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生物的病因(病原微生物と感染)の分類・特徴と国試ポイントせいぶつてきびょういん

このページは外因のうち生物学的要因(病原微生物と感染)だけを扱います(物理的・化学的・栄養的な外因は「外因」のページへ)。生物的病因とは病原体が体に入り、増殖して病気を引き起こすことで、感染しても必ず発病するとは限らないのがポイントです。主な病原体は細菌・ウイルス・真菌・寄生虫・リケッチア・クラミジア・プリオンの7つで、それぞれ大きさ・核酸・増殖方法・薬の効き方が異なります。

生物的病因(病原微生物と感染)|生物的病因(病原微生物と感染) 1
読み方せいぶつてきびょういん(生物的病因)
定義病原体が体に入り、病気を引き起こすこと
主な病原体細菌・ウイルス・真菌・寄生虫・リケッチア・クラミジア・プリオン
感染病原体が体内に入り、増殖できる状態になること
発病体に障害が起こり、症状が出ること
不顕性感染感染はしているが、症状が出ない状態
潜伏期感染してから症状が出るまでの期間
感染の分類局所性感染/全身性感染、一次感染/二次感染、日和見感染、院内感染、菌交代現象
病原微生物の共通の流れ①体内へ侵入 → ②増殖 → ③組織破壊(障害を起こす) → ④炎症反応・免疫反応(発熱・腫れ・痛みなど) → ⑤病気の発症
国試での狙われ方細菌とウイルスの違い(細胞の有無・核酸・大きさ・抗菌薬の効果)、プリオンの特殊性、日和見感染と菌交代現象、MRSA、寄生虫の寄生部位と感染経路

生物的病因の基本用語(感染・発病・不顕性感染・潜伏期)

生物的病因とは、病原体が体に入り、病気を引き起こすことです。ただし感染しても必ず発病するとは限りません。まずこの4語の区別が最初の得点源です。

主な病原体は細菌・ウイルス・真菌・寄生虫・リケッチア・クラミジア・プリオンです。病原微生物には共通の流れがあり、①体内へ侵入→②増殖→③組織破壊(障害を起こす)→④炎症反応・免疫反応(発熱・腫れ・痛みなど)→⑤病気の発症と進みます。

用語意味
感染病原体が体内に入り、増殖できる状態になる
発病体に障害が起こり、症状が出ること
不顕性感染感染はしているが、症状が出ない状態
潜伏期感染してから症状が出るまでの期間
生物的病因の全体像:感染・発病・不顕性感染・潜伏期と主な病原体7種
生物的病因の全体像:感染・発病・不顕性感染・潜伏期と主な病原体7種

感染の分類①:局所性感染と全身性感染/一次感染と二次感染

感染は病原体が広がる範囲によって局所性感染と全身性感染に、起こる順番によって一次感染と二次感染に分けられます。紛らわしいので必ず対で覚えます。

傷口などの局所感染 → 細菌が血液に入る → 血液を通って全身に広がる → 敗血症など重篤な状態、と局所感染から全身感染へ進むこともある点が引っかけです。

一次感染・二次感染は次の対比になります。二次感染が起こる理由は、一次感染によって体が弱ること(免疫力の低下・粘膜が傷つく・炎症で防御機能が乱れる・体力の低下・常在菌のバランスの乱れ)です。典型的な流れは、①インフルエンザウイルスに感染→②気道の粘膜が傷つく→③防御力が落ちる(免疫低下)→④細菌が増えやすくなる→⑤細菌性肺炎を起こす(二次感染)。

一次感染二次感染
定義最初に起こる感染(最初に体へ侵入した病原体による感染)一次感染のあとに、別の病原体が感染すること
特徴症状が最初に現れる感染/体の免疫反応が始まるきっかけ/体力や免疫力が低下していく原因になる体の防御力が落ちているため起こりやすい/さらに症状が悪化・重症化することも
インフルエンザウイルスに感染、風邪ウイルスに感染、傷口から細菌が入る風邪のあとに細菌性肺炎を起こす、インフルエンザ後に細菌感染を起こす、皮膚炎のあとに傷口が化膿する
局所性感染と全身性感染:範囲による分類と敗血症
局所性感染と全身性感染:範囲による分類と敗血症

感染の分類②:日和見感染・院内感染・菌交代現象

免疫力が落ちたときに問題になる3つです。国試では「健康なら問題にならない菌が病気を起こす」という共通点で狙われます。

日和見感染(ひよりみかんせん)

通常は病気を起こしにくい微生物(常在菌など)が、免疫力が低下した時に病原化して起こる感染症です。常在菌は口・腸・皮膚・性器などに存在し、普段は害を与えず、むしろ体を守っています。

院内感染(医療関連感染:HAI)

入院時にはなかった感染症が、病院や医療施設の中で新たに起こること。原因は①免疫力の低下(高齢・手術後・がん・糖尿病・重症疾患)、②医療器具の使用(カテーテル・人工呼吸器・点滴・尿道カテーテル)、③抗菌薬の使用(耐性菌が生き残る)。感染経路は主に接触感染で、手指・医療器具・環境表面(ベッド柵、ドアノブ)・体液(血液、痰、尿)が主な経路です。代表的な耐性菌はMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)で、肺炎・傷口感染・敗血症・尿路感染を起こします。予防は標準予防策(手洗い・手指消毒、マスク、手袋、ガウン、器具の洗浄・消毒・滅菌)。

菌交代現象(きんこうたいげんしょう)

抗菌薬の使用によって常在菌のバランスが崩れ、別の菌が異常増殖する現象。抗菌薬はすべての細菌に均等に効くわけではなく、弱い菌が死に、強い菌だけ生き残って異常増殖します。代表はクロストリジウム・ディフィシル感染(CDI)で、この菌は毒素を出し、大腸炎・下痢・発熱・腹痛を引き起こし、重症では偽膜性大腸炎・腸管穿孔・敗血症になることもあります。起こりやすい人は長期入院・高齢者・抗菌薬を長期間使用した人・免疫が低下している人・ICUなどの重症患者です。

日和見感染院内感染(HAI)菌交代現象
定義通常は病気を起こしにくい微生物が、免疫力が低下した時に病原化して起こる感染症入院時にはなかった感染症が、病院や医療施設の中で新たに起こること抗菌薬の使用で常在菌のバランスが崩れ、別の菌が異常増殖する現象
きっかけ免疫力の低下免疫低下+医療器具+抗菌薬の使用抗菌薬の使用
代表例カンジダ症、ニューモシスチス肺炎、アスペルギルス症MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)クロストリジウム・ディフィシル感染(CDI)/偽膜性大腸炎
日和見感染:常在菌が免疫低下時に病原化する
日和見感染:常在菌が免疫低下時に病原化する

病原微生物の6種類と細菌・ウイルス・プリオンの違い

病原微生物とは体内へ侵入して病気を引き起こす微生物で、主な種類は細菌・ウイルス・真菌・リケッチア・クラミジア・プリオンの6つです(寄生虫を含めると7つ)。ここが最頻出の比較ポイントです。

細菌ウイルスプリオン
大きさ約0.5〜10μm約20〜250nm約数nm〜数十nm(最も小さい)
構造細胞を持つ細胞を持たない細胞を持たない(タンパク質のみ)
遺伝情報DNAとRNAを両方持つDNAとRNAのどちらか一方持たない(DNA・RNAなし)
増殖方法自分で増殖できる生きた細胞内でのみ増殖正常タンパク質を異常化させて増える
抗菌薬・抗ウイルス薬効くことが多い抗菌薬は効かない(抗ウイルス薬が有効な場合あり)効かない(薬剤は無効)
消毒・加熱への抵抗性一般的に弱い比較的強いものもある非常に強い(通常の消毒や加熱に強い)
代表例大腸菌、結核菌、ブドウ球菌などインフルエンザウイルス、HIV、肝炎ウイルスなどCJD、クールー病、BSE
病原微生物6種(細菌・ウイルス・真菌・リケッチア・クラミジア・プリオン)の一覧
病原微生物6種(細菌・ウイルス・真菌・リケッチア・クラミジア・プリオン)の一覧

細菌の形態別分類と代表菌・起こす病気

細菌は1つの細胞だけでできている微生物で、単細胞生物・自分で分裂して増える・細胞壁を持つものが多い・抗菌薬が効く場合が多い・大きさ約0.5〜10μmが特徴です。形によって大きく3つに分類されます。

分類代表菌主な病気
球菌丸い形ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎双球菌皮膚感染・化膿・肺炎・食中毒・敗血症、咽頭炎・扁桃炎・猩紅熱、中耳炎・髄膜炎
桿菌棒状大腸菌、結核菌、サルモネラ菌、コレラ菌、百日咳菌、ピロリ菌尿路感染症、肺結核、食中毒、水様性下痢、百日咳、慢性胃炎・胃潰瘍・胃癌に関与
らせん状細菌ねじれた形梅毒トレポネーマ、レプトスピラ梅毒、レプトスピラ症・ワイル病
細菌の3分類(球菌・桿菌・らせん状細菌)と代表菌
細菌の3分類(球菌・桿菌・らせん状細菌)と代表菌

寄生虫:原虫類・蠕虫類・外部寄生虫

寄生虫は原虫類(単細胞)蠕虫類(多細胞)、体表につく外部寄生虫に分かれます。「種類ごとの特徴・感染経路・寄生部位・主な症状をセットで覚えること」がポイントです。

原虫類(単細胞寄生虫)

1つの細胞だけで生活し、体内で増殖してさまざまな病気を引き起こす寄生虫。水・食品・蚊・動物などを介して感染し、発熱・下痢・貧血・臓器障害などを引き起こします。核酸はDNAを持つ(真核DNA)。

蠕虫類(ぜんちゅうるい)

細長い虫の形をした寄生虫で、体が多細胞。線虫・吸虫・条虫の3種類に分かれます。

外部寄生虫

人や動物の皮膚や体表に寄生し、吸血や毒注入を行い、かゆみ・発赤・腫れ・湿疹・皮膚炎、貧血(大量吸血)、アレルギー症状(じんましん、喘息など)、感染症の媒介を起こします。ダニ(ツツガムシ病、日本紅斑熱、SFTS、ライム病を媒介)、シラミ(アタマジラミ・コロモジラミ・ケジラミ/発疹チフスなどを媒介)、ノミ(ペスト〈黒死病〉、ネコひっかき病、瓜実条虫)、ハチ(毒注入・アナフィラキシー)、毒蛇(出血毒・神経毒・細胞毒)。

分類主な寄生部位主な感染源主な障害
線虫糸のように細長い消化管(小腸・大腸)土壌・汚染水・食品など栄養障害・貧血・腸閉塞など
吸虫平たく、吸盤を持つ血管・肝臓・胆管など淡水・貝・魚など臓器の炎症・肝障害・血便など
条虫平たく、帯状で多数の片節がある小腸牛肉・生魚栄養障害・ビタミン欠乏・神経障害など
蠕虫類の3分類(線虫・吸虫・条虫)と代表虫体・感染経路
蠕虫類の3分類(線虫・吸虫・条虫)と代表虫体・感染経路
国試ポイント
① 感染=増殖できる状態になること、発病=症状が出ること。感染しても必ず発病するとは限らず、症状が出ない状態を不顕性感染という。
② 細菌とウイルスの最重要対比:細菌は細胞を持ちDNAとRNAを両方持ち自分で増殖でき抗菌薬が効く。ウイルスは細胞を持たずDNAかRNAの一方のみで生きた細胞内でしか増殖できず抗菌薬は効かない。
③ プリオンは核酸を持たず異常タンパク質のみ。正常タンパク質を異常化させて増え、通常の消毒・加熱に非常に強く、海綿状脳症(CJD・クールー病・BSE)を起こす。
④ リケッチアは細胞内で増殖する小型細菌でダニ・シラミなどが媒介し血管炎を起こす。クラミジアはDNAとRNAの両方を持つ細胞内寄生微生物で、基本小体と網様体の増殖サイクルを取る。
⑤ 日和見感染は免疫低下時に常在菌などが病原化するもの(カンジダ症・ニューモシスチス肺炎・アスペルギルス症)。菌交代現象は抗菌薬で常在菌バランスが崩れ別の菌が異常増殖するもので、代表はクロストリジウム・ディフィシル感染=偽膜性大腸炎。
⑥ 院内感染(HAI)は入院時になかった感染症が院内で新たに起こること。感染経路は主に接触感染で、代表的耐性菌はMRSA。手洗い・手指消毒などの標準予防策が最も効果的。
・ 局所性感染は部位にとどまる感染、全身性感染は血液などを介して全身に広がる感染(例:敗血症)。局所感染を放置すると全身感染へ進むことがある。
・ 蠕虫類は線虫・吸虫・条虫の3分類。広節裂頭条虫はビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血、有鉤条虫は幼虫が脳に入り囊虫症を起こす点が頻出。
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