床的に重要です。

構成筋起始の特徴ポイント
大腿直筋骨盤(下前腸骨棘)唯一の二関節筋。股関節屈曲+膝伸展
内側広筋大腿骨完全伸展の最終域で重要。萎縮しやすい
外側広筋大腿骨四頭筋中で大きく、膝蓋骨を外方へ引く力が強い
中間広筋大腿骨前面(深層)大腿直筋の深層に位置する
大腿四頭筋は大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋の4つで構成される
大腿四頭筋は大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋の4つで構成される

膝関節の複合運動:屈伸・回旋・関節軸の変化と転がり/滑り

膝は「屈伸だけの単純な蝶番関節」ではありません。スライドでは次の3点が挙げられています。

骨の動きとしては、大腿骨が脛骨の上で転がり(roll)ながら同時に滑り(slide)を起こすことで、狭い関節面でも大きな可動域をなめらかに実現しています。転がりだけでは大腿骨が脛骨から後方へ脱落してしまうため、滑りが組み合わさることが必須です。

運動要素内容臨床的意味
屈伸主運動。矢状面での曲げ伸ばし可動域評価の基本(屈曲約130°、伸展0°)
回旋屈曲位でのみ内旋・外旋が可能完全伸展位では回旋がほぼ消失=ロック
関節軸の変化屈曲角度により瞬間回転中心が移動装具・CPMの軸設定、モビライゼーションの方向
転がり(roll)大腿骨が脛骨上を転がる単独では後方逸脱を招く
滑り(slide)同時に滑ってずれる転がりと組み合わさりなめらかな運動になる
膝は屈伸・回旋・関節軸の変化を伴い、転がりと滑りが組み合わさって動く
膝は屈伸・回旋・関節軸の変化を伴い、転がりと滑りが組み合わさって動く

終末回旋(ロック機構)と靭帯による安定

膝を伸展していき完全伸展に至る最後の局面で、脛骨が外旋(大腿骨側から見れば大腿骨が内旋)する現象を終末回旋(screw home movement)といいます。これにより関節面がしっかり噛み合い、筋の力に頼らず膝が安定するロック機構が働きます。逆に、完全伸展位から屈曲を開始するときはロックを外すため反対方向の回旋が起こります。

安定にはもうひとつ、靭帯が大きく関与します。

側副靭帯は伸展位で緊張し屈曲位でゆるむため、側方動揺性の検査は伸展位と軽度屈曲位を比較して行います。

構造制限する動き緊張する肢位
前十字靭帯(ACL)脛骨の前方移動(+過伸展・過度の回旋)伸展位で緊張
後十字靭帯(PCL)脛骨の後方移動屈曲位で緊張しやすい
内側側副靭帯(MCL)外反(膝が内側へ入る動き)伸展位で緊張
外側側副靭帯(LCL)内反伸展位で緊張
完全伸展では終末回旋が起こりロック機構が働く
完全伸展では終末回旋が起こりロック機構が働く

膝関節の代表的な異常:変形性膝関節症とアライメント異常

変形性膝関節症(膝OA)は、加齢や使いすぎなどにより膝の軟骨がすり減り、痛みや腫れが生じる状態です。進行すると骨棘(骨のトゲ)が形成され、可動域制限をきたします。症状は歩き始めや階段で強く出るのが特徴で、早期の気づきとケアが重要です。

あわせて、膝のアライメント異常(変形)も押さえます。スライドでは次のように図示されています。

※一般的な整形外科の用語では、O脚=内反膝、X脚=外反膝と対応させます。スライドの表記とは呼称の対応が逆になっているため、国試では「膝が内側に寄る=外反膝=X脚」「膝が外に開く=内反膝=O脚」という標準的な対応で覚えてください。日本人の膝OAは内側型(O脚・内反膝)が圧倒的に多いことも頻出です。

変形見た目の特徴備考
内反膝(O脚)下肢が外に弓なり、両膝の間が開く膝OAの内側型で多い。内側関節裂隙が狭小化
外反膝(X脚)膝が内側に寄り、足首の間が開く関節リウマチなどでみられることがある
反張膝膝が後方に反りすぎる(過伸展)片麻痺の立脚期などでみられ、装具の適応となる
変形性膝関節症と、外反膝・内反膝・反張膝という代表的な膝の変形
変形性膝関節症と、外反膝・内反膝・反張膝という代表的な膝の変形
国試ポイント
① 膝屈曲の主動作筋はハムストリングス=大腿二頭筋(外側)・半腱様筋・半膜様筋(内側)。内側/外側の分類が頻出。
② 鵞足を構成するのは縫工筋・薄筋・半腱様筋の3筋で、脛骨内側上部に付着。支配神経が3つとも異なるのが引っかけポイント。
③ 膝伸展の主動作筋は大腿四頭筋。大腿直筋のみが股関節も動かす二関節筋で、内側広筋は完全伸展の最終域に重要。
④ 完全伸展時に脛骨が外旋する終末回旋(ロック機構)が働く。屈曲開始時は逆向きの回旋でロックが解除される。
⑤ 前十字靭帯(ACL)は脛骨の前方移動を、後十字靭帯(PCL)は後方移動を制限。側副靭帯は伸展位で緊張する。
⑥ 膝は単純な蝶番関節ではなく、屈曲位でのみ回旋が可能。骨の動きは転がり(roll)と滑り(slide)の組み合わせ。
・ 変形性膝関節症は軟骨のすり減りと骨棘形成が本態で、歩き始め・階段昇降時の痛みが特徴。日本人では内側型(O脚=内反膝)が多い。
📖 膝関節をスライドで学ぶ(国試辞書) 図解スライドでサクッと復習