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運動療法機器と物理療法(種類・作用・禁忌と国試ポイント)うんどうりょうほうきき・ぶつりりょうほう

運動療法機器は「目的によって役割が変わる」のが大原則で、同じ車椅子でも歩行訓練場面では訓練機器、外出場面では移動・ADL機器として働きます。物理療法は温熱・光線・電気・寒冷・水・機械的刺激の6つの物理的エネルギーを使う治療で、国試では各療法の作用と禁忌、とくに温熱の禁忌とTES/TENS/FESの使い分けが繰り返し問われます。

運動療法機器・物理療法|運動療法機器・物理療法 1
読み方うんどうりょうほうきき・ぶつりりょうほう
分野リハビリテーション医学(治療・訓練手段)
機器の考え方同じ機器でも目的により「訓練機器」にも「移動・ADL機器」にもなる
主な運動療法機器重錘・重錘バンド・鉄アレイ・滑車・平行棒・歩行補助具・マット・訓練台・斜面台・階段・トレッドミル・鏡
物理療法の6分類温熱/光線/電気/寒冷/水/機械的刺激
代表的な禁忌急性炎症・循環障害・知覚鈍麻・悪性腫瘍・出血傾向・浮腫・ペースメーカー装着・脳/性腺/子宮/胎児付近
国試での狙われ方温熱の禁忌、TES・TENS・FESの目的の取り違え、寒冷の反応性充血、水治療の右心系負荷、牽引の持続/間欠

運動療法機器の考え方と主な種類

機器そのものに固定の役割があるのではなく、使う目的によって役割が変わるのが運動療法機器の基本的な考え方です。歩行訓練の場面で使う車椅子は「歩く力を引き出すサポート=訓練機器」ですが、外出場面で使えば「生活を支える移動・ADL機器」になります。国試では機器名と用途の組み合わせを問われるため、下表で目的別に整理しておきましょう。

機器主な目的・特徴
重錘・重錘バンド・鉄アレイ四肢に負荷を加えて漸増抵抗運動を行い筋力増強を図る
滑車重錘の重さを利用し、方向を変えて抵抗や介助を与える
平行棒両手支持で安全に立位・歩行訓練を開始する最初の段階の機器
歩行補助具(歩行器・杖)支持基底面を広げ、下肢荷重を軽減して歩行を可能にする
マット寝返り・起き上がりなど床上動作(マット訓練)に用いる
訓練台背臥位・座位での関節可動域訓練や筋力増強訓練の土台
斜面台(傾斜台・チルトテーブル)長期臥床者の起立性低血圧予防、立位耐性の獲得
階段昇降動作の実用歩行訓練、応用歩行の獲得
トレッドミル歩行速度・持久力の訓練、全身持久力(心肺機能)の向上
姿勢・歩容を視覚的にフィードバックし修正させる
よく使う運動療法機器(重錘・滑車・平行棒・斜面台・トレッドミルなど)
よく使う運動療法機器(重錘・滑車・平行棒・斜面台・トレッドミルなど)

物理療法の概要(6分類)

物理療法とは、物理的エネルギーを身体に加えて治療・予防を行う方法の総称です。運動療法と並ぶリハビリテーションの主要な治療手段で、単独で用いるより運動療法と組み合わせることで効果が高まります。エネルギーの種類で次の6つに分類されます。

分類用いるエネルギー主な目的
温熱療法血流促進・鎮痛・筋スパズム軽減・可動域改善
光線療法光(赤外線・レーザー)鎮痛・痙性抑制・神経節ブロック
電気療法電気筋収縮の誘発・疼痛緩和・運動再建
寒冷療法炎症/腫脹の抑制・除痛・痙縮軽減
水治療水(温熱・浮力・水圧・抵抗)荷重軽減下での運動・浮腫軽減・リラクゼーション
機械的刺激力(牽引・圧)関節の離開、癒着軽減、局所循環改善
物理療法の6分類(温熱・光線・電気・寒冷・水・機械的刺激)
物理療法の6分類(温熱・光線・電気・寒冷・水・機械的刺激)

温熱療法の効果・種類・禁忌

温熱療法は鎮痛・鎮静・末梢血管拡張・血流増加・代謝亢進・筋スパズム軽減・膠原線維の伸張という効果をもち、全身的には心拍出量増加と発汗促進が起こります。膠原線維が伸びやすくなるため、温めてからストレッチや関節可動域訓練を行うのが臨床の定石です。

種類は表在性(ホットパック・パラフィン浴・赤外線・ワールプール・ハバードタンク)と深部性(短波・極超短波・超音波)に大別され、超音波は最も深部まで到達する温熱手段として押さえます。

種類分類特徴
ホットパック表在性・伝導熱最も一般的。タオル等を介して当てる
パラフィン浴表在性・伝導熱手指など凹凸のある部位に密着、関節リウマチ等に有用
ワールプール表在性・対流熱渦流で局所を温め同時にマッサージ作用
ハバードタンク表在性・対流熱全身浴、浮力で全身をサポート
赤外線表在性・輻射熱皮膚表層をじんわり温め血流促進
短波・極超短波深部性高周波で深部を加温。金属・ペースメーカーは禁忌
超音波深部性最も深部到達。温熱作用+機械的作用
温熱療法の種類(ホットパック〜超音波)と8つの禁忌
温熱療法の種類(ホットパック〜超音波)と8つの禁忌

光線療法と電気刺激療法(TES・TENS・FES)

光線療法には赤外線・直線偏光近赤外線・低出力レーザーがあり、鎮痛・痙性抑制・神経節ブロックを目的に用います。直線偏光近赤外線は星状神経節照射(神経節ブロック)で有名です。

電気刺激療法は略語の使い分けが国試の頻出ポイントです。TESは筋収縮、TENSは鎮痛、FESは運動麻痺の運動再建と一対一で覚えます。いずれもペースメーカー装着者には禁忌です。

略語正式名目的
TES経皮的電気刺激筋収縮を誘発し、廃用性筋萎縮の予防・筋力増強
TENS経皮的電気神経刺激疼痛の軽減(ゲートコントロール理論)
FES機能的電気刺激運動麻痺の運動再建(下垂足に対する歩行時刺激など)
電気刺激療法:TES=筋収縮、TENS=鎮痛、FES=運動再建
電気刺激療法:TES=筋収縮、TENS=鎮痛、FES=運動再建

寒冷療法

寒冷療法は冷刺激により血管収縮・血流低下を起こし、その後に反応性充血(血管拡張・一時的な血流増加)が生じるのが特徴です。除痛と痙縮(筋緊張)の軽減を目的とし、冷却後に運動療法と組み合わせると効果が高まります。

寒冷療法:血管収縮→反応性充血、除痛と痙縮軽減
寒冷療法:血管収縮→反応性充血、除痛と痙縮軽減

水治療と機械力学的治療(牽引・マッサージ)

水治療は水のもつ温熱・寒冷・浮力・水圧・抵抗・マッサージ作用を利用します。浮力で下肢の荷重負担を軽減できるため、疼痛や筋力低下があっても早期から歩行訓練が可能になるのが最大の利点です。一方、水圧により静脈還流が増え右心系への負荷が増加するため、心不全例では注意が必要です。方法にはプール・ハバードタンク・バイブラバス・渦流浴・圧注法・交代浴・サウナ浴があります。

機械力学的治療には牽引マッサージがあります。牽引は一定の力をかけ続ける持続的牽引と、牽引と弛緩を繰り返す間欠的牽引に分かれます。マッサージは外傷後の癒着軽減局所循環改善を目的に用います。

水の性質得られる効果
温熱血行促進・筋緊張の緩和・疼痛軽減
寒冷炎症・浮腫の軽減、鎮痛
浮力体重の負担を軽減、関節へのストレス減少
水圧静脈還流の促進、浮腫の軽減(=右心系負荷は増加)
抵抗筋力・持久力の向上、運動のコントロール訓練
マッサージ作用血行・リンパ流の促進、リラクゼーション
水治療:浮力・水圧・抵抗などの性質と各種方法
水治療:浮力・水圧・抵抗などの性質と各種方法
国試ポイント
① 同じ機器でも目的で役割が変わる(車椅子=訓練機器にも移動・ADL機器にもなる)。斜面台は起立性低血圧予防・立位耐性の獲得が目的。
② 物理療法は温熱・光線・電気・寒冷・水・機械的刺激の6分類。エネルギーの種類で分ける。
③ 温熱の禁忌8つ=急性炎症・循環障害・知覚鈍麻・悪性腫瘍・出血傾向・浮腫・ペースメーカー・脳/性腺/子宮/胎児付近。急性期は温熱ではなく寒冷。
④ 深部加温は短波・極超短波・超音波。超音波が最も深部に届く。ホットパック・パラフィン浴・赤外線は表在性。
⑤ TES=筋収縮、TENS=鎮痛、FES=運動麻痺の運動再建。3つの取り違えが最頻出。いずれもペースメーカーは禁忌。
⑥ 寒冷は血管収縮・血流低下→反応性充血。除痛・痙縮軽減が目的で、アイスパック/アイスマッサージ/液体窒素がある。
・ 水治療は浮力で下肢荷重を軽減できるが、右心系負荷の増加に注意。牽引は持続的牽引と間欠的牽引に分類。
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