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変形性膝関節症のリハビリテーション(評価・訓練・注意点)へんけいせいひざかんせつしょうのりはびりてーしょん

変形性膝関節症(膝OA)は、加齢などにより膝関節軟骨が変性・摩耗し、疼痛・可動域制限・変形をきたす代表的な運動器疾患です。国試では初期の「歩き始めの痛み」内反変形(O脚)が多いこと、大腿四頭筋の筋力低下完全伸展(0度)の可否という評価ポイント、そして大腿四頭筋セッティング中心の運動療法・外側ウェッジ・減量が繰り返し問われます。

変形性膝関節症のリハビリテーション|変形性膝関節症のリハビリテーション 1
読み方へんけいせいひざかんせつしょうのりはびりてーしょん
病態関節軟骨の変性・摩耗、骨棘形成、関節裂隙狭小化による疼痛と変形
分類一次性(原発性・加齢など原因不明で最多)/二次性(続発性・外傷、肥満、感染、変形などの原因が明らか)
変形の特徴内反変形(O脚)が多く、内側大腿脛骨関節の荷重集中と外側スラストが進行を加速
主症状初期は歩き始め・動作開始時痛(始動時痛)、進行すると可動域制限・膝伸展制限・大腿四頭筋萎縮
評価関節可動域(特に完全伸展0度が可能か)、疼痛部位、大腿四頭筋を中心とした筋力、立ち上がり・歩行などADL
主な治療保存療法が原則:大腿四頭筋セッティング、ROM訓練、温熱療法、膝装具・外側ウェッジ足底板、減量。無効例は骨切り術・人工膝関節置換術
禁忌・注意正座・和式トイレなど深屈曲位、長距離歩行、階段昇降の反復、肥満の放置を避ける

変形性膝関節症の概念と分類

変形性膝関節症は、関節軟骨の変性・摩耗を基盤に、骨棘形成・軟骨下骨硬化・関節裂隙狭小化が進み、疼痛と変形をきたす退行変性疾患です。中高年女性に多く、下肢では最も頻度が高い変形性関節症です。

項目一次性(原発性)二次性(続発性)
原因加齢・肥満など、はっきりした原因なし外傷・炎症・変形などの明らかな基礎疾患
頻度多い(大多数)少ない
好発中高年女性・両側性が多い比較的若年でも起こり片側性が多い
健康な膝と変形性膝関節症の比較、一次性・二次性の分類
健康な膝と変形性膝関節症の比較、一次性・二次性の分類

筋力低下・力学的不均衡と内反変形(O脚)

膝OAの進行には大腿四頭筋の筋力低下力学的不均衡が深く関与します。日本人では内反変形(O脚)が多く、荷重線が膝の内側を通るため内側大腿脛骨関節に圧が集中します。歩行立脚期に膝が外側へ動揺する外側スラスト(ラテラルスラスト)が出現すると、内側の負担がさらに増して変形が加速します。

大腿四頭筋低下と内反・外側スラストによる進行の加速
大腿四頭筋低下と内反・外側スラストによる進行の加速

症状の経過(初期~進行期)

国試では初期症状=歩き始めの痛み(始動時痛)が最頻出です。朝起きた直後や長く座った後の最初の一歩でズキッと痛み、動いているうちに軽減するのが特徴です。安静時痛や夜間痛は進行期の所見です。

時期主な症状所見
初期歩き始め・立ち上がり時の痛み(始動時痛)、こわばり可動域はほぼ保たれる、軽度の腫脹
進行期階段昇降時痛、正座困難、関節水腫膝屈曲・伸展制限、内反変形の出現、大腿四頭筋萎縮
末期安静時痛・夜間痛、歩行距離の著明な短縮高度な内反変形(O脚)、伸展制限(屈曲拘縮)、ADL障害
初期は歩き始めの痛み、進行すると変形・可動域制限・筋力低下
初期は歩き始めの痛み、進行すると変形・可動域制限・筋力低下

評価:関節可動域・疼痛・筋力・ADL

評価の中心は関節可動域(ROM)大腿四頭筋の筋力、そしてADL(歩行・立ち上がり)です。特に膝が完全伸展(0度)できるかは、伸展制限=屈曲拘縮の有無を示す重要な指標で、歩行効率や大腿四頭筋の働きに直結します。

評価項目主な内容国試ポイント
関節可動域屈曲130度・伸展0度が参考値完全伸展できるかが最重要
疼痛部位・時期(始動時/荷重時/安静時)初期は歩き始めの痛み
筋力大腿四頭筋中心、ハムストリングス・大殿筋大腿四頭筋の萎縮・筋力低下が特徴
ADL歩行・立ち上がり・階段・杖・和式トイレ深屈曲を要する動作が障害されやすい
評価では関節可動域、特に完全伸展0度が可能かを確認する
評価では関節可動域、特に完全伸展0度が可能かを確認する

運動療法(保存的療法の中心)

膝OAのリハビリは保存療法が原則で、目的は筋萎縮と関節拘縮の予防、疼痛軽減、ADL維持です。中心となるのが大腿四頭筋セッティング(等尺性収縮)で、関節に圧を加えずに筋力を高められるため、疼痛期でも実施できます。

時期・状態運動療法の進め方
急性期・疼痛強い安静+等尺性運動(セッティング・SLR)中心。荷重運動は控える
疼痛軽減期自動介助でのROM訓練、ストレッチ、軽い抵抗運動を追加
維持期全身調整運動(平地歩行・水中運動)、日常生活での継続的な自主訓練
術後(人工膝関節置換術後など)早期から膝伸展運動・ROM訓練・歩行訓練を開始し機能維持
筋萎縮・関節拘縮を予防する大腿四頭筋セッティングとストレッチ
筋萎縮・関節拘縮を予防する大腿四頭筋セッティングとストレッチ

物理療法・装具療法と生活指導

運動療法に加え、温熱療法で血流を改善し疼痛・筋緊張を緩和、装具で力学的負担を軽減します。内反変形(O脚)に対しては外側ウェッジ(足底板の外側を高くする)で下肢荷重線を外側へ移し、内側の負担を減らすのが定番の出題です。

生活指導理由
正座・和式トイレを避ける深屈曲位は膝に強い負担と疼痛を生じる
長距離歩行・階段昇降の反復を避ける荷重による軟骨摩耗を助長する
減量(体重管理)体重増加は膝への荷重を直接増やし進行を早める
洋式生活(椅子・ベッド)へ変更立ち座りの膝屈曲角度を小さくできる
自主訓練の継続筋力維持が疼痛軽減とADL維持の鍵
温熱療法・膝装具・外側ウェッジ・全身調整運動の活用
温熱療法・膝装具・外側ウェッジ・全身調整運動の活用
国試ポイント
① 初期症状は「歩き始めの痛み(始動時痛)」。安静時痛・夜間痛は進行期の所見で、初期症状として選ぶと誤り。
② 日本人の膝OAは内反変形(O脚)が多く、内側大腿脛骨関節に荷重が集中する。外反(X脚)が多いという選択肢は誤り。
③ ROM評価では膝伸展0度(完全伸展)が可能かが最重要。屈曲の参考可動域は130度、伸展は0度。
④ 筋力評価・訓練の主役は大腿四頭筋。等尺性の大腿四頭筋セッティングとSLRは関節に負担をかけずに行える。
⑤ 装具療法では内反膝に外側ウェッジ足底板を用い、荷重線を外側へ移して内側の負担を軽減する。
⑥ 禁忌・避けるべき動作は正座・和式トイレなどの深屈曲位、長距離歩行、階段昇降の反復。減量指導は必須。
・ 杖は患側ではなく健側(患側と反対側)の手に持たせる点が引っかけとして狙われる。
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