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リンパ節の診察の手順と触診所見・疾患別鑑別のポイントりんぱせつのしんさつ

リンパ節の診察とは、全身に分布する表在リンパ節を視診・触診で確認し、腫大の有無とその性状から原因疾患を推定する診察法です。健常者ではリンパ節は小さく通常は触知できませんが、感染・炎症・結核・悪性リンパ腫・癌転移などで腫大し触知可能になります。国試では「痛ければ炎症、硬ければ結核や癌、全身なら白血病、若者ならEBウイルス」という鑑別の軸がそのまま出題されます。

リンパ節の診察|リンパ節の診察 1
読み方りんぱせつのしんさつ
分類臨床医学総論/診察法(視診・触診)
目的・意義リンパ節腫大の有無と性状から、感染・炎症・結核・悪性腫瘍などの原因疾患を鑑別する
主な触診部位側頭部・顎下部・鎖骨上窩・腋窩・肘部・鼠径部・膝窩の7か所(表在リンパ節)
手技・方法指腹で軽く圧を加え、左右差を比較しながら複数部位をくまなく触診。継続観察も重要
確認する項目部位・大きさ・数・硬さ・可動性・圧痛・発赤・熱感・癒着の9項目
正常所見健常者では小さく触知できないことがほとんど
異常所見(陽性)触知可能なリンパ節腫大。性状(硬さ・圧痛・癒着)で原因疾患を推定する
危険な兆候無痛性・石様硬・表面不整・可動性なし・癒着 → 悪性腫瘍のリンパ節転移を疑う
国試最頻出左鎖骨上窩リンパ節(ウィルヒョウリンパ節)=胃癌転移のサイン

リンパ節とは(免疫の関所)

リンパ節は全身のリンパの通り道に多数存在する免疫器官です。頭部・頸部・腋窩・鼠径部などに分布し、リンパ液とともに流入した病原体や異物をキャッチして免疫細胞が攻撃・排除する「体の関所」の役割を担っています。

したがって「触れるリンパ節がある=何らかの異常のサイン」と考えるのが診察の出発点です。

リンパ節は「免疫の関所」。全身に分布し、通常は触知困難
リンパ節は「免疫の関所」。全身に分布し、通常は触知困難

表在リンパ節の触診部位と確認項目

診察では触知可能な表在リンパ節を、上から下へ順にくまなく触診します。必ず左右差を比較し、複数部位をチェックすること、そして経過を追う継続観察が大切です。

触診部位主な関連(流入領域)
① 側頭部リンパ節耳下腺・頭皮の感染
② 顎下部リンパ節口腔・咽頭の感染
③ 鎖骨上窩リンパ節胸腹部臓器(左=ウィルヒョウリンパ節)
④ 腋窩リンパ節上肢・乳腺
⑤ 肘部リンパ節前腕・手
⑥ 鼠径部リンパ節下肢・外陰部(性器感染)
⑦ 膝窩リンパ節下腿・足
表在リンパ節の主な触診部位7か所と触診で確認する9項目
表在リンパ節の主な触診部位7か所と触診で確認する9項目

触診で確認する9項目

腫大したリンパ節を見つけたら、次の項目を必ず確認します。この性状が疾患鑑別の決め手になります。

大まかには、圧痛・発赤・熱感があれば炎症性無痛性で硬く癒着があれば結核や悪性腫瘍を疑います。

二次性リンパ節炎とリンパ節結核

二次性リンパ節炎は、皮膚の化膿・炎症や咽頭炎・扁桃炎などの感染が原因で、感染部位から最も近い所属リンパ節が反応して腫脹します。耳下腺や頭皮の感染では側頭部リンパ節、口腔・咽頭の感染では顎下リンパ節が腫れやすいのが典型です。特徴は「赤・熱・痛・軟」(発赤・熱感・圧痛・軟らかい)と覚えます。

一方リンパ節結核は、肺などの原発病巣からリンパ管を介して結核菌がリンパ節に到達し、リンパ節内で増殖して結核性炎症を起こします。慢性に経過し、頸部(特に上内深頸リンパ節)に好発します。

項目二次性リンパ節炎リンパ節結核
原因皮膚・粘膜の細菌/ウイルス感染結核菌(原発巣からリンパ行性に到達)
好発部位感染部位に最も近い所属リンパ節頸部(側頸部・顎下部・鎖骨上窩)
硬さ軟らかい(弾力あり)弾性硬(硬いが可動性はややあり)
圧痛ありなし(無痛性)
発赤・熱感ありなし
癒着少ない癒着しやすい
その他経過は急性膿瘍・瘻孔を形成することがある
リンパ節結核=無痛性・弾性硬・癒着・膿瘍・瘻孔がキーワード
リンパ節結核=無痛性・弾性硬・癒着・膿瘍・瘻孔がキーワード

伝染性単核球症と梅毒

伝染性単核球症はEBウイルス(Epstein-Barr virus)による感染症で、唾液を介して感染します(キス・コップの共用など)。ウイルスがBリンパ球に感染し、免疫反応(Tリンパ球の増加)によりリンパ節や扁桃が腫脹します。思春期〜20歳代の若年者に多く、三主徴は発熱・咽頭扁桃炎・リンパ節腫脹。リンパ節は軟らかく圧痛ありで、特に頸部リンパ節の腫れが目立ちます。

梅毒は病期によってリンパ節の状態が変化するのが最大の特徴で、国試で狙われます。

梅毒の病期時期リンパ節の所見
第1期感染後約3週間局所リンパ節腫脹(性器感染なら鼠径部)。無痛性・硬くなく・可動性あり
第2〜3期感染後数か月〜数年多発性腫脹(頸部・腋窩・鼠径部など全身)。無痛性・弾性硬・可動性は保たれる
第3期感染後数年〜ゴム腫形成、周囲と癒着、潰瘍形成。硬く不規則で可動性に乏しい
梅毒は第1期=局所、第2〜3期=多発、第3期=ゴム腫・癒着・潰瘍
梅毒は第1期=局所、第2〜3期=多発、第3期=ゴム腫・癒着・潰瘍

悪性リンパ腫・白血病・癌のリンパ節転移

悪性疾患によるリンパ節腫大はいずれも無痛性であり、これが炎症性との最大の違いです。

特に胃癌が左鎖骨上窩リンパ節に転移したもの=ウィルヒョウ(Virchow)リンパ節は国試最頻出です。腹部臓器の癌がリンパ流にのって到達しやすい部位であるため、左鎖骨上窩に硬いリンパ節を触れたら胃癌などの転移を疑います。

リンパ節腫大の原因硬さ表面圧痛
悪性腫瘍の転移非常に硬い(石様)不整(ゴツゴツ)なし
炎症(リンパ節炎)軟らかい滑らかあり
悪性リンパ腫弾性軟〜硬(ゴム様)比較的平滑なし
癌転移は石様硬・表面不整・圧痛なし。胃癌→左鎖骨上窩(ウィルヒョウリンパ節)
癌転移は石様硬・表面不整・圧痛なし。胃癌→左鎖骨上窩(ウィルヒョウリンパ節)

国試一発暗記:リンパ節腫大の鑑別まとめ

リンパ節の診察は、腫大の性状と分布から疾患を一発で当てられるように整理しておくのが得点源です。

疾患キーワード
二次性リンパ節炎痛い・赤い・熱い(+軟らかい)
リンパ節結核頸部・弾性硬・癒着(無痛性・膿瘍・瘻孔)
伝染性単核球症EBウイルス(若年者・発熱・咽頭扁桃炎・軟らかく圧痛あり)
悪性リンパ腫無痛性腫大(弾性軟〜弾性硬・発赤熱感なし)
白血病全身性腫大(圧痛なし・癒着なし)
癌転移石のように硬い・表面不整・圧痛なし
胃癌左鎖骨上窩=ウィルヒョウリンパ節

覚え方は「痛ければ炎症、硬ければ結核や癌、全身なら白血病、若者ならEBウイルス」。この一文で大半の設問に対応できます。

リンパ節腫大の疾患別キーワード一発暗記表
リンパ節腫大の疾患別キーワード一発暗記表
国試ポイント
① 健常者ではリンパ節は小さく通常は触知できない。触れる=異常のサイン。
② 触診の確認項目は部位・大きさ・数・硬さ・可動性・圧痛・発赤・熱感・癒着の9項目。左右差の比較が必須。
③ 二次性リンパ節炎=「赤・熱・痛・軟」。感染部位に最も近い所属リンパ節が腫れる。
④ リンパ節結核=頸部好発・無痛性・弾性硬・癒着しやすい・膿瘍/瘻孔形成。発赤なし。
⑤ 伝染性単核球症=EBウイルス。思春期〜20歳代に多く、発熱・咽頭扁桃炎・頸部リンパ節腫脹の三主徴。リンパ節は軟らかく圧痛あり。
⑥ 梅毒は病期でリンパ節所見が変化:第1期=局所(鼠径部)、第2〜3期=多発性、第3期=ゴム腫・癒着・潰瘍。
・ 悪性リンパ腫は無痛性・弾性軟〜弾性硬・発赤熱感なし。ホジキン病はReed-Sternberg細胞、頸部に多い。
・ 白血病は全身性リンパ節腫脹で圧痛なし・癒着なし(慢性リンパ性白血病で重要)。
・ 癌のリンパ節転移は石のように硬く表面不整・圧痛なし。胃癌→左鎖骨上窩(ウィルヒョウリンパ節)は最頻出。
・ 引っかけ注意:圧痛の有無が炎症性と悪性の分かれ目。リンパ節結核は炎症性でも「無痛性」なのがポイント。
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